
昭和13年(1938年)生まれ。35年防衛大学卒業(防大4期)後、北部航空方面隊司令官、航空総隊司令官を経て、平成6年7月航空幕僚長。8年3月統合幕僚会議議長となり、9年10月退官。
ミサイル対処方策の決定に思う
元統幕議長 杉山 蕃
政府は12月18日、6月に断念した陸上配備型迎撃システム「イージスアショア」に代わる代替方策について閣議決定し公表した。6月以降数次にわたる国家安全保障会議(NSC)を経て決定されたもので、周辺国の弾道弾開発に対応する方策が決まった。実に結構なことと考えているが、種々の課題を抱えており、今後の在り方を考えてみたい。
抑止力強化の検討継続

学術会議会員任命拒否に思う
元統幕議長 杉山 蕃
菅内閣最初の決断として、学術会議会員の任命推薦者105人中6人を拒否する発表を行い、野党、学術会議、一部マスコミ等の反発を買い、国民の注目するところとなっている。本件、そもそもの出発点が学術会議の「軍事排斥」路線にあることから、若干の所見を披露したい。

中国海軍増強と我が国の対応
元統幕議長 杉山 蕃
9月1日、米国防総省は、「中国の軍事および安全保障の進展に関する報告書」を発表した。数々の興味ある内容であるが、今回は中国海軍の増強についてコメントしたい。
艦艇数で米海軍を凌駕

中国軍の戦闘機開発事情
元統幕議長 杉山 蕃
米大統領選挙を間近に控えて、中国、北朝鮮の軍事的行動は不活発の感がする。軍事的緊張を高める行為が、強硬派のトランプ米大統領を利することとなるのを恐れての判断ではないかと推察している。今回は、年初に中国軍の空母計画の縮小(国産艦4隻から3隻へ。艦載機開発の遅滞)について紹介したが、関連して戦闘機開発事情について私見を披露したい。

イージス・アショア計画停止に思う
元統幕議長 杉山 蕃
6月15日、防衛省は難航していた弾道弾迎撃用「イージス・アショア(以下AA)」システムの配備計画を停止し、事実上中止する旨、河野防衛大臣が発表、配置を予定していた陸自演習場が所在する秋田・山口両県に陳謝する事態となった。実に残念な結果であるが、問題は多々あろうことから、若干の所見を披露したい。
艦艇での対応には限界

新型コロナ対策への取り組み
元統幕議長 杉山 蕃
新型コロナ感染症に対応している医療関係者への感謝の気持ちを表明し、さらなる努力を激励するため、航空自衛隊ブルーインパルスが白煙を引いて東京上空を飛行した様が放映された。その他、欧州に見習って高層ビルのライトニングにも工夫を凝らしているようである。

抜本的改善必要な感染症対策
元統幕議長 杉山 蕃
猛威を振るったコロナ型新感染症の拡大も、種々の対策が効果を挙げつつある状況となり、さらなる回復が望まれるところとなった。やや愁眉を開く段階と思料するが、社会全体の復興は遠大なる課題であり、国民挙げての精進が必要であろう。
表に出ぬPCR検査数

新型ウイルス禍と生物戦
元統幕議長 杉山 蕃
世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大により、各国はその対応に難渋を極めている。感染拡大防止のため、産業活動の停滞、株価暴落に伴う金融恐慌はもとより、社会活動全般の縮小停滞は、その規模を厳しくせざるを得ない状態である。

海自護衛艦の中東派遣に思う
元統幕議長 杉山 蕃
令和2年2月初頭、出港した海自護衛艦「たかなみ」(4650トン)は、本稿が掲載される頃にはアラビア海到着、アラビア半島南方海域、日本のオイルルートの重要部で、安全運航のため、「調査・研究」の資を収集する活動を開始していることであろう。

日米安保条約改定60年に思う
元統幕議長 杉山 蕃
日米安保条約改定の調印から60年を経た。激しい国内騒動を経て成立した「日米安保」であるが、その道のりは大きな起伏を経る。当時学生であった筆者は、まさに安保とともに、自衛官生活を送ってきた。制服自衛官として、部隊勤務であるいは幕僚として常にその恩恵を感じつつ過ごしてきた者として若干の所見を披露したい。
相反する理念持ち誕生

予算低迷10年の影響深刻
元統幕議長 杉山 蕃
早いもので、令和元年も師走の声を聞く。大いに荒れた日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)問題も米国の強力な仲介で韓国が折れた形で継続されることとなった。まずは結構なことと受け取っている。

北の「北極星3号」開発に思う
元統幕議長 杉山 蕃
10月初頭、北朝鮮は水中発射の中距離弾道ミサイル(IRBM)「北極星3号」の発射に成功したとし、その画像を公表した。国連決議を欺くその行動は誠に遺憾であり、一層の制裁強化を必要とするが、関連して水中発射の母体となる潜水艦事情についてコメントしたい。

「いずも」改修に思うPARTⅡ
元統幕議長 杉山 蕃
各省庁の次年度概算予算要求がまとまり、懸案のヘリ搭載護衛艦(DDH)の改修に、取りあえず甲板の耐熱性向上費として31億円が計上された旨報道された。結構なことと考えているが、最近その重要性が評価されている強襲揚陸艦について所見を4月に続き披露したい。

安保不公平論とホルムズ海峡
元統幕議長 杉山 蕃
20カ国・地域(G20)大阪サミットに際し、トランプ米大統領が「日米安保不公平論」を展開したことから、外交防衛論者が一斉に、対応する意見を述べ、ちょっとした騒動になった。

進む中国の空母部隊建設
元統幕議長・杉山 蕃
6月上旬、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が福岡で実施される中、空母「遼寧」が宮古水道を抜け太平洋へ進出、他方、米第7艦隊と海自「いずも」は、日米共同訓練を南シナ海で実施するという対極的行動が報ぜられた。

原子力推進艦艇装備の勧め
元統幕議長 杉山 蕃
先日、陸上自衛隊が装備する対艦ミサイル(12式地対艦誘導弾)の射程延伸が計画されている旨報道された(産経)。本件は、数度にわたって筆者が主張してきたところであり、誠に結構なことと考えている。

令和の時代の平和を考える
元統幕議長 杉山 蕃
平成の御代は、30年の歴史に終止符を打った。上皇陛下が御退位を目前に、在位30年を顧みて、「平成が戦争の無い時代として終ろうとしている事に心から安堵(あんど)」なさっている旨のお言葉を公にされ、退位礼正殿の儀でも「令和が平和で実り多くあることを願う」旨のお言葉を賜った。まさにその通りのお言葉と受け止めているが、時間とともにそのお言葉の奥深さに感じ入っているところである。

護衛艦「いずも」改修論に一言
元統幕議長 杉山 蕃
1月の当欄で、F35B戦闘機の導入を前提にした、「いずも型」ヘリ搭載護衛艦(DDH)の改修に関連し、短距離離陸・垂直着陸戦闘機(STOVL)、強襲揚陸艦について紹介したが、引き続き海上航空防衛力の育成について私見を披露したい。
