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    遠藤 哲也
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    丹羽 文生
    丹羽 文生
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    太田 正利
    太田 正利
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    佐藤 唯行
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    渡瀬 裕哉
    渡瀬 裕哉
    早稲田大学招聘研究員
    山田 寛
    山田 寛
    元読売新聞アメリカ総局長

    やっぱり出た!通貨スワップを結んでくれない日本への逆ギレ

     以前から当ウェブサイトで展開している論点の1つが、通貨スワップ論です。先日、『通貨スワップのメッセージは「誰と結ばないか」がむしろ重要』のなかで、日本は世界有数の外貨準備を保有している一方で、日本円という通貨自体が国際的に深く信頼されているという点から、「日本は通貨スワップや為替スワップを国益の最大化のためにもっと活用すべきである」と申し上げたばかりです。こうしたなか、本日の韓国メディア『中央日報』に、まったく予想通り、「日本が通貨スワップを結んでくれないこと」が「圧力になっている」とする記事が出ています。

    ●通貨スワップを「結ばないこと」が制裁に?

     通貨スワップを巡っては、以前から当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』で精力的に取り上げて来た論点の1つです。

     当ウェブサイトでは先日、『通貨スワップのメッセージは「誰と結ばないか」がむしろ重要』のなかで、日本はもっと通貨スワップ、為替スワップなどの外国との通貨協定を積極的・戦略的に活用すべきではないかと提言しました。

     日本政府は2018年12月末時点で140兆円を超える外貨準備を保有していますので、米ドルなどと交換するタイプの「ドル建て通貨スワップ」については、金融協力と友好の証として、アジア諸国(ASEAN各国や台湾)や産油国、TPP加盟国などとの間で締結すべきです。

     また、日本円という通貨自体が世界でもかなり信頼性の高い通貨であるという事情もあるため、円建ての通貨スワップや為替スワップについても積極的に締結すべきであり、少なくともニュージーランドや北欧の金融センターであるデンマークなどとの為替スワップは望ましいのではないかと思います。

     ただ、その一方で、もう1つ重要なことは、「特定の国とはあえて結ばないこと」です。

     たとえば、北方領土問題を抱えるロシアとの間では、ドル建て通貨スワップ、円建て通貨スワップ、為替スワップのいずれのスワップも提供すべきではありません。また、中国との間ではすでに為替スワップが存在していますが、日中金融協力をこれ以上進める必要もないでしょう。

    ●やっぱり「あの国」が反応して来た!

     ところで、この通貨スワップを巡っては、やはり「あの国」のメディアが強く反応しているようです。

    通貨スワップ延長せず、TPP参加は反対…経済報復カードで韓国に圧力かける日本(2019年03月27日06時51分付 中央日報日本語版より)


     ここ数日、韓国メディアから「日韓通貨スワップ」に関する話題が相次いでいるのですが、韓国メディア『中央日報』(日本語版)は本日、「日本が経済報復をカードにして韓国に圧力を掛けている」とする記事を掲載しました。

     私自身、『韓国経済に「突然死リスク」があるとすれば「資金ショート」』のなかで、仮に日本企業が韓国に対する商取引の条件を厳しくするようなことがあれば、韓国全体で外貨の資金繰りが苦しくなる方向に機能するのではないかと申し上げましたが、中央日報の記事も、同じような点を懸念しているようです。

     中央日報は昨年11月の日韓商工会議所会長会議や今年5月に予定されている日韓経済人会議がいずれも「日本側の主張で延期された」ことなどを踏まえ、ある韓国財界関係者の


    「政界発の流弾が民間に向かっている。日本財界で韓国パッシングが強まらないか心配だ」


    という認識を紹介。それと合わせて、日韓通貨スワップ協定の再交渉協議の中断について触れているのです。

     もっとも、中央日報の報道だと、こうした日韓関係の悪化の原因が自分たちにあるという認識はあまり見られません。とくに、これら経済界の会議延期を巡っては


    「両行事ともに韓国側が行事場所まで予約していたが、日本側が行事の延期を主張してきた」


    と、あたかも日本の側に責任があるかのような言いぐさです。

     ただ、日韓通貨スワップ協定については、釜山の日本総領事館前での慰安婦像設置により日本政府側が再開交渉を打ち切ったことに触れる一方で、


    「日本政府は昨年10月に開催された日中首脳会談で中国と2000億元(約3兆4000億円)規模の通貨スワップ契約を締結した。」


    と述べており、「韓国以外の国と」スワップ協定を締結すること自体が韓国に対する圧力となっていることが伺われます(※どうでも良い話ですが、中国との間のスワップは「通貨スワップ」ではありません。中国本土で活動する邦銀を救済する目的の「為替スワップ」です。)。

    これについて中央日報は、


    「キム・ジョンシク延世大経済学部教授は「韓国の外貨保有高が4000億ドルを超えたとはいえ、資本流出の発生を防ぐには十分でない」とし「景気がハードランディングしたり中国発の通貨危機が近づく場合に対応し、日本との通貨スワップを拡大することも検討する必要がある」と述べた。」


    と報じているのですが、本当に韓国の外貨準備高が4000億ドルをこえているのであれば、わざわざ日韓通貨スワップ協定などを締結する必要はありません。

     その理由は、韓国が外国の金融機関から借りている金額は「最終リスクベース」でもせいぜい3000億ドル少々であり(『国際決済銀行統計から見る韓国経済の姿と通貨スワップ』参照)、また、オーバーナイト借入などはこの金額よりもはるかに少ないと考えられるためです。

    ●なぜ通貨スワップにこだわるのか

     では、なぜ韓国がここまで「日本との」通貨スワップにこだわるのでしょうか?

     おそらくその理由は、韓国自身、かなりの外貨不足に直面しているからではないでしょうか。

    実際、『総論:外貨準備の虚実 韓国の外貨準備の額は信頼できるのか』でも報告したとおり、どうも韓国側が主張する外貨準備高には、かなりの虚偽が紛れているように思えてなりません。

     また、同じ中央日報には、ちょうど1年前に「通貨危機が韓国を襲ったときには、1200億ドル程度の外貨不足が発生するかもしれない」といった試算が出ています。

    韓国、米利上げ時に通貨危機の可能性…日米との通貨スワップ必要(2018年03月19日13時47分付 中央日報日本語版より)


     このように考えていくと、過去に韓国にとって有利な条件で通貨スワップ協定を結んでくれていた日本が、再び韓国に対して有利なスワップを提供してくれることを心の底から望んでいる、という仮説が出て来るのです。

     ちなみに、ひと昔前であれば、日本側にも「韓国との通貨スワップは日本にもメリットがある」などと主張する勢力が存在していたことは事実です。その典型例が、財務省の山崎達雄元国際局長です。

     この人物は2015年7月7日に退官後、現在は民間企業などに天下りしているそうですが、現役の国際局長時代だった2014年4月16日の「第186回国会・衆議院財務金融委員会」で答弁した内容を紹介しておきましょう。


    「日韓通貨スワップを初めとする地域の金融協力は、為替市場を含む金融市場の安定を通じまして、相手国、日韓の場合は韓国だけじゃなくて、日本にとってもメリットはあります。/というのも、日本と韓国との間の貿易・投資、あるいは日本企業も多数韓国に進出して活動しているわけでありまして、その国の経済の安定というのは双方にメリットがある面、それからまた通貨という面でいうと、むしろ通貨を安定させるという面、ウォンを安定させるという面もあるわけであります。/そういうことで、私どもとしては、当時、日韓通貨スワップを拡大したのは、むしろ、韓国のためだけというよりも、日本のため、地域の経済の安定のためということがあったということだけ申し上げたいと思います。」


    私はこの答弁を、敢えて「恥知らず」と呼びたいと思います。


    ・日韓スワップには相手国に進出している日本企業を助けるというメリットがある
    ・日韓スワップには日韓間の為替相場やウォンを安定させるというメリットがある


     バカらしくて思わず乾いた笑いが出ます。カントリー・リスクもろくに管理できないのに韓国に進出した日本企業を、なぜ日本国民の税金で救済しなければならないのでしょうか?

     それに、日韓通貨スワップがあれば、韓国はむしろ為替介入を常態化させます。つまり、日韓通貨スワップがあれば、日韓間の為替相場は日本企業にとって不利に働くのです。まさに「敵に塩を送る行為」そのものだといえるでしょう。


    「新宿会計士の政治経済評論」より転載
    https://shinjukuacc.com/20190327-02/

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