
昭和56年(1981年)生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。創業メンバーとして立ち上げたIT企業が一部上場企業にM&Aされてグループ会社取締役として従事。同取締役退職後、日米間のビジネスサポートに取り組み、米国共和党保守派と深い関係を有することからTokyo Tea Partyを創設。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。また、国内では東国原英夫氏など自治体の首長・議会選挙の政策立案・政治活動のプランニングにも関わる。主な著作は『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』(祥伝社)、『2020年大統領選挙後の世界と日本』(すばる舎)など。
2021年に船出する自由貿易ハブ国家としての日本
2021年も世界は米国・中国の二大強国による影響力争いの継続が見込まれる。日本は二大強国の間に挟まれて両国から強烈な政治的圧力の中で過ごすことを余儀なくされており、日米同盟を基軸としながらも中国に対して是々非々の対応を取らざるを得ない苦しい立場に置かれている。
しかし、日本は自由貿易ハブ国家としての独特の地位を築いてきたこともあり、この困難な状況の中でも自らの道が開く力を有している。

イエレン財務長官の指名で確定的となるバイデン「炭素増税」路線
バイデン氏の米政権移行チームは財務長官にイエレン元連邦準備制度理事会(FRB)議長を指名する決定を公表した。
バイデン氏は金融政策・財政政策の見識を持つ有力な人物を自らの財務長官に指名したことになり、新型コロナウイルスのパンデミック(感染爆発)による経済後退に対して、財金一体となった機動的な対応を行うための人事だと言えるだろう。

バイデンの討論会発言は「民主党左派」の造反を招くのか?
2016年の米大統領選挙、ヒラリー敗北の要因の1つは民主党左派の離反であった。大統領選挙予備選挙において、ヒラリーとサンダースは決定的に対立、その後も党内でのシコリは解消することなく、大統領選挙本選での民主党左派の棄権票や第三極への流出に繋がった。

ポスト安倍に求められる外交・安全保障に関する素養
安倍首相が健康上の理由で退任することになり、日本の舵取りを巡ってポスト安倍候補の名前が取り沙汰されている。そのため、今回の記事では「次の首相を誰が相応しいか」という判断基準として、外交・安全保障面から条件を5つ挙げた。以下の条件を満たす人物こそが日本の首相として任にあたるべき人物である。
(1)日本国益を第一とし、米国・中国に日本の主張を納得させること

2020年大統領選挙、バイデン元副大統領の7つの死角
2020年7月現在、各種世論調査で全米支持率及び接戦州支持率で民主党のバイデン元副大統領がトランプ大統領(共和党)に優位に立っている。実際、5月及び6月の資金調達額でもバイデンが強さを見せており、トランプは非常に苦しい立場に置かれている。

建国の父の銅像がトランプに南部接戦州での勝利をもたらす理由
米国の街中には様々な銅像が立ち並んでいる。それらは街の風景と調和し、米国や地域の歴史、その文化を象徴する存在として人々によって慈しまれる対象となっている。

トランプ VS Twitterが暗示する米国の政治対立の未来
トランプ米大統領とTwitter社の鍔迫り合いが本格化してきた。両者の本格的な対立激化のきっかけはTwitter社がトランプ大統領の「つぶやき」に対し、閲覧に注意喚起を呼びかける表示を行ったことだ。具体的にはトランプ大統領が郵便投票の不正発生に関する可能性と暴動に対する武器使用を示唆する内容を呟いたことに対し、Twitter社がその妥当性に疑義を呈した形となっている。
怒り心頭のトランプ大統領は1996年に制定された通信品位法230条に認められたSNSなどのプラットフォーマーに認められた免責事項に対し、政府がプラットフォーマーが誠実な運用を行っているか否かの調査等を行う大統領令に署名した。この大統領令はプラットフォーマーに重い責任を生じさせる結果を生み出す可能性があり、米国の強みでもある世界を席巻するSNS事業者らの影響力を削ぐことになるかもしれない。(もちろん業者からの違憲訴訟も想定されるため、物事は簡単に進まないとする見方も強いが)

新型コロナ事態はグローバリゼーションを進化させる
新型コロナウイルス及びそれに伴う各国の政策的反応を受けて、「グローバリゼーションが終わる」という言説がまことしやかに垂れ流されている。
都市封鎖、渡航制限、輸出制限、移民停止、国際機関への批判など、様々な状況変化が起きていくことで、一見するとそのような主張に説得力があるように見える。これら主張のコンセプトは国家が行き過ぎたヒト・モノ・カネの移動を制限するようになり、世界が再び国民国家中心の時代になるというものだ。実際、国家単位で過剰な政策対応がなされたことで、世界情勢は近年のグローバリゼーション以前の状態に逆戻りするかのような様相を呈している。

アフター・コロナ、復活する独裁体制との戦い
新型コロナウイルスを巡る問題は、世界の指導者に対して「いずれの国が新型コロナウイルス問題に打ち勝つことができるか」という課題を設定している。そして、現在のところ、世界の独裁国家の指導者たちは自分たちの政治モデルが自由主義・民主主義国よりも効果的に機能していると主張している。そして、民主主義国においても政治指導者が新型コロナウイルスへの対処と称し、プライバシーを始めとした様々な私権への介入を正当化している。
我々は新型コロナウイルスという目に見えない敵と戦っている。この戦いに打ち勝つことはワクチンが開発されて“未知の脅威”が“既知の病気”に変わることによって最終的に果たされる。これは病原体と科学者の戦いであり、我々自身ができることは感染拡大を防ぎ、医療崩壊を抑止することぐらいであろう。場合によっては集団免疫をつけるということも選択肢としてはあり得る。

米国リバタリアンから見たコロナウイルス対策
中国武漢で始まった新型コロナウイルスによって、日本国内でも市中感染が確認されるようになり、連日のようにワイドショーやネットメディアを騒がせている。ワイドショーを見ていると、あたかも日本がウイルス感染で滅ぶかのような印象を受ける。そして、一部の偏ったネットメディアには、同問題を通じて大義名分を得た外国人排除を扇動するかようなものまで存在している。
筆者の見解を正直に述べると、このようなコロナウイルスを巡る一連の報道に対し、完全に冷め切った状態となっている。そして、筆者と同じようにこのような騒ぎに対して、冷静な視点を持って眺めている集団が存在している。それが米国のリバタリアン(左右どちらでもない「自由至上主義者」)である。

中国の新型コロナウィルス問題に対処する3つの視点
中国の新型コロナウィルスによる感染拡大問題は、我々が中国という国家を眺める際に幾つかの重要な示唆を与えるものであった。そこで、下記に3つほどポイントをまとめたいと思う。
(1)中国の危機管理能力とその限界について

米民主党予備選挙結果を左右する選対本部長の手腕
2020年も年明けとなり、米大統領選挙に向けた民主党の予備選挙が来月早々に開始される予定となっている。選挙戦を左右する要素として候補者自身の資質は当然に重要であるが、選挙全体を取り仕切る選対本部長の手腕も注目に値する。そこで、今回は各陣営の選対本部長のキャリアを概観してみよう。
バイデン副大統領の選対本部長はグレッグ・シュルツ氏である。主にオハイオ州におけるオバマの選挙キャンペーンで実績を挙げてきた人物であり、2012年のオバマ再選後はバイデンの上級顧問としてホワイトハウス入りしている。バイデンの資金管理団体である American Possibilities PAC のエグゼクティブ・ディレクターを務め、バイデンとは10年以上の信頼関係によって結ばれていると言えるだろう。その他のスタッフも大手メディア、IT、フィールワークのキャリアを持つ人物が揃っており、本命としての戦いができる人材が揃っている。

ピート・ブティジェッジという社会実験は成功するのか
米国大統領選挙に向けて、保守派が支えるトランプ大統領とリベラル左派が支える民主党候補者らの亀裂が深まり、米国人は自らの国がアイデンティティー政治によって徹底的に分断されていくプロセスを受け入れざるを得ない状況に陥っている。
トランプ大統領が保守派にアピールする言動を繰り返す中、民主党側はエリザベス・ウォーレンやオカシオ・コルテスがリベラル派にアピールする言動で無為に応酬する不毛な状況が継続している。両者の対立は徐々にエスカレートしていき、最近ではトランプ大統領の弾劾調査にまで発展した。弾劾調査の直接的要因はウクライナをめぐる問題であるが、弾劾をめぐる背景にはそれ以上の根深い対立関係があることは誰が見ても明白だろう。

トランプ大統領弾劾がもたらす政局上の地殻変動
民主党のナンシー・ペロシ下院議長がトランプ大統領の弾劾に関する調査を開始することを宣言し、米国の政界は大きく揺れている状態となっている。一見してトランプ大統領にとって、かつてない危機が発生したように見えるが、実はこの弾劾騒ぎは同大統領にとってはプラスに働く可能性も十分にある。
筆者は疑惑内容の信憑性は完全に政局マターとなっているため、それを問うことは取るに足らない議論だと思っている。むしろ、本当に重要なことは「弾劾」がもたらす政局上の地殻変動を見極めていくことだ。

ペンス副大統領の「第二の天安門演説」へのステップ
2019年8月、トランプ大統領は従来までの中国との交渉姿勢を明確に転換し、貿易交渉の妥結を半ばあきらめたように見える。当初、9月1日からの関税引き上げに言及し、中国を為替操作国認定した際には、トランプ大統領は中国との間で農産物を含めた貿易合意を目指していた様子がまだ存在していた。
しかし、中国が農産物に対する報復関税を表明したことで事態は全く異次元の方向にステップアップすることになっている。

トランプ大統領の手のひらの上で転がされる米国政局
米国下院本会議は、7月25日にトランプ大統領が指示する超党派予算・債務上限合意案を可決し、同案は上院に送付されて早々に可決する見通しとなっている。予算は政治そのものであり、この出来事はトランプ大統領の政局運営手腕の辣腕ぶりを示す「取引の芸術」が披露されたものと言える。
今回下院を通過した予算案は、既存の予算上限を裁量的支出が約3200億円上回るものであり、債務上限引き上げに反対する共和党下院議員らから強烈な反対に直面した。実際、共和党議員197人中132人が反対票を投じており、予算が成立した理由は野党民主党の多くの議員が賛成に回ったからである。トランプ政権の野党との表面的な対立を眺めているだけでは理解できない現象だ。では、なぜこのようなことが可能だったのだろうか。

アイデンティティー政治色を強める2020年米民主党大統領予備選挙
6月26、27日、米民主党の2020年大統領予備選挙最初のテレビ討論会が開催された。一定以上の小口献金を獲得する登壇条件を満たした20人の候補者が前半・後半10人に分かれる形でディベートを行った。
テレビ討論会は知名度・人気が足りない候補者に、トップランナーに対する“ジャイアントキリング”(番狂わせ)の機会が与えられるため、民主党側の大統領予備選挙の行方を占う上で非常に重要なイベントである。

米中協議、知的財産権をめぐる2つの視点
米中関係は急速に対立の度合を深めており、両国による報復合戦の火花が散っている。しかし、現在の米中関係がトランプ政権発足時から予定されていたものと単純に想定することは早計であろう。このような急激な変化は徐々に米国内の認識が修正されてきた帰結として起きたと捉えることが妥当だ。
米中協議の焦点は知的財産権をめぐる諸問題にある。しかし、米中協議における知的財産権に関する取扱いは「経済」と「安全保障」の2つの側面を持っており、局面に応じて強調されてきたものが異なっている。米中協議という表面上の文脈が同じであっても、その内容の質的変化を知ることは今後を予測するために極めて重要である。

“超新星”ピート・ブティジェッジ、民主党大統領予備選に旋風起こすか
2020年米大統領選挙にバイデン元副大統領が民主党予備選に出馬表明し、同党側の予備選挙候補者がほぼ出揃った。バイデン氏は Me Too 運動の煽りを受けて、そのブランドイメージを早くも傷つけながらの立候補ということになった。
米大統領選挙は、予備選挙の実質的な期間も含めると約1年半に及ぶ長丁場だ。そのため、現時点で最有力候補だからと言っても、早期に目立ちすぎることは対立候補者やメディアからの集中砲火を浴びるリスクに身を晒すことになる。

ロシアゲート問題の6つの敗者は誰か
いわゆるトランプ米大統領の“ロシアゲート”を捜査していたモラー特別捜査官の報告概要が提出されたことで、ロシアゲート問題自体は一旦収束することになりそうだ。筆者はこの捜査は政治的意図を持った捜査だと思っていたので、もう少し疑惑が残る形での決着となるかと思ったが、米国の民主主義や司法の健全性が証明される形となって良かったと思う。
モラー特別捜査官の報告によって生まれた政治的敗者は5つ。

2020年大統領選挙に向けてマイノリティー票を狙うトランプ陣営
トランプ米大統領による国境の壁をめぐる非常事態宣言の動向をめぐって、昨年末から今年2月半ばまで米国政治に関する話題が独占された状況であった。メディアは政府閉鎖によってトランプ大統領の支持率が低下したことに着目し、彼が壁に関する幾つかの妥協をしたことで民主党下院に対して壁をめぐる戦いで事実上敗北したと強調した。
ただし、大統領選挙の約2年前の現段階における大統領の支持率低下は元々それほど気にする必要はない。実際、トランプ大統領の一般教書演説後、同演説が視聴者に高く評価されたことを受けて大統領支持率は政府閉鎖前の水準にまで回復している。

トランプ大統領が「政府閉鎖で勝利した」と言える3つの理由
トランプ米大統領が国境の壁に関する予算計上の確証なく政府閉鎖を解除する繋ぎ予算に同意したことで、メディア各社は「トランプ大統領敗北、民主党ペロシ勝利」と報道している。しかし、これは非常に短絡的なモノの見方であると言えるだろう。
トランプ大統領にとって最も優先すべき事項は、2020年の大統領選挙で再選することだ。もちろん公約の達成なども重要なことであるものの、政治家の本能とは常に自身の政治生命を保つために全力を注ぐものと考えるべきだろう。トランプ大統領は2019年1月を通して米国の政治シーンを覆いつくした政府閉鎖によって、2020年大統領選挙に向けた前哨戦を制したと言える。以下、その理由を3つのポイントから解説しよう。
