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6月日銀短観、増税でのデフレ化が心配だ

 大企業製造業の景況感は2四半期連続の悪化――日銀が発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)の結果である。米中貿易摩擦や中国経済の減速に対する警戒感から企業心理が一段と冷え込んだ形である。

 大企業非製造業は若干持ち直したが、10月には消費税増税が控える。力強さのない経済がデフレ化しないか心配である。

米中摩擦の悪影響続く

 大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス7で、前回3月調査から5ポイント悪化した。プラス7は2016年9月以来、2年9カ月ぶりの低水準である。

 DIは業況が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた指数。3月調査でのDIは前回(昨年12月)調査より7ポイント低下しているから、大企業製造業の景況感悪化は急速な広がりを見せている。より深刻なのは中小企業製造業で、DIはマイナス1と前回調査から7ポイント悪化し、2年9カ月ぶりのマイナスである。

 一方、大企業非製造業のDIは、改元に伴う10連休もあって前回調査より2ポイント上昇し、2四半期ぶりに若干改善した。ただ、3カ月後の見通しは6ポイントの悪化と慎重である。先行きについては、大企業製造業が横ばいだったほかは前述の大企業非製造業はじめ、中小企業の製造業、非製造業とも4ポイントから7ポイントの悪化となっており、要警戒である。

 もちろん、今回の調査は20カ国・地域首脳会議(G20サミット)前であり、米中が貿易協議再開で合意したことは含んでいない。しかし、同協議は覇権をかけた中国の国家戦略が絡む構造問題だけに、合意できぬまま制裁措置発動に至る可能性は少なくない。米中摩擦は引き続きリスク要因として影響するということである。

 懸念されるのは、設備投資計画が大企業全産業で前年度比7・4%増と堅調なものの、経常利益計画が大企業製造業で前年度比8・1%減と、前回調査(同1・3%減)から大きく下方修正されたことである。

 中国経済の減速などによる需要減のほか、中国からの生産拠点移転で最適地生産が難しくなり、生産・物流コストが上昇して利益の低下を招いているためで、今後、堅調な設備投資計画にも影響してこよう。

 こうした状況をさらに下押しするのが消費税増税である。増税によるデフレ効果は、消費を抑制するだけでなく、売り上げ減を通じて企業収益の悪化、設備投資減に作用する。

懸念される税収減少

 今回は過去の苦い経験からポイント還元や軽減税率の導入など諸々の対策が取られているが、どれだけ悪影響を緩和できるか。一番の懸念は、緩やかながらも拡大を続ける(?)景気が腰折れし、18年度でバブル期をも上回る過去最高となった税収の、所得税・法人税の増加要因が消えかねないことである。

 19年度も過去最高更新の見込みだが、それ以降、景気が予想以上に悪化すれば税収の伸び悩みは必至で、場合によっては前年割れもあり得る。経済好循環の実現どころかデフレへの逆戻りである。対策は当然だが、余分な時間とコストの消費となり残念である。

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