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石井 貫太郎 rss

ライター一覧
石井 貫太郎

昭和36年(1961年)東京都生まれ。 昭和61年(1986)、青山学院大学大学院 経済学研究科修士課程修了後、慶応義塾大学大学院 法学研究科政治学専攻後期博士課程修了(法学博士)。 東洋英和女学院大学助教授を経て現 ・ 目白大学社会学部地域社会学科教授。専門は政治学 ・ 国際関係論。日本国際政治学会会員。 日本国際法学会会員。 著書:『現代の政治理論』(ミネルヴァ書房 1998年)、『現代国際政治理論(増補改版)』(ミネルヴァ書房 2003年)、『リーダーシップの政治学』(東信堂 2004年)他、論文多数

米中新冷戦時代の到来

 去る10月4日に米国のペンス副大統領がハドソン研究所において行った中国に関する演説は、これまでの米中関係をリセットし、中国を米国の敵国として明確に認識するという内容であった。貿易不均衡の是正を目的に始まったこの米中対立は、今や経済分野にとどまらず、政治外交や安全保障の分野にも波及した新冷戦とも言うべき構図へと進展している。

 その背景には、北朝鮮問題でいくら懐柔策を取っても米国の意向に反する活動をやめなかった中国に対する怒りがあり、こうした米国の強硬路線への転換はむしろ習近平による北朝鮮政策の失敗が生み出した産物であると言える。

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米朝会談は甚大な成果

 米国のドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長との首脳会談がシンガポールで実現してから1カ月が過ぎようとしているが、この間にその成果をめぐってさまざまな議論がなされてきた。例によって、トランプ大統領と険悪な状態にある米国メディアを主要なニュース・ソースとする日本の大手メディアは批判的な論調が強い。

 まず、会談後に公表された両国の共同宣言には最終的な目標としての朝鮮半島の非核化が明記されたにとどまり、具体的な方法や日程の提示がなかったことである。しかし、両国の首脳会談は史上初の試みであり、まずは顔合わせをすることが最大目的であったはずである。また、北朝鮮にはこれまで具体的な取り決めをしてもそれを反故(ほご)にして裏切りを繰り返してきた経緯がある以上、むしろ長い間、迷宮の奥に居座ってきた北朝鮮指導者を国際社会の白州へ引き出したトランプ大統領の功績は、かつての米国大統領たちの誰もがなし得なかった甚大な成果である。

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平昌五輪後の国際関係 トランプ外交に対抗する中露

 日本選手たちの華々しい活躍がわれわれの目を楽しませてくれた半面、南北融和の演出が繰り返された平昌五輪も閉幕し、いよいよ国際関係が小康状態を抜け出してきた。

 まず、アメリカのトランプ政権が打ち出した保護貿易主義の強化である。これは、米国が輸入する鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の高関税を、カナダとメキシコを除き一律に課するという宣言である。戦略的に重要な物資の自給率を高めるためという名目であるが、一見してそれがこうした業種の国内産業を保護し、雇用を拡大するための軍事ケインズ主義政策の一環であることが分かる。

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米大統領アジア歴訪 北朝鮮の核にトランプ外交徹底

 去る11月5日から7日にかけて米国のドナルド・トランプ大統領が来日し、安倍晋三首相と首脳会談を行った。これに先立つ3日から4日にかけては、われわれは同大統領のご令嬢にして補佐官たるイバンカ・トランプ氏のたおやかな姿も目にすることができた。その後、同大統領は7日の訪韓を経て、8日から9日には中国を訪れて習近平国家主席と会談し、さらにベトナムやフィリピンで開催される国際会議へと出席する。

 ところで、この時期にトランプ大統領がアジア諸国を歴訪する理由は、大きくいって二つある。最大の懸案は、言うまでもなく北朝鮮の核・ミサイル問題への対応であり、いま一つはアジア・太平洋地域の経済関係において米国の有利な立場を確立することである。

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トランプ大統領4カ月 帰ってきた「世界の警察官」

 トランプ米大統領が就任してから4カ月が経(た)とうとしているが、当初から世界中の多くの人々が彼に抱いていた不安感が少しずつ溶解し始めているように感じられる。おそらくその最大の理由は最近の彼の外交政策にある。化学兵器を使用したシリアのアサド政権への制裁として軍事施設をミサイル攻撃で壊滅させるや否や、返す刀で核・ミサイル開発を強行する北朝鮮への軍事的威圧を強めたのである。

 衆目の心配をよそに間髪を容(い)れることなく対応措置を講ずるトランプ大統領の姿は、口先の批判ばかりで具体的な行動を取らなかった前任者のオバマ氏とは雲泥の差であり、あたかも「世界の警察官」たるアメリカが帰ってきたかのような印象を世界中に与えている。こうした一連の政策により、多くの人々がトランプ大統領の過激な発言の裏に隠されていた決断力と行動力を目の当たりにすることとなった。

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トランプ米政権の登場 リアリズム時代の外交力を

 昨年12月は、日本外交にとって大きな節目となる出来事が相次いだ。一つ目はロシアのプーチン大統領が来日し、日露協調の進展が見られたことである。

 ロシアの立場に立てば、日本は彼らが対立する米国の同盟国であり、未(いま)だにEU(欧州連合)諸国の対ロシア経済制裁に加わったままの国である。おまけにわが外務官僚が領土返還という歴史的要素にこだわる姿勢を崩さないばかりか、日本の強靭(きょうじん)な経済力に飲み込まれてしまう危険性すらある。

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日露の北方領土交渉 正念場を迎える安倍外交

 現在、日本とロシアの関係は新しい局面を迎えようとしている。本年9月2日にウラジオストクで安倍首相とプーチン大統領が会談したのを契機として、12月には同首相の故郷である山口県に同大統領が招待される予定となった。また、今後も両国関係を協議する定期会議がウラジオストクに常設されることも決定した。

 もちろん日露両国は、これまでにも協調関係を進展させるための努力をしてきた経緯があるのだが、そのたびに北方領土問題が障害となり、進展の道が閉ざされてきた。しかし、今回はようやくその懸案の具体的な協議をも含めた外交が進展する可能性が高くなったのである。

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新孤立主義と日米同盟 次期米大統領に備えよ

 いよいよトランプ大統領の誕生が現実味を帯びてきた。共和党の対立候補たちが撤退し、事実上同党唯一の候補者となったのである。それに比べて民主党のクリントン候補は、いまだにサンダース候補の執拗(しつよう)な食い下がりを断ち切れないままにある。最近の世論調査では、いずれの媒体でも両者の支持率は40%前後で拮抗(きっこう)しているらしい。

 トランプ大統領誕生の可能性をどうしても認めたくない米国のメガメディアは、彼の前途に共和党の内紛という暗雲を設定したがる傾向がある。これまでの選挙活動で他の候補者を過激に批判してきた恨みを買っているので、共和党がトランプ支持で全面的にまとまるのは難しいというわけである。

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トランプ封じ込めの失敗 二極化でメガメディア凋落

 いわゆるスーパーチューズデイ(3月1日)の結果を受けて、いよいよ米国に「トランプ大統領」の出現が現実味を帯びてきた動向に危機感を抱いた日米のメガメディアは、こぞって反トランプの論陣を張って国民世論への啓蒙活動を展開し始めた。

 しかし現在までのところ、こうしたキャンペーンの成果は一向に上がらず、その後のミニスーパーチューズデイ(3月15日)でも勢いは止まらずトランプ候補の圧勝となり、今や彼は共和党の大統領候補者指名に必要な票数の半分を手にする最有力候補者としての基盤を固めつつある。

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