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堂本かおる
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ニューヨーク在住フリーランスライター
菊田 均
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文芸評論家
松本 健一
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小名木 善行
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大島 直行
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時広 真吾
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渡辺 久義
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京都大学名誉教授

中岡 弘 rss (文化)

ライター一覧
中岡 弘

1956年(昭和31年)島根県に生まれる。大阪大学文学部を卒業後、渡米し、神学大学院で宗教教育学を学ぶ。著述家。

「私は死んだのですか?」3・11被災地の“幽霊現象”

 2011年以来、3月11日が近づくと、毎年メディアのカメラは東北に向かう。今年も例外ではない中で、一風変わって興味が引かれたのはNHKの「ろんぶ~ん」。ほとんどのレポートが残された人たちの立ち直りにフォーカスしているのに対して、逝った人たちの思いに目を向けようとするものです。

 3月7日の番組では、「東日本大震災による爪痕の将来性に対する検討―宮城県石巻市における幽霊現象を事例に―」という東北学院大学4年生(当時)の論文を紹介しました。

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「それぞれの家庭が、小さな世界だな」

 近藤麻理恵さんは「KONMARI」という愛称で、今や世界中の人々をかなり夢中にさせているようです。

 近藤さんは自称「片づけコンサルタント」。2010年に出版された『人生がときめく片づけの魔法』がミリオンセラーになったので、ご存知の方も多いでしょう。

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この世には、確かに、特別な人がいる

この世には、確かに、特別な人がいる。

 野球界なら、長嶋茂雄。  歌謡界なら、北島三郎。  テニス界なら、大坂なおみ。

 全豪オープン初優勝にして、世界ランキング1位、おめでとう。

 ところで、そのように群を抜いた人が全体の0.1%だとすれば、残る99.9%は特別な人ではない。

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「介護ができて、とても嬉しい」

 還暦を過ぎた古い友人が時々集まって話すと、最近は決まって介護の話が出る。父母はどこも80代以上、仕方のないことでもあり、お互いに苦労話の競い合いのようになったりするのです。

 今年の正月も集まって、「お正月はどうでしたか?」と水を向けると、一人の婦人が、「大変だった。目が回るほど忙しかった」と、その大変さを話し始める。

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「女性が動くと、富の運動が起こる」

 社会人類学者、レヴィ・ストロースは、『親族の基本構造』(1949年)の中で、結婚をめぐる人類学上の問題に独創的な視点を提出しています。

 「人間社会では一人の男は女を別の男から受け取るしかなく、男は別の男に女を娘または姉妹というかたちで譲渡するのである。…ほとんどの親族体系において、任意のある世代において女を譲り渡したものと女を受け取ったものの間に発生した始原の不均衡は、後続する世代において行われる反対給付 (contre-prestation) によって相殺されるしかないという事実である」

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棋士は体で将棋を指す

 人工知能が過去の棋譜を学習するとき、それは二次元の盤面情報を処理している。これは、今の技術レベルでは人間の能力を圧倒的に凌駕します。

 ところが、学習の成果を使って自ら機械を動かして人間らしい振る舞いをさせようとすれば、三次元の空間情報を処理しなくてはならなくなる。二次元から三次元への進展は、かなり難しいのだろうと思います。情報量が圧倒的に膨大で複雑になるからです。

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「模倣と独創の本当のありよう」

 小林秀雄本人の本ではないが、小林の文章をふんだんに引用しながら「近代」というものが抱える問題を掘り下げようとする『小林秀雄の警告』(適菜収著)が、一風変わっていて、面白い。

 引用は小林だけではない。ゲーテ、ベルグソン、本居宣長のほか十指にあまり、引用の総計はおそらく本書全体の3割から4割にはなるでしょう。

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「女性のほうが、ちょっとだけ優秀かな」

 気鋭のテックジャーナリスト、サラ・レイシーによれば、母親が育児を通じて身に着ける強さには4つある。そしてその4つともが、さまざまな形でキャリアプラスにもなるという。

その4つとは、

① 生産性 ② スタミナ ③ 創造性 ④ 共感的なマネジメント

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どう考えたって、ママがいいに決まっている!

 この前、就活の合間を縫って帰ってきた娘と話しているとき、「もうすぐ、父の日だね」という話になった。

 「そう言えば、そんな日があったか」と思って、「母の日はみんな覚えていて、盛んに感謝したり、プレゼントが行き来したりするけど、父の日というのは、なんだか付け足しみたいだね」と言うと、娘がちょっと憐れむような目をして、「お父さん、自分でそんなこと言って、可哀そうだね」と言う。

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「初動対応の躓き」はアダム・イブの時に犯していた

 この度の日本大学アメリカンフットボール部の騒動は百家争鳴状態で、アメフトも知らない私の出る幕でもないのですが、素人なりに思うところを少しだけ書いてみようと思います。

 監督とコーチは、「クォーターバックをつぶせ」という指示を出したことは認めた。その上で、「ただ、それは怪我をさせろいう意味ではない。思い切って当たれという意味だ」と釈明したのです。これには「問題は、こちらの言葉を誤解して反則プレーをした選手にある」という含みがある。

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小林秀雄と岡潔の“直観と確信の雑談”

 大学生の頃に愛読した本が地元の小さな本屋の書棚に、薄っぺらい文庫版になって並んでいるのを見つけた。

 『人間の建設』(小林秀雄・岡潔)

 「新装になって久しぶりにお目にかかります」と言っているようです。これはもう買うしかない。本の裏表紙には、「日本史上最も知的な雑談」と謳っています。

 確かに、自由な雑談の魅力は横溢している。しかし「知的」と言えば、それはちょっと違う気がします。

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「迷いのない結婚」

 先日、地元のある婦人同好会に呼ばれて「結婚と家庭」をテーマにした小さな講演会をした折、話の枕に、映画「いま、会いにゆきます」を紹介し、「これには、実は後日談があります」と、話を進めたのです。

 後日談というのは、映画では相思相愛、純愛の夫婦役を演じた2人がその後、実際に結婚したものの、3年後に離婚に至ったという現実です。つい最近ネットで知って、理想と現実の乖離を示す象徴的な話だなと思って取り上げたのですが、参加者たちの反応はちょっと予想外でした。

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あの世から届く亡き人たちの優しい想い

 1万5000人以上の犠牲者を出した、あの東北大震災から、すでに7年が過ぎました。

 7年目のちょうどその日、午後テレビを見ていると、『魂でもいいからそばにいて』(奥野修二著)が取り上げられている。副題は、「3.11後の霊体験を聞く」というもの。家族や親しい人を突然失った人たちが、その後体験したさまざまなこと。その中に「霊体験」と呼ぶしかないものがたくさんあるというのです。

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「すみれは、すみれ」―岡潔先生のこと

 先日、何気なくテレビのスイッチを入れると、金曜ロードショーで邦画を上映している。タイトルを調べると、「天才を育てた女房」とある。

 佐々木蔵之介が演じる主人公は、細身で、豊かな髪はぼさぼさ、振る舞いはどこか変人じみている。妻と思しき女性や友人が彼のことを「きよっさん」と呼んでいる。もうしばらく見ていると、友人が、「岡さん」と呼ぶではないか。「ええっ!岡のきよっさん。岡潔先生?」と、そこで初めて気がついた。改めて番組表を出してみると、副題に「世界が認めた数学者と妻の愛」とある。間違いない。

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「私が、今日あなたが読む本ですよ」と本が呼びかけてきた

 電子書籍なるものが出版されるようになり、それを気楽に読めるタブレットが普及するようになると、「このままでは、紙の書籍は次第に押されて、そのうちになくなるのではないか」とも囁かれたことがある。

 確かに、書籍に限らず、雑誌にしろ新聞にしろ、その部数は減少傾向にあるのかも知れません。しかし、すっかり消えてなくなるということは(少なくとも当面は)ないような気がする。

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「驚くべき『訓読み』」を編み出した先祖に感謝

 感謝の言葉「ありがとう」を書くとき、私はなるべく漢字仮名交じりで「有り難う」と書く。

 この時、2つの漢字はどちらも訓読みしています。そうすると、この言葉の意味は、「有ることが難しい」だと推察でき、「元々は、有ることが難しい、つまり普通では有り得ないような良いことが起こる、という意味だ」という解釈がすんなり納得できるのです。

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「幸福はお金で買える」宝くじ考

 経済学の世界では、「宝くじは愚か者に課せられた税金」と定義する人もいるという。(『宝くじで1億円当たった人の末路』鈴木信行著)

 毎年の年末には「年末ジャンボ」などといって、万が一にも当たれば10億円と喧伝するので、多くの人が一攫千金の夢を描いて宝くじ売り場に列をなす。

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「会話する森の樹木たち」

 昨年来、シリーズで放映されているNHKスペシャルで、「人体の臓器は互いに会話し合っている」という最新の知見には、とても啓蒙される内容が多い。

 脳だけが唯一の司令塔ではなく、すべての臓器はあたかもインターネットのごとく互いに情報を送受し合っているというのです。

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「有り難い」という言葉の力

 「有り難い」ことは、どのようにして私の身に起こるか。

 普通の考えでは、私に徳があるとか、誰かに親切を施すなどすれば、その結果として「有り難い」ことが起こり、その逆だと「有り難くない」ことが起こる。善因善果、悪因悪果です。

 しかし特別な徳でもなく親切でもなくても、「有り難い」という言葉自体にも力があるという話を聞くのです。言霊信仰のようでもあります。

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「有り難い」ことの必然と偶然

 30代の前半、米国の神学校でキリスト教を学びながら、考えたことがある。

 「神を信じる信仰者と、神を信じないという無神論者と、根本的に違うところがあるとすれば、それは何だろう?」

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「いじめをやめないのは、脳なのか」

 「人はいじめをやめられない」と、脳科学者、中野信子さんは、脳科学の観点から言う。集団をつくることによって生き延びてきた人間は、集団の秩序を維持し、外敵から守るために、異分子を制裁・排除せざるを得ない事情を抱えている。そういう事情の中で、過剰な制裁が行われるとき、それが「いじめ」として現れる。

 脳の仕組みから考えても、それが仕方ないとするなら、せめてできることは、脳の仕組みをうまく利用して、少しでも「制裁・排除行動」を緩和する方法を考えよう。中野さんは、そう考えるのです。

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「藪医者になれ」

 腕の悪い、頼りない医者のことをなぜ「藪医者」というのかについては、諸説ある。私は落語が好きでよく聞くが、「ちしゃ医者」などを演じるときには、噺のまくらに、この「藪医者」の謂れなどをおかしく解説する噺家が多い。それによれば、主要な説は2つ。

 まず一つ目の説。

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「無意識に聞いてみよう」

 長湯が好きではないのに、先日知人に誘われて、珍しく温泉に行った。知人は十分長湯をしたが、私は一つだけ、バブルの噴き出る浴槽に入って、10分ほど浸かった。

 せっかくの温泉だから何も考えずボーっとしていたいと思っても、どこからどうやってくるのか分からない、あてどもない想念が浮かんでは消えていく。その時の想念の一つが、少し前に読んだ最近の脳科学の知見の一節。

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