昭和31年(1956年)、栃木県生まれ。北海道大学大学院工学研究科修了。82年入社。社会部、経済部、整理部などを経て、現在、経済部長。
「トランプの米国」で改めてG7サミットの存在意義を問い直す各紙
先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が終わった。「北朝鮮問題は国際的な課題の中で最優先事項」で各首脳が一致。首脳宣言には「反保護主義」のメッセージも、安倍晋三首相のトランプ米大統領説得により盛り込めた。
貿易や気候変動では、米国と欧州の首脳の間で溝が最後まで埋まらず今後に火種を残したが、土壇場で分裂を回避できたことは何よりである。

「共存共栄」「反保護主義」謳った「一帯一路」会議に厳しい論調の各紙
中国の習近平主席が提唱したユーラシア経済圏構想「一帯一路」に関する国際会議が終わった。「米国第一」を掲げるトランプ米政権に代わり、「共存共栄」「反保護主義」を唱え、新しい世界経済のリーダー役を務める――そんな狙いの会議だったが、各紙の論調は総じて厳しかった。

日銀9年ぶりの景気「拡大」認識に現実的政策へ軌道修正求めた毎日
日銀が最新の展望リポートで、景気判断を「緩やかな拡大に転じつつある」に引き上げた。「拡大」の表現はリーマン・ショック前の2008年3月以来9年ぶりである。
しかし、その一方で、17年度の消費者物価(生鮮食品を除く)上昇率の見通しは、前年度比1・4%と従来予想(同1・5%)を下方修正し、金融政策は現行の大規模緩和策の維持を決めた。

人口減少に少子化対策の加速訴えた読売、激減後の社会見据えた産経
2053年に1億人を割り、65年には8808万人に減少する――。厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が公表したわが国の将来推計人口である。

短観結果に「好循環へ企業は縮むな」と叱咤する日経に欠ける説得力
「景気好循環へ企業は縮むな」――。日銀が3日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)について、日経が4日付で論評した社説の見出しである。
3月の日銀短観は、足元の景況感は大企業製造業で2四半期連続で改善し、同非製造業や中小企業でも好転しているが、3カ月後の先行きは大企業、中小企業の製造業、非製造業とも軒並み悪化を見込んでいる。

4年目「官製春闘」に経済「好循環つくれぬ」と厳しい政府批判の日経
2017年春闘における自動車、電機など主要企業の賃上げ回答が出そろった。基本給を底上げするベースアップ(ベア)は4年連続で実施となったが、上げ幅は多くの企業で前年割れとなった。

ヤマト運輸取扱量抑制に「物流の革新で」と経済紙の真骨頂示す日経
宅配便最大手のヤマト運輸が、取扱量の抑制を含むサービスの抜本的な見直しに着手する。ネット通販の普及で取扱個数が急増する中、ドライバーの人手不足が深刻化し、長時間労働が常態化している。同社のサービス見直しは、「労働環境が厳しく、サービスの品質を保てない」との同社労働組合からの要望を受けてのものである。

今回のGDPも保守系紙だけの論評、なぜかリベラル3紙は言及なし
内閣府が発表した2016年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比0・2%増、年率換算では1・0%増で4四半期連続のプラス成長だった。

トランプ大統領就任演説に「米国第一」では繁栄失うと批判した各紙
ドナルド・トランプ氏が第45代米大統領に就任した。演説では「米国第一」を宣言し、国益を重視する姿勢を改めて鮮明にした。
トランプ新政権のスタートに対し、各紙社説の論調は軒並み厳しいものになった。22日付(毎日のみ23日)の見出しは次の通りである。

トランプ氏のトヨタ槍玉に「現実無視」「政治介入」と批判、危惧の各紙
新年早々に、祝賀気分を吹き飛ばす“暴風”に見舞われた。今月20日に米大統領に就任するトランプ氏の「トヨタ批判」発言である。
トランプ氏のトヨタ名指し批判はツイッターへの投稿で、トヨタ自動車がメキシコで計画している工場新設に対して撤回を求めると同時に、「米国で作らないなら巨額の税を払え」というもの。

17年の日本経済、国内需要の強化がカギ
2017年が明けた。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」も5年目を迎え、真価を問われる時期である。海外では昨年11月に世界の関心を集めた米大統領選にトランプ氏が当選し、以後、市場はトランプ氏が表明した政策を好感する「トランプ相場」が続いた。そのトランプ氏は20日にいよいよ米大統領に正式就任する。実際にどのような政策を打ち出し、新年の日本経済はどうなるのか展望する。(経済部・床井明男)

17年度予算案で税収頼みの危うさ、歳出改革の不足を批判する各紙
政府が17年度の予算案を決定した。一般会計総額は97・5兆円と5年連続で過去最大を更新。税収の不足分を穴埋めする新規国債の発行額は34・4兆円と7年連続の減額を達成し、麻生太郎財務相は経済と財政のバランスを両立させた予算と評した。
だが、各紙社説の論評は総じて厳しい批判が並ぶ。見出しは、次の通りである。

農業改革で全農に強く迫った読、朝と政府・与党を批判した産、毎
政府の農業改革の方針が先月29日に決定した。農協グループの「商社」機能を担う全国農業協同組合連合会(JA全農)に事業の抜本的な見直しを求めるとともに、バターなどの原料となる生乳流通の自由化が主な柱である。

数字は良かったGDP成長率に「内需」不振で警鐘ならす保守系各紙
「内需後押しの環境作りを急げ」(読売)、「不確実性に耐える改革を」(産経)、「将来不安を映す民需の低迷」(日経)、「自律的拡大へ内需の強化を」(本紙)――
これは14日の今年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値の発表を受けての各紙社説(15日付、本紙は16日付)の見出しである。

米での新規原発稼働でエネルギー政策の現実的な提言行う読売、産経
米国で20年ぶりに新規の原子力発電所が営業運転を開始した。米南東部のテネシー州などに電力を供給しているテネシー渓谷開発公社のワッツバー原発2号機である。

経済失速の主因「消費増税」主張し補正待望論批判する産経の無責任
産経が第3次補正待望論を、13日付社説「主張」で「成長への疑問増すだけだ」と批判している。
総事業規模約28兆円の経済対策の第一弾となる第2次補正予算が成立したばかりであり、3次補正待望論は、産経の言う通り、確かにまだ「論外」であろう。しかも、それが今年末の日露首脳会談を経て、財政措置を伴う対露経済協力として想定されているのであれば、なおさらである。

新電力の廃炉費用負担を「筋違い」とする毎日に乏しい「公益」の視点
経済産業省が、原発の廃炉費用の負担について、電力自由化で新規参入した新電力にもその一部を求める案を示した。
これは同省の小委員会が、自由化が始まった電力市場の競争促進策について始めた議論の一つなのだが、これに対し毎日が、「『新電力に転嫁』は筋違い」と噛みついている。

税制改正の焦点「配偶者控除見直し」で各様の視点を提供する各紙
政府・与党が17年度税制改正に向けた議論を本格化させている。焦点は「配偶者控除」の見直しである。新聞ではこれまでに、朝日、読売など4紙が社説で論評を掲載し、各紙各様の見直しにおける視点を提供している。

三反園知事の原発停止要請を拒否した九電回答を評価した産経社説
九州電力の瓜生道明社長は5日、鹿児島県の三反園訓知事から要請されていた川内原発の即時停止について、応じない方針を回答した。
熊本地震で県民の不安が高まっているとして、直ちに原発を停止し、入念に行うよう求められていた設備点検は、知事の要請とは関係なく、定期検査(1号機は10月6日、2号機は12月16日から)で2カ月余り原発を停止して行うからである。

GDP横ばいに民間の奮起と政府に積極投資促す改革を求める各紙
2016年4~6月期の国内総生産(GDP)は実質で前期比0・04%増、年率換算では0・2%増と辛うじて2期連続のプラス成長にはなったが、実質横ばいだった。

安倍再改造内閣発足に経済再生の加速や構造改革求める保守系各紙
第3次安倍再改造内閣が発足した。安倍晋三首相は会見で「未来チャレンジ内閣」と命名し、2020年とその先を見据えながら1億総活躍をはじめ日本の未来を切り開いていくとの決意を表明した。
新聞各紙は組閣後の4日にそろって社説で論評を発表した。見出しを列挙すると、以下の通りである。

日銀の追加緩和策に「疑問」「手詰まり」と批判の中、理解示した日経
日銀が先月下旬の金融政策決定会合で、追加の金融緩和策を決定した。マイナス金利の導入を決めた1月以来半年ぶりの追加緩和である。株価連動型の上場投資信託(ETF)の買い入れ額を、現在の年3・3兆円から6兆円にほぼ倍増するというのが柱で、企業や金融機関の外貨調達支援も強化するという。
