
昭和9年(1934年)2月岐阜県生まれ。日本の英文学者。昭和34年京都大学文学部英文科卒。昭和36年同大学院文学研究科修士課程修了。現在、京都大学名誉教授。
虚偽で行われたイラク攻撃
京都大学名誉教授 渡辺 久義
少し前の話だが、JR福知山線事故の被害者遺族と会社側が、糾弾と弁明といったスタンスでなく、両者共同で事実を正確に知ろうという会合が行われたという、やや気持ちを明るくするニュースがあった。こういう事故の遺族というものは、ただ怒り責任者を責めるのでなく、なぜ自分の身内が巻き込まれて死なねばならなかったのか、その原因となった事実を正確に知りたいという気持ちになるものらしい。

私もシャルリーではない
京都大学名誉教授 渡辺 久義
タイトル(「私もシャルリーではない」)は、あるインターネット・サイトへの投稿論文「私はシャルリーではない」を借りたものである。現時点(1月13日)までに私の読んだ十数編の英文論文を引用しながら、まとめる形で、7日のパリの風刺雑誌社襲撃事件について、私見を述べてみたい(今のところ、これを含め、その3篇を翻訳紹介しているので、創造デザイン学会サイトをご覧いただきたい)。

ネット言論と新聞の“失墜”
京都大学名誉教授 渡辺 久義
いま私が一番書きたいと思っていることは、残念ながら新聞(新聞一般)には書けないことである。私はこの欄に執筆の依頼を受けて以来、長い間書けないでいた。しかしインターネット・サイトには、主として翻訳記事だが、これまでなかったほど頻繁に旺盛に書いている。これは世界的な現象だが、インターネットの世界ではごく普通に言えるが、新聞では言えないことの分裂がますます顕著になってきた。

美しい宇宙解釈と醜い解釈
京都大学名誉教授 渡辺 久義
私(ともう一人の共訳者)の翻訳したデイヴィド・ウィルコック『ザ・シンクロニシティ・キー-宇宙と人生を導く隠れた叡智』(創造デザイン学会訳、アートヴィレッジ)は、4月中旬には書店に並ぶ予定である。「シンクロニシティ」とは深層心理学者C・G・ユングの用語で、意味のある、意図されたかのような偶然の一致を意味する。この本は、「宇宙と人生を導く隠れた叡智」という副題が示すように、日常の経験としてのこの現象だけを論ずるのでなく、宇宙の秘密への多方面からのアプローチを集約する「鍵」として、この語を題に選んでいる。

世は魂の成長のための学校
京都大学名誉教授 渡辺 久義
今、私が翻訳を試みているデイヴィド・ウィルコックの『シンクロニシティ・キー』は、我々の生きている宇宙がどういう構造をしていて、どう動いているかを考える大規模な論考であるが、この場合、宇宙とは物理学者の考える宇宙ではない。この宇宙は無生物も含めて一つのつながった生命だというのが彼の前提だから、単なる物理学的な宇宙ではない。
