
日本安全保障・危機管理学会上席フェロー。インテリジェンスおよびロシア担当。2016年2月まで防衛大学客員研究員。米、英、仏、独と連携するサイバーG5(知的所有権窃盗等)専門家会合の委員。仏CNAMセキュリティ防衛リサーチセンター上席フェロー。
「韜光養晦」実現に拍車かける中国
日本安全保障・危機管理学会上席フェロー 新田 容子
2020年は米中の覇権争いに明け暮れた一年とも言えるが、1990年代に鄧小平が中国の外交・安保方針として唱えた「韜光養晦(とうこうようかい)」(才能を隠して、内に力を蓄える)を押し進めた一年であった。

デジタル庁創設に向けて
日本安全保障・危機管理学会上席フェロー 新田 容子
米中の通信技術に係る舌戦激化について連日メディアが取り上げる中、我が国ではロシアについての発信はヘッドライン程度の内容にとどまっている。

デジタルリスクの展望 ~米・中・露 情報戦の実情~
日本安全保障・危機管理学会上席フェロー 新田容子氏
日本安全保障・危機管理学会上席フェローの新田容子氏は22日、世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤譲良・近藤プランニングス代表取締役)で、「デジタルリスクの展望~米・中・露 情報戦の実情~」と題し講演。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、動画サイト「ユーチューブ」のライブ配信を通じて行われた。

新型コロナ情報戦 中国、通常の300倍発信
新田容子氏 世日クラブで講演
世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良〈ゆずる〉・近藤プランニングス代表取締役)の定期講演会が22日、動画サイト「ユーチューブ」のライブ配信を通じて行われた。日本安全保障・危機管理学会上席フェローの新田容子氏が「デジタルリスクの展望~米中露・情報戦の実情~」と題して講演した。

多様多層的な中国経済スパイ
日本安全保障・危機管理学会上席フェロー 新田 容子
次世代通信規格「5G」を含む次世代テクノロジーや、新型コロナウイルス感染症のワクチン研究関連の情報、知的財産の窃盗をめぐり、米中の覇権争いの激化がクローズアップされている。米国のほか、日本を含む企業数百社が中国スパイの標的になった。

新たな偽情報戦仕掛ける中国
日本安全保障・危機管理学会上席フェロー 新田 容子
新型コロナウイルスは、今まで鉄のカーテンで覆われていた政治の隠蔽(いんぺい)体質が透明のカーテンで透けて見える世界をもたらした。コロナウイルスの拡散を通して、中国はロシア政府の戦略から学び、今やクレムリンメソッドからテーラーメイドに仕立て上げた斬新な偽情報戦を実施している。
ロシアの宣伝装置利用

新型コロナと中国のプロパガンダ
日本安全保障・危機管理学会上席フェロー 新田 容子
中国は、世界に先駆けて新型コロナウイルスに取り組み、責任を果たす慈悲深い“世界の大国”というイメージを植え付けようとしている。これは習近平国家主席率いる中国のシステムが、西側のそれよりも効果的であることを見せ付けたいとする野望と一致している。しかし世界がその意見を共有するかどうかは別の話だ。

チャイナパニックから得る教訓
日本安全保障・危機管理学会上級フェロー 新田 容子
世界を震撼(しんかん)させている新型コロナウイルス肺炎の感染拡大が止まらない。世界保健機関(WHO)はやっと1月30日に「緊急事態宣言」を宣言した。我が国もこの流れに基づき、感染症法で定める指定感染症の政令日を前倒しするなど迅速な対応を進めている。

ロシアのインターネット主権法
日本安全保障・危機管理学会上級フェロー 新田 容子
ロシアは外国とのインターネット通信を遮断・制限するとした「インターネット主権法」を11月1日に発効した。ロシア側は外国からのサイバー攻撃やテロ活動に対する有事の際の防止策だと説明している。この背景には2018年9月に採択された米国の新サイバーセキュリティー戦略で用いられた、以前とは異なる強い語調にあるとされる。

米中テクノロジー争覇の行方
日本安全保障・危機管理学会上席フェロー 新田 容子
ポンペオ米国務長官は、今年2月、中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)の機器を通信ネットワークで使用するリスクについて、同機器を採用して情報システムの一部に組み込む国は情報の共有はせず、ビジネスはしない、経済制裁も厭(いと)わないと同盟各国に厳しい警告を発した。

侮れぬイランのサイバーパワー
日本安全保障・危機管理学会上席フェロー 新田 容子
昨年5月、米国が2015年に米英独仏中露とイランの間で結んだイラン核合意から、一方的に離脱すると表明後、両国間で軍事的挑発がエスカレートしている。この6月、米国はイランによる無人偵察機の撃墜を受け、報復措置としてミサイル発射やスパイ活動に関わるイランのコンピューターシステムにサイバー攻撃を行っていた。

中国のサイバー軍事利用
米国国防情報局(DIA)が1月に出した中国軍事力報告書によると、人民解放軍(PLA)の指導部は敵側に匹敵する軍事力を誇っている。
中国の2018年度軍事予算は2000億ドルを超え、02年比3倍の増額だ。2000年から06年までは年10%増、過去2年は5~7%増だった。

情報覇権で牙むく米中
技術開発のスピードが、米中関係を決める鍵になると注目されている。米中の貿易摩擦の根底にあるのは、中国の技術覇権を叩(たた)く上での布石にすぎない。現在、技術覇権と表現されているが、この2カ国が牙をむき出しにして互いを凌ぐ勢いを削(そ)ごうとするのは、データ覇権、つまりは情報覇権の戦いだ。軍事覇権への懸念がある。
2018年暮れにかけて、オーストラリア、米国を発端としてスマートフォンの世界シェア第2位の中国テクノロジー企業ファーウェイを第5世代(5G)通信網向け機器の調達から締め出す動きに、ニュージーランド、日本、フランス、イギリス、ドイツも同調を加速させている。軍事利用への懸念が大きい。

ロシアの影響工作に備えよ
先月末、ロシア連邦保安局(FSB)がアゾフ海でウクライナ艦船を拿捕(だほ)するという事態が発生した。この情勢はロシアが2014年3月、国際法に違反してクリミアを併合した結果だとする声が多いものの、いまだその背景など詳細は不明である。また、10月には米司法省は米国の政治に干渉したとしてロシア国籍の人物を訴追した。当活動にはサンクトペテルブルクに拠点を置く広告企業だが、ロシア政府のプロパガンダを担っているインターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)も含まれている。
一連のロシアの影響工作は他国の外交政策にも影響を及ぼし、民主主義を揺るがす根本的な要素となっているため、改めて紐解く。

軍事演習が示す中露関係
9月初旬にモスクワからシベリア地方で行われたロシアの軍事演習「ボストーク2018」は、特筆すべき点が二つある。一つ目は30万人もの兵士が参加した冷戦以来の大規模なものであったこと。二つ目に初めて3200人もの中国人民解放軍を招き入れ、実質的に露中合同の軍事演習であったことだ。過去においては、例えばベラルーシなど正式な軍事同盟を結んでいる国との合同演習が常だった。
また、同時期にウラジオストクでは東方経済フォーラムが開催されていた。習近平国家主席も出席、今年3回目のプーチン大統領との会談を行った。中国はこのたび、1000人を超える圧倒的人数でプレゼンスを見せ、ちなみに日本側からの参加者数はこの半分であった。

ロシアのサイバー連携の狙い
現在、世界は情報通信技術(ICT)の深化により社会的・経済的に新たなチャンスが生まれ、巨大市場が生まれつつある。同時にICTが国家間の権力闘争、安全保障の新たな火種にもなっている。
中国の習近平国家主席は、人工知能(AI)に巨額の予算と人員を投じて2030年までに世界のリーダーになる戦略を打ち出した。ロシアのプーチン大統領は「AIを制覇する国が世界を制覇する」と公言し、安全保障政策でも国家のピラー(柱)とすることを示している。

強まる北朝鮮サイバー戦力
現在、全ての目が12日に開催予定の米朝首脳会談に注がれている。米国側は、検証可能で不可逆的な核放棄を北朝鮮側に強く求めているが、ポイントは核廃棄の検証とその達成方法だ。北朝鮮が核実験施設を閉鎖すると表明したことは歓迎すべきだが、世界は今後もサイバースーパーパワー国である北朝鮮が「核を放棄したとしてもサイバー攻撃はやめない」という現実に向き合わねばならない。
米国やその同盟国に対する北朝鮮の大規模な破壊力を持つサイバー攻撃力は、核同様、手塩にかけて育ててきた最も重要な国家資産だ。トランプ政権が金正恩労働党委員長に非核化を促せば促すほど、金政権はサイバー兵器に固執する。米朝首脳会談をはじめ、今後の協議次第では地域を不安定化させる力を誇示するツールとして活用させるだろう。

ロシアの反射的制御戦略に対策を
現在、トランプ米大統領を最も危惧させているのは、元連邦捜査局(FBI)長官のロバート・モラー特別検察官による捜査であろう。中露の構想である朝鮮半島の非核化、米中貿易摩擦の激化、プーチン政権が支援するシリアの化学兵器疑惑、英国での元ロシア情報員暗殺未遂事件よりもはるかに。
モラー氏はトランプ政権とロシアの結託についての調査を行っている。トランプ氏の脅しにも屈しない海兵隊出身の高潔なモラー氏は、ロシアの米国大統領選挙への介入、トランプ氏のロシアビジネスでのマネーロンダリングに関与した疑い、同氏の司法妨害、加えて同氏の個人顧問弁護士であるマイケル・コーエン氏の事務所をFBIが捜索するなど、淡々と手法を発揮しているように見える。今年11月に控えた中間選挙までに米国民が正しい審判を下せる決定的な材料を打ち出せるだろうか。

過熱する情報戦争 露の意図的なサイバー攻撃
現在、ロシアを含め、政治的、法的、メディア、インテリジェンス、心理的かつサイバー戦争といった手段を利用することにより、自国の戦略目標を達成すべく、重要な情報戦争能力を高める国が目立つ。
本稿ではロシアの歴史にも触れつつ、サイバーオペレーションの現在の状況について考察を述べたい。

北朝鮮のサイバー戦 違法な通貨獲得の手段に
北朝鮮の弾道ミサイルに対抗するため、小野寺防衛大臣は、日米が共同で開発する新型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」搭載の「イージスアショア」(陸上型イージス)の導入を決断、この19日にも閣議決定される見通しだ。政府関係者によると、2基配備すれば、日本列島全体をカバーできると想定している。
かたや、北朝鮮からと見られる木造の漂流船が急増し、厳しい悪天候の中でも苦しい食糧事情により国から指示を受けての中、漁を行っているという。そして北朝鮮は7000人以上とも言われるサイバー軍を抱え、ビットコイン(ネット上の仮想通貨)のマイニング(採掘)にも着手し、今年5月に世界が被害を受けたランサムウェア<Wanna Cry>との関連があるとされる。
