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池永 達夫 rss

ライター一覧
池永 達夫

昭和28年(1953年)2月8日、広島県音戸町生まれ。1972年より7年間、広島大学物理学科に学ぶ。その後、ジャーナリストの道を志し、ユーラシア大陸ルポや専門家インタビューで活躍。編集局論説室長、解説室長、整理部長、バンコク支局長歴任。著書に「動き出した中国式資本主義」「病にも克った!もう一つの『偉人・英雄』列伝」は、平成国際大学の2013年の国語の入試に使用される。

ミャンマー政府、ロヒンギャ問題で外交攻勢

 ミャンマー政府の実質的トップであるアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は、12月初旬に予定していたインドネシア訪問を取りやめた。ミャンマー西部ラカイン州で国軍がイスラム教徒ロヒンギャを迫害しているとして、ジャカルタのミャンマー大使館前などで抗議デモが起きたためだ。ミャンマー政府はこのロヒンギャ問題に対処するため、19日にヤンゴンで東南アジア諸国連合(ASEAN)の非公式外相会議を開催する。(池永達夫)

 ロヒンギャとは主にミャンマー西部ラカイン州に居住するイスラム教徒少数民族。国連推計で約80万人が同州に暮らす。

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中国から北風、米国から突風の台湾

 台湾のトップである総統に民進党主席の蔡英文氏が就任して半年が過ぎた。中国は「一つの中国」原則を認めない蔡政権との公式対話を一方的に中断し、中国人観光客の台湾訪問のバルブを閉めるなど中台関係は冷え込んでいる。さらに、8日の米大統領選挙で当選したトランプ氏がどういった対中政策を打ち出すかで、台湾は大きく揺さぶられる立場にある。いわば台湾は中国の北風と米国からの突風にさらされている格好だ。 (池永達夫)

 21日に開催された東京台北経済貿易フォーラム(主催・東京商工会議所、台北市進出口商業同業公会)で黄呈琮台北市進出口商業同業公会理事長は「台湾を訪問する観光客は年間約1000万人。そのうち400万人が中国人だが、10月以降は前年同期比で7割減少している。ただし、大陸の台湾投資は新政権誕生の5月20日以降、影響を受けていない」と述べた。

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アジアで高まるテロの脅威

 今年7月、バングラデシュで日本人7人を含む20人が殺害されるテロ事件が起きた。このバングラショックは大きく、国際協力機構(JICA)では安全管理室を部に昇格させた。アジアでもイスラム過激派によるテロの脅威が高まっている。(池永達夫)

 アジアでは近年、過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓うグループが続出。年初にはインドネシアで、ISに参加した容疑者が主導した自爆テロが発生、30人以上が死傷した。バングラのテロ事件でも、一部容疑者はISと関係しているとされる。

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性暴力横行するコンゴ東部

 1996年以降、20年間にわたって紛争状態が続くアフリカのコンゴ東部において、反政府武装勢力が住民に恐怖心を与えて支配する「安価な武器」として性暴力が利用されている。現地で性被害者の救済とケアに取り組んでいるパンジ病院のデニ・ムクウェゲ医師は、このほど来日し東京大学で記者会見した。(池永達夫、写真も)

 ムクウェゲ医師が強調したのは「女性の体が戦場になっている」現実だった。性暴力は銃器と違って金もかからないしメンテナンスも必要がない。しかもその効果は銃器以上に絶大だ。身体的、精神的に痛い目に遭わせることができる。しかも、加害者が公正な処罰を受けることが皆無に等しい無法地帯であるため、最も効果的な武器となっている。

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中国、尖閣発端に対米戦争も 米ランド研究所が「米中戦争」研究

 安全保障問題では米国最大の民間研究所であるランド研究所がこのほど、「米中戦争」をテーマにした報告書をまとめた。2025年までの近未来を見越した米陸軍からの委託研究だった。リポートでは米中戦争の発火点に関し、尖閣を一例として挙げている。(池永達夫)

 副題は「考えられないことを考える」とあるが、安全保障の要点は通常リスクだけでなく、万が一にも備えることにある。この点において、米陸軍がランド研究所に委託したテーマである「米中戦争」は、安全保障の空白部分を埋める貴重なものだ。

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懸念は中国への軍事技術流出

米ケント・カルダー教授が講演  東アジアの国際関係を専門とした米ジョンズ・ホプキンス大学のケント・カルダー教授は先月24日、「中国・欧州関係の進展とその世界的影響」と題して講演した。主催したのは笹川平和財団で外交官や教授など約250人が集まった。教授はユーラシア大陸規模での鉄道や港湾、パイプラインなど基礎インフラ整備が進む中「最大の懸念は、中国への軍事技術流出だ」と強調した。 (池永達夫、写真も)

 教授は、中国が特に東欧や地中海諸国に融資外交を展開していると指摘。

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復興で一番大切なものはヒト

香川県議会議員 有福哲二氏に聞く

 教育こそは国家百年の大計だと、ライフワークとして教科書採択問題に取り組んできている香川県議会議員の有福哲二氏に、教育問題と地域が乗り越えないといけない人口減少問題を聞いた。有福氏は、いざというときに住民が一つになれるような地域コミュニティー力の強化を強調した。(聞き手=池永達夫、横井秀雄撮影)

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蔡英文氏、二つの「岩礁」問題で苦慮

特報’16

 大航海時代、ポルトガル船の船員があまりの美しさにフォルモサ(麗しき島)と叫んだとされる台湾。しかし、台湾は現在、その名前とは裏腹に常に政治的緊張を強いられている。その台湾のトップである総統に蔡英文氏が就任して3カ月が過ぎた。中国寄りの馬英九前総統とは異にし、「独立」でも「統一」でもない中台関係の「現状維持」を最大の政治課題とした蔡政権は、出だしから荒波にもまれている。(池永達夫)

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憲法案承認で来秋にもタイで総選挙

 タイ選挙管理委員会は10日、新憲法草案の賛否を問うため7日に行われた国民投票の最終開票結果を発表した。それによると、賛成1682万票(61・35%)、反対1059万票(38・65%)で、投票率は59・40%だった。新憲法は3カ月以内に、プミポン国王の承認を経て公布・施行され、来年半ばまでに関連法を整備、その後、総選挙は150日以内に行われるが、軍の政治パワーは民政移管後も変わることはない。 (池永達夫)

 プラユット首相は10日、テレビを通じて演説し、総選挙が来年後半に実施されると確約するとともに「多くの問題が解決できていない。安全を守る国家平和秩序評議会(軍政)の権限は残る」と述べ、反軍政勢力を牽制した。

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なぜ落語は廃れない?

新宿末廣亭会長 北村幾夫氏に聞く

 「噺家(はなしか)」とは、落語などの口演を職業とする落語家のことだ。ただ、人間国宝に認定された「孤高の名人」柳家小三治氏は「落語家」ではなく「噺家」であることにこだわった。そもそも、同じ出し物を繰り返す落語はなぜ、廃れることがないのか、演芸の原点はどこにあるのか、新宿末廣亭会長の北村幾夫氏に聞いた。 (聞き手=池永達夫、越尾幹彦)

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マレーシアの多民族国家としての強み

マレーシア日本国際工科院准教授 原 啓文氏に聞く

国際性豊かな教授陣/多民族、多宗教をうまく融合大学のコンセプトはASEANの教育ハブ

マレーシアの教育現場で困ったことは?

 言葉の問題が大きい。日本だと専門書も日本語で読めるが、マレーシアにはマレー語の専門書がない。高等な教育になればなるほど英語に対応するマレー語がほぼ無いに等しい。ほとんど英語をマレー語の中にポンと埋め込むような形になる。

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マレーシア、何色にも染まる白地パワー

マレーシア日本国際工科院准教授 原 啓文氏に聞く

後進の強みを生かす/新技術導入のモデルケース研究者を受け入れる乏しい産業基盤に難

バイオ研究者として、マレーシアにはどんな強みがあると考えるのか。

 特異な環境には特殊な微生物もいる。しかも、常に暖かい状況下では、外地からやってきた微生物も適応進化が早いはずだ。

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CSIS理事ブラッド氏「日韓米関係強化が重要」

 「安保法制と日米同盟」フォーラム(東京財団主催)がこのほど、都内の日本財団ビルで行われた。副題は「東アジア地域の安全保障を考える」。スピーカーは米国からパシフィックフォーラムCSIS(戦略国際問題研究所)理事のブラッド・グロッサーマン氏、日本から元海上自衛隊自衛艦隊司令官の香田洋二氏、中国から南京大学中国中南海研究協同創新センター主任の朱鋒氏、韓国から成均館大学校政治外交学科教授の金泰孝氏の4氏。モデレーターは東京財団政策研究ディレクターの渡部恒雄氏が務めた。 (池永達夫、写真も)

 同フォーラムで最初に口火を切った米パシフィックフォーラムCSIS理事のブラッド・グロッサーマン氏は「北朝鮮の核プログラムという伝統的脅威に加え、台頭する中国が新しい能力を獲得し、戦後秩序を変えようとすればパートナーではなく脅威になる」と脅威認識を語った上で、「世界3番目の経済大国である日本は、地域の安全保障を担保する能力はある。ただ日米に資源的制約要因がある中、分業体制を構築することで日米同盟を『公共財』として生かす道がある」と指摘した。

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留学意欲が旺盛なマレーシアの学生

マレーシア日本国際工科院准教授 原 啓文氏に聞く

 マレーシア日本国際工科院(MJIIT)は、マレーシア工科大学の下に日本型の工学教育を導入するため、日本・マレーシア政府の合意を踏まえて設立された学術機関で、5年前にマレーシアの首都クアラルンプールに設立された。日本から20人近い教員が派遣されているが、若手ナンバーワンの原啓文准教授に教育現場の実態と展望を聞いた。(聞き手=池永達夫)

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新風運んだ馬も「今は昔」

 中国の新疆自治区ホルゴスから国境を越え、カザフスタン一の商都アルマトイに向かうバスに乗った。4千メートル級の峰々が連なる天山山脈は、中央アジアと中国を隔て夏でも万年雪と氷河をたたえている。その中腹では、のんびりと草を食(は)む馬の群れが車窓から見える。馬は暑さに弱いので、夏は標高の高い高原に移動する。かつて中国が求めた名馬・汗血馬は、カザフスタンやキルギスの馬だった。 (池永達夫、写真も)

 隣の席から青年が話し掛けてきた。中国の西南大学に留学しているカザフ人学生のマラート・タジンさん(21)だった。

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「中国の人権状況、大きく後退」元学生リーダーが講演

 中国の天安門事件(1989年)で民主化運動の学生リーダーだった王丹氏は5日、新宿の四ツ谷区民ホールで行われた27周年記念集会で講演し、「中国の人権状況は大きく後退した」としながらも「希望は市民社会にある」と指摘。中国の民主化は、市井の人々が立ち上がって政府に対し変革のための大きな圧力になろうと考えるか否かにあると総括した。 (池永達夫、写真も)

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魂を発する詩吟は精神文化

金沢市議会議員 黒沢和規氏に聞く

 加賀百万石前田家の城下町として栄えた金沢は、文化都市として名高い。しかも、その歴史は武家屋敷群や茶屋街などに残っているだけでなく、人そのものにも脈々と受け継がれている。「漢詩」を人生の友としてきた金沢市議会議員の黒沢和規氏に、その魅力を語ってもらった。(聞き手=池永達夫)

一番好きな詩人は?

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タイ、クーデターから2年 プラユット暫定政権、軍を後ろ盾に強権統治

 “タイの軍政”が結構、長引いている。クーデターは2014年5月22日のことだった。きょうで丸2年が過ぎた。新憲法が制定され、総選挙が行われるのは早くて来年夏以降となる。プラユット暫定政権が軍を後ろ盾に強権統治を敷いているのは、守旧派を代表してタクシン派の政治基盤を徹底して弱体化すると同時に、王室の後継問題も絡んでいるもようだ。(池永達夫)

 タイが東南アジア諸国連合(ASEAN)の優等生として、ここまで経済力を伸ばしてきた一つの理由は、政治的安定度の高さがあったからだ。それが01年のタクシン政権誕生以後、国を二分するような亀裂が入ったまま、安定度は著しく損なわれている。

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蔡英文台湾総統があす就任

 台湾の民進党党主席の蔡英文氏が20日、台湾総統に就任する。台湾初の女性総統の誕生だ。その就任演説で注目される最大の課題は中国が求める「一つの中国」に対してどういったスタンスを取るかだ。大方の見方は、「中国と台湾は不可分の領土である」ことを意味する「一つの中国」を認めた国民党とは一線を画し、「独立」でも「統一」でもない中台関係の「現状維持」を求めることになるというものだ。当然、中台関係はギクシャクした関係からスタートすることを余儀なくされるが、日米がそうした台湾の「現状維持」路線を強力にバックアップできるかどうかが問われてくることになる。 (池永達夫)

 「現状維持」というのは何もしないというわけではなく、むしろ「台湾の民主主義と両岸の平和的現状」を守るためのものだ。蔡次期総統の本音とすれば「独立」かもしれないが、それを言った途端、中国は反国家分裂法を盾に実力行使も辞さない覚悟だ。反国家分裂法は2005年3月、中国が台湾の独立阻止を目的に採択した国内法で「平和的統一の可能性が完全に失われた場合、非平和的措置および他の必要な措置を取る」と明記されている。いわば台湾が独立の旗を掲げた場合、中国は武力介入できることを正当化したものだ。具体的には台湾が急進的な独立路線へ舵(かじ)を切った瞬間、中国は対岸の福建省に準備された1400基ものミサイルを発射準備段階にするとともに、大陸中国に投資した台湾企業の活動に制約を加える。

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チベット亡命政府、「高度な自治」獲得目指す

 インド北部ダラムサラにあるチベット亡命政府は4月27日、3月20日に投票が行われた首相選の結果を発表。現職のロブサン・センゲ首相(48)が得票率57・1%で議会議長のペンパ・ツェリン氏を破り、再選を果たした。チベット語の使用や文化・宗教の保護など中国での自治権拡大を柱とする「高度な自治」を求めるセンゲ首相は、対話そのものを拒否し続ける中国の扉をこじ開けるバーゲニングパワーをどう手にするのか、重い課題を抱える。 (池永達夫、写真も)

 ヒマラヤや崑崙(こんろん)山脈に囲まれた統一王朝「吐蕃(とばん)」を起源とするチベットは、第2次世界大戦まで独立国だった。通貨や郵便制度もあった。モンゴルやネパールに対しても主権国家同士の条約を結んでいた。それが1950年、中国人民解放軍の侵攻を防ぎきれず実効支配される。国民党政府を台湾に追い出した中国共産党は、49年に中国人民共和国を建国。その翌年のことだった。59年には最高指導者ダライ・ラマ14世がヒマラヤを越えてインドへ脱出、インド北部のダラムサラに亡命政府を樹立した。脱出者とその子孫が亡命チベット人で世界に13万人いる。うち10万人がダラムサラなどに住むインド在住者だ。

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複数の文化共存するバングラ

首相顧問のリズヴィー教授が講演

 来日中のバングラデシュ首相顧問のガウハー・リズヴィー教授は7日、都内で「政府は消えうせるのか―ガバナンスの将来」と題し講演した。教授は「(バングラデシュは)イスラム社会ではあってもイスラム国家ではない」ことを強調し「タリバンの影響力を排除できた理由だ」と強調した。同講演会は笹川平和財団が、日本とアジア諸国間の相互理解を深める「アジアオピニオンリーダー交流」事業の一環として行っている。(池永達夫、写真も)

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エピローグ、課題は国家エゴの克服

ASEANの夜明け アジアハイウエー7000キロルポ(11)

 東南アジアを旅すると元気が出る。町中が建築現場のような活力や、子供が多く笑顔が絶えない路地裏があるのも一因だが、それだけではない。一番の理由は血縁や地域の絆を中心として共同体が機能しているからだろうと思う。親族にしろ隣近所にしろ、相互に助け合って生きている。

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タイ、脱却なるか「中進国の罠」

ASEANの夜明け アジアハイウエー7000キロルポ(10)

 “タイの軍政”が結構、長引いている。クーデターは2014年5月のことだった。新憲法が制定され、総選挙が行われるのは早くて来年夏以降となる。プラユット暫定政権が軍を後ろ盾に強権統治を敷いているのは、王室の後継問題が絡んでいるもようだ。  タイがASEANの優等生として、ここまで経済力を伸ばしてきた一つの理由は、政治的安定度の高さがあったからだ。それが2001年のタクシン政権誕生以後、国を二分するような亀裂が入ったまま、安定度は著しく損なわれている。

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