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山田 寛
山田 寛
元読売新聞アメリカ総局長

堀本 和博 rss (マスコミ)

ライター一覧
堀本 和博

昭和23年(1948年)岐阜県生まれ。大阪市立大中退。文化部長、社会部長、マドリード特派員、編集局次長、編集委員などを歴任。著書に「朝日新聞に内部崩壊が始まった」(第一企画出版)、「拡材―ある“新聞拡張団”体験記」(泰流社)など。

過熱する五輪開催の賛否めぐる論争から選手守れと訴える産経など

 東京オリンピック開幕まで約2カ月と迫る中で、折からの新型コロナ禍の収束に手間取っていることに絡んで、五輪とそれに続くパラリンピック開催の是非をめぐる論争が過熱化している。論争は一方でインターネット交流サービス(SNS)上にまで広がり、五輪代表に決まった競泳の池江璃花子選手らに出場辞退を求めるなどの異常事態にもなっている。

 こうした状況に新聞の論調は、選手批判を非難して選手を守ろうと訴える主張と、五輪開催に強い懐疑を投げ掛けて政府批判を展開する主張とに割れた。前者は「選手への攻撃は許せない」のタイトルの産経(16日付・主張)と「選手を批判するのは筋違いだ」の読売(12日付・社説)、「選手に向かう五輪批判 根底に主催者への不信感」などの毎日(14日、12日付・同)であり、後者は「開催ありき 破綻あらわ」の朝日(12日付・同)とに分けられるのである。

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読売・産経が報じ論評した「従軍慰安婦」不可とする答弁書閣議決定

 政府が閣議決定したことを伝えるその記事は翌日(4月28日)付の読売、産経が報じたが、読売の第2社会面掲載が示す通り目立つ扱いではなかった。だが、両社の記事は閣議決定の重要な内容を伝えるものであった。

 それは慰安婦をめぐる表現で「『従軍慰安婦』という用語を用いることは誤解を招く恐れがある」とする答弁書を閣議決定したとするもので、答弁書はさらに「単に『慰安婦』という用語を用いることが適切だ」と明記したというのである。

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日米首脳共同声明での同盟の深化と「台湾」明記を評価する読売など

 「自由で開かれた国際秩序が中国の挑戦を受けている。日米同盟をより深化させ、民主主義の強靭(きょうじん)さを示していきたい」(読売18日付社説、以下各紙とも同日付)。

 菅義偉首相が16日午後(日本時間17日未明)、ホワイトハウスでバイデン米大統領と行った初の首脳会談後に発表された共同声明には、覇権主義的な動きを強める中国に対し「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」ことが明記された。日米首脳の合意文書に台湾が言及されるのは、日中国交正常化後では初めてである。

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池江選手の不屈の闘志とスポーツの力に感謝し感動伝える産経と毎日

 「ゴールした後、着順・タイムを知らせる電光掲示板を見上げると感涙にむせんだ。日本中が勇気と感動に包まれた幸福なひとときを共感したと言っても過言ではなかろう」(本紙6日付「上昇気流」)。

 白血病の発症で、オリンピック出場の目標を東京から3年後のパリを目指していた競泳の池江璃花子選手が、日本選手権の女子100㍍バタフライ決勝を制し3年ぶりの優勝を果たした。57秒77の優勝タイムは日本水泳連盟が設定した400㍍メドレーリレーの派遣標準記録57秒92を突破し、東京五輪のリレー代表に決まったのである。

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中国の野望に言及、国際社会にその独善的行動への対処呼び掛けた読売

 アンカレジ(米国アラスカ州)で18、19日の両日行われた米中外交トップによる初の直接会談は冒頭から、同盟国との結束を背景に新疆ウイグルや香港での人権侵害や台湾をめぐる中国の行動などが世界の秩序を脅かしていると迫る米国と、それらを内政だと突っぱね強権を誇示する中国の主張とが激しい非難の応酬を繰り広げ、議論は平行線のまま終わった。一方で、利害が重なる気候変動などの分野で協力を模索する動きも見せたものの、両大国の対立はトランプ時代の経済から、政治体制や国家理念そのものの対決へと新たな様相を見せ始めている。

 この会談初日の米中それぞれ非難の応酬を読売(20日付3面)は、「米中『公開』舌戦」/「世界の懸念を代弁」、「中国式の民主主義」の見出しで報じた。2日間の会談後に日経(21日付第1面トップ)の見出しは「米中 ぶつかる国家観/経済から対立軸移る」/「世界の秩序脅かしている」、「中国には中国の民主主義」である。米国が世界の国々の中国への懸念をすくい取って伝えているのに対して、中国は<これが中国の民主主義だ(何の文句があるのか)>と居直り一点張りの構図。中国は共産主義国家、あるいは共産党一党独裁国家だと思うが、いつから呼び名を変えたのか、最近のメディアは「権威主義国家」と呼んでいる。それにしても中国式であれ何であれ、いつから中国は「民主主義」の国になったのか。

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中国の軍拡脅威に日米同盟を軸にして欧州とも連携強化を説く読売

 「国際社会の中国への懸念は一層高まった。習近平政権は、強硬路線が自国に不利益をもたらし、地域の安定も損ねている現実を自覚すべきだ」(読売・社説6日付)

 国際的孤立を深めているのも何のその、中国の内外にわたる独善強硬路線の暴走が止まらない。外に向かっての強硬外交では、台湾への挑発、国際的約束を破る香港の一国二制度破壊、南シナ海での一方的な行政区設置でベトナムなど東南アジアで拡大する摩擦、インドやブータンなどとの国境紛争など、力づくの威圧を繰り返してきた。

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英国のTPP申請、各紙とも中国警戒で基準ルールの緩和厳禁を主張

 「英国が加われば、TPPの経済圏は環太平洋地域を超えた広がりを持つ。/コロナ禍で世界の貿易が打撃を受けているだけに、英国の合流で自由貿易の推進を目指す意義は大きい」(産経・2日付主張)

 「認められれば、発足後初の新規加盟となり、自由貿易の枠組みがアジア太平洋の域外に広がる。保護主義の流れを反転させる効果も期待されよう」(毎日・3日付社説)

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遅れた緊急事態宣言を一斉批判する中、医療体制再構築訴えた日経など

 「感染抑制に軸足を移すことをためらい、場当たり的な対応で感染者を急拡大させた末の『切り札』である。菅首相は危機的状況を招いた政治責任を厳しく受け止め、今度こそ、国民のいのちと暮らしを守る責務を果たさねばならない」

 朝日(社説8日付、以下各紙同)が中国・武漢に始まる新型コロナ禍の拡大第3波への政府対応(緊急事態宣言の発令など)の遅れを痛烈に批判すると、産経(主張)も「遅きに失した再発令だが、この機に新型コロナを抑え込まなくてはならない」と、タイミングの遅れに言及する。

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「天安門」外交文書の公開で対中融和政策の失策を指弾し見直し迫る産経

 「ウイルスに年末年始はない」(菅義偉(よしひで)首相)と国民に感染防止の徹底を呼び掛ける。中国・武漢発の新型コロナ禍中の日本は、コロナ・ウイルス第3波の感染拡大への懸命な対応が続く。加えて、英国などで広がるウイルス変異種の国内感染予防措置として旧臘(きゅうろう)28日からは、全世界からの新規入国を停止。観光支援事業「Go To トラベル」も全国一斉に停止する中で迎えた年末年始である。

 <ウィズ・コロナ>で迎えた新年であるが、それでも日本と世界の前に立ちはだかる大きな問題はコロナ禍の克服だけではない。戦狼(せんろう)外交、力による現状変更のごり押しで世界の平和・平穏を脅かす中国の横暴をどう抑圧するのかは、ウイルス対策に劣らない今年の世界の重要課題である。

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75歳医療負担、各紙「前進」と評価も消費税引き上げ検討を求めた読売

 75歳以上の後期高齢者が病院などに支払う窓口負担について、一定以上の所得のある人を対象に現行の1割負担から2割に増やす改革案がまとまった。政府の全世代型社会保障検討会議(議長・菅首相)の最終報告で、この方針などを盛り込み今後の医療改革などの方向性を示した(15日に閣議決定)。最終報告は「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直し、切れ目なく全ての世代を対象とする」と明記している。

 窓口負担の2割への引き上げの対象となるのは、年収200万円以上(単身世帯の場合)の人で、対象となるのは約370万人。2022年度後半から実施されると、現役世代の負担が年700億~800億円ほど軽減されることになる。

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王毅外相来日で「甘言に乗って融和を進めては危うい」と警告した産経

 「経済協力を進めるとともに、安全保障上の懸案の解決も促さねばならない。政府は、中国との率直な対話を通じ、働きかけを強めてほしい」(読売社説11月27日付)

 「中国との健全な関係づくりは、日本の針路を左右する重要な作業である。平和と繁栄を共有できる環境をめざし、率直な対話を深めていきたい」(朝日・同)

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経済回復と温暖化防止の両立の観点から女川原発再稼働同意を論じた産経

 東北電力女川原子力発電所2号機(沸騰水型・出力82・5万㌔㍗)の再稼働の見通しが立った。宮城県の村井嘉浩知事がこの11日に地元同意を表明したからだ。2号機は今年2月に原子力規制委員会から、平成25年に厳格化された新規制基準による安全審査に合格している。これに加えて立地自治体の女川町、石巻市の両首長も村井知事と共に記者会見し同意を表明。すでに県議会と両市町議会は容認しており、再稼働に必要な地元手続きはこれで全て完了したことになる。

 平成23(2011)年の東日本大震災以降に再稼働した原発は9基あるが、いずれも加圧水型原発で西日本に立地。女川原発は東日本にあり、震災で大事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型である。知事の再稼働同意は平成25年以降、全国で6例目となるが、被災地の原発では初めてである。

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大阪都構想否決もこれまでの実績評価で維新にエールを送る日経・産経

 大阪市を廃止して四つの特別区に再編する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が1日に行われ、前回(5年前)の住民投票に引き続き、僅差の反対多数で否決された。これで大阪市の政令指定都市としての存続が決まり、維新が看板政策に掲げてから10年にわたって繰り広げられた都構想自体の議論は事実上、決着となる。

 この結果について各紙(論調)2、3日付は次のように分析する。

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菅内閣1カ月、全てが安倍前政権絡みの朝日の批判は感情的で新味なし

 「説明責任をないがしろにする強権的な政治手法まで『継承』なのか。これでは『負の遺産』の解消どころか、安倍前政権下で進んだ政治の劣化に歯止めをかけることはできない」(朝日・社説16日付)

 朝日新聞がいきり立っている。16日で政権発足から1カ月を迎えた菅義偉(よしひで)政権。冒頭はこの日に掲げた社説の冒頭である。社説は続いて菅政権の携帯電話料金の引き下げや不妊治療への保険適用、デジタル化の推進など評価の高い国民目線の政策課題の迅速な取り組みにはちらっと触れただけ。後は堰(せき)を切ったように菅政権批判オンパレードである。

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中国の「わな」にはまらず、日米関係深化に資する正論中の正論掲載の産経

 安倍晋三首相が退陣し、政権を引き継いだ菅(すが)義偉(よしひで)首相には現下の国際情勢の中で引き続き日本の安全と平和をどのように維持していくのか、その大局観が問われている。地球儀を俯瞰(ふかん)する安倍外交は、トランプ米大統領との信頼関係による強固な日米同盟を基軸に、自由貿易や「法の支配」など価値観を共有する諸国との幅広い連携を行う中で「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進に邁進(まいしん)してきた。

 折しも一昨日、米国のポンペオ国務長官と日本、オーストラリア、インドの4カ国の外相が東京都内で会合。4カ国の外相は「インド太平洋」連携を強化することで一致し、年1回のペースで会合を定例化することでも合意したのである。

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「65歳以上は高齢者」との分類は現実的でないと疑問視した読売と本紙

 読売「年齢にとらわれず、意欲や体力に応じて、様々なことに挑戦できる社会を作りたい」。本紙「超高齢化社会へと進む日本が解決し、また未来に備えておくべき課題は多い。そういう中で、新型コロナウイルスの感染拡大が高齢化社会に新たな課題を突き付けている」。産経「高齢者に無事でいてほしい。新型コロナウイルス禍にあって、そんな思いを強くした人は多いはずである」。

 敬老の日の21日に、これをテーマに掲げた3紙の社説(主張)の冒頭で、見出しはそれぞれ順に「豊かな長寿社会をどう作るか」「健康寿命延ばし社会貢献を」「大切な人たちを守りたい」である。

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自民総裁選告示、活発な外交・安全保障論議を求めた産経・読売など

 産経「日本の進路を示す論戦を」。読売「危機乗り越える戦略を論じよ」。日経「損得勘定ではなく政策で選ぶ総裁選に」。本紙「国家像鮮明にして覚悟示せ」。朝日「政権総括議論を深めよ」。毎日「安倍政治の総括が不十分」。

 持病の悪化で辞任する安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選が8日に告示された。新しい総裁は14日に投開票される国会議員票(394票)と都道府県連各3票の地方票(141票)を合わせた535票の獲得票数によって決まり、事実上の首相を選ぶ選挙ともなる。

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香港議会選延期、日本と国際社会に中国への外交的圧力を求めた朝日

 香港情勢が中国の暴走で風雲急を告げている。

 悪名高い「香港国家安全維持法(国安法)」が中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で採択され施行された。これにより香港で、中国本土と同様に反体制活動などを厳しく取り締まることになり、言論統制や民主化を求める野党勢力への弾圧が一層進むことが危惧されたが、その通りの様相となってきた。

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米中対立激化、「二股外交」否定し民主陣営の結束呼び掛けた産経と本紙

 <ボーッとしてるんじゃないよ!>

 まさに、チコちゃんに一喝されそうな新事態である。

 米国のポンペオ国務長官がカリフォルニア州で行った対中政策に関する演説は、歴代政権が続けてきた「関与政策」(中国との協調を重視する政策)が誤りで失敗に終わったと断じ、中国との全面的な対決を宣言するものであった。

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コロナ禍絡みで個別テーマに絞った3本の主張を打ち出した産経

 中国・武漢から発生した新型コロナウイルス禍との防戦が長期戦となる中で、東京都での感染拡大に懸念が広がっている。13、14日は100人台だったが、9~12日は4日連続で200人を超え、240人を超えて過去最多となった日も出た新事態である。

 今、流行の第2波が到来しているのかどうか微妙な段階にあるのだが、こういう時にこそ必要な国や都からの公式情報や専門家の分析コメントなどがなぜか今回は乏しい。引き続き「マスク、手洗い、うがい」励行と、3密(密集、密接、密閉)を避ける新生活の基本原則の徹底は少しも緩めてはならないのに、呼び掛け続けるのにもう飽きたのか。都知事選までは「東京アラート」やら「3密回避」、「新しい日常」などを麗々しく説いていたのに、再選後の小池都知事が急に言葉少なになった感がするのはなぜか。

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「富岳」世界一でも日本のスパコンを使いこなす力の低下危惧する日経

 香港の「一国二制度」の死を意味する中国による香港国家安全維持法の施行。このたびの中国・インドの衝突。中国の南シナ海における乱暴狼藉(ろうぜき)によるベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシアとの摩擦。わが国尖閣諸島周辺での連日の領海侵犯。それに世界的災禍を招いた中国・武漢ウイルス禍発生後の情報公開の致命的遅れなどなど――。今、世界のニュースをさらっている中国の威圧的な覇権主義は「諸悪の根源」だと言っても、さしつかえあるまい。

 例えば、中印衝突について、櫻田淳氏の「真相は定かではない」としつつも「中国がたとえば南シナ海のような他の係争海域で示してきた対外姿勢を踏まえれば、中印国境のヒマラヤ山脈地帯でも似たような対外姿勢が採られたであろうと類推するのは、決して難しくない」(本紙「ビューポイント」6月30日付)との判定は、尖閣領海での中国の狼藉に直面する日本人にはよく理解できることである。

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拉致問題解決へ北朝鮮に対する国民の怒りを結集せよと訴えた産経

 北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさんの父で、被害者救出運動の象徴的存在だった横田滋さんが87歳で亡くなった。中学1年生だっためぐみさんが突然、新潟の自宅近くで行方不明になってからすでに43年。自らの後半生を妻の早紀江さんと共に娘と被害者の救出運動に捧(ささ)げたが、願いはかなわなかった。「拉致問題の残酷さをあらためて思い知」(日経・社説9日付)らされる。

 「痛恨の訃報である」(主張7日付)と切り出した産経は、続けて「改めて、拉致誘拐という北朝鮮の国家犯罪に怒りを新たにする」と糾弾する。そして、怒りのぶつける相手は「北朝鮮であり、独裁者である金正恩朝鮮労働党委員長」だと改めて強調したのは、ともすると、問題解決の糸口さえつかめない安倍晋三政権を不甲斐ないとして、見当違いの批判の矢が向きかねないことも予想したからだろう。

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中国の「国家安全法」香港導入の暴挙に、G7に撤回を迫れと訴えた産経

 香港に中国本土と同様に、反体制活動などを厳しく取り締まる「国家安全法」を導入する方針が先の中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で採択された。悪名高い同法が施行されると香港の言論統制が一段と強まり、民主化を求める野党勢力への一層の弾圧も進む。高度な自治を保障する「一国二制度」が形骸化し、崩壊していく。民主主義社会では当然の政権批判も抗議デモもできなくなる。要するに「一国二制度」を踏みにじり窒息死させる法制である。

 そもそも香港の「一国二制度」は1984年の英中共同声明で保障された国際公約である。中国は英国から返還される97年から50年間は香港に「高度な自治」を約束した。この国際公約を自ら踏みにじる法制を、香港の立法府も、法の支配も構わず頭越しに決定し押し付けることで「一国二制度」の否定の姿勢を露(あらわ)にしたと言えよう。まさに中国共産党による暴挙である。

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