
昭和13年(1938年)生まれ。35年防衛大学卒業(防大4期)後、北部航空方面隊司令官、航空総隊司令官を経て、平成6年7月航空幕僚長。8年3月統合幕僚会議議長となり、9年10月退官。
北ミサイル潜水艦開発に思う
元統幕議長 杉山 蕃
先日、北朝鮮のミサイル潜水艦開発を決定付ける衛星写真が米国から公開された。映像は北朝鮮造船所の衛星写真で、円筒形の潜水艦用サイロとおぼしきものが2基、かなり明瞭に映し出されているものである。北朝鮮による水中発射成功の映像公開、金正恩研究所視察の際、潜水艦開発の壁掛けチャートを映像に入れる等予告してきた潜水艦開発であるが若干の所見を披露したい。

侮れぬ中国の「大言壮語」
元統幕議長 杉山 蕃
今月は我が国の衆議院選挙が行われ、安倍政権の信任を問うこととなった。選挙結果は小池新党の不振、自民・公明の堅調さが際立つ結果となった。他方、隣国の中国では5年に1度の共産党大会が開かれ、習近平主席体制の一層の強化が確認されると同時に、次期政権の行方を推察させる人事が明らかになった。関連して若干の所見を披露したい。

米新型空母就役に思う
元統幕議長 杉山 蕃
7月22日かねて艤装(ぎそう)作業中の米海軍空母ジェラルド・フォードが就役した旨報道された。これにより米海軍は空母打撃群11隻の体制となり、さらに現在建造中の2番艦ジョン・F・ケネディの就役を待って12隻体制に復帰するようである。今回は空母の趨勢(すうせい)について若干の所見を披露したい。

国の在り方、真剣に論議を
元統幕議長 杉山 蕃
待望の憲法改正の動きが進みつつあるようである。安倍首相は、自民党総裁として、秋の臨時国会で「憲法審査会に自民党の改正案を提出したい」旨発言し、これにより11月には公明党、維新の会との協議を経た改正案をまとめ、臨時国会に提示する予定がうかがえることとなった。

米韓合同演習と北朝鮮の反応
元統幕議長 杉山 蕃
今年の米韓軍事演習は例年通り行われたが、米国新大統領の強硬な発言、北朝鮮の数度にわたるミサイル発射、核実験準備と挑発的宣言が例年を超える緊張をもたらしている。加えて米中首脳会談、在韓米軍への高高度防衛ミサイル(THAAD)搬入、韓国大統領選挙といった諸情勢があり、今後の成り行きは予断を許さないが軍事的見地から所見を披露したい。

韓国はTHAAD配備是認を
元統幕議長 杉山 蕃
韓国への高高度防衛ミサイル(THAAD)の搬入が進んでいるようである。インターネットでは、米軍輸送機による在韓米空軍基地へのTHAAD到着の模様が動画で紹介されている。当初6月配備とされていたが、情勢の緊迫から早期搬入に踏み切ったものとみられる。

戦略原潜基地建設急ぐ中国
元統幕議長 杉山 蕃
南シナ海問題に対し、7月12日注目の仲裁裁判所の判決が下され、提訴国フィリピンの主張に沿った内容の結果となった。中国の一方的活動、主張は、客観的に目に余るものであり、国際的な反応は、「当然の判決」と歓迎する向きがほとんどと言えるだろう。これに対し中国は「判決の無効」を声高に唱え、対決姿勢を鮮明にしているが、今後の展開について主として軍事的観点から所見を披露したい。

カーター米国国防長官の「孤立の長城」発言に思う
元統幕議長 杉山 蕃
今月初め、アジア安全保障会議において、カーター米国国防長官は「中国は南シナ海で自らの孤立を招く長城を築きかねない」と発言し、航行の自由、人工埋め立て地が領海の基点になりえない等の国際基準の順守を促した旨報道された。国際的な観点からは大変理不尽に見える中国の行動、特に浅瀬・岩礁の埋め立て、領土宣言、軍事基地化、そして南シナ海全体を領海とする動きに対し、米国が本腰を入れて反対する姿勢を改めて示したと受け止めている。

中国優位を米と埋めよ-台湾新政権を巡る軍事情勢
元統幕議長 杉山 蕃
5月20日、台湾総統に民進党党首蔡英文氏が就任し、新しい情勢へと移行した。中台関係は、1949年蒋介石国民党政府の遷台以来、極めて複雑な経緯を経ている。71年国連代表権の中華人民共和国への移転以降、双方の統一に係る見解、交渉は歴代権力の最も努力してきたところである。

世界の軍事技術移転の潮流
元統幕議長 杉山 蕃
今年の米韓共同軍事演習は、例年になく激しいやり取りがあったが間もなく終了する。米韓側は、新たな共同作戦計画5015に基づき、一旦発動されたら北朝鮮指導部を殲滅することを明らかにし、北朝鮮は「容赦なき無慈悲な先制核攻撃」を宣言し、ミサイル発射等の恫喝的活動を行ったことは読者ご存知の通りである。

異常な北朝鮮の戦略核開発
元統幕議長 杉山 蕃
毎年この時期、米韓共同軍事演習をめぐり情勢が緊迫し、北朝鮮が挑発的行動に及ぶのが常態化している。今年は北朝鮮が弾道弾発射実験を強行したこともあり、米国はステルス戦略爆撃機B2、ステルス戦闘機F22をはじめ、空母、強襲揚陸艦(ヘリ空母)など最新装備の兵力を派遣し、北朝鮮の核兵器開発に圧力をかける姿勢を顕著にした。これに対し、北朝鮮は「無警告で先制攻撃を行う」といった過激極まりない宣言を行ったほか、「スカッド」と見られるミサイルを日本海に向け発射するなどエスカレートする状態にある。これら諸状況に関し、若干の所見を披露したい。

国力に見合う防衛力整備を
元統幕議長 杉山 蕃
北朝鮮による弾道弾発射、シリア内の紛争、IS(過激派組織「イスラム国」)のテロ活動の活発化など世界の軍事情勢は相変わらず、不安定な情勢が続いている。我が国周辺においては、中国の軍事膨張、南シナ海の一方的な現状変更が加わり、世界的な注目を浴びている。

原油安で流れる露軍事技術
元統幕議長 杉山 蕃
新春は、中国経済への不安感から全世界的な株安でスタートした。そのような中、世界的には原油安という大きな流れが並行し、この影響は極めて大きい。一般に経済・金融面からの論評が多いが軍事面においても大きな影響があることから所見を披露したい。

ISと中国に明け暮れた1年
元統幕議長 杉山 蕃
1年を振り返って防衛の抱える問題について所見を披露したい。
軍事治安関連で最も世界の耳目を集めているのは、「イスラム国」(IS)と自ら称するトルコ・シリア・イラク国境地帯を勢力範囲とするイスラム過激組織の活動であろう。この勢力の活動拡大は、地域の武力による実質支配に留まらず、世界各地へのテロ活動を活性化させ、大きな不安定要因となっている。

中国の南シナ海領有の野望
元統幕議長 杉山 蕃
APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議、ASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議が行われ、懸案の南シナ海における中国の一方的な領有権主張、岩礁・浅瀬への飛行場建設等の力による現状変更について、オバマ大統領、安倍総理をはじめとし、関係国からも中国牽制の表明があった。米国による人工島海域(中国は領海と主張)での海軍艦艇航行と相俟って、南沙問題に新しい展開が見られる状況にあり、若干の所見を披露したい。

戦後70年の特攻戦没者慰霊
元統幕議長 杉山 蕃
安保法制にかかる国会騒動も終わり、10月は各種の戦没者慰霊行事が行われる時期である。皇室の御出席を賜る千鳥ヶ淵墓苑秋季慰霊祭、靖国神社秋季例大祭をはじめ、各種の行事が全国で行われる。筆者は特攻隊戦没者慰霊に携わっているが、10月25日は神風特別攻撃隊敷島隊関大尉以下5名による最初の特攻隊攻撃が報ぜられた日でもある。終戦70年を経た今日、遺族、戦友、関係者の激減する状況にあり、改めて特攻隊員戦没者慰霊について所見を披露したい。
