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  • JAXA宇宙探査計画
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  • 青木 節子
    青木 節子
    内閣府 宇宙政策委員

    廣井 孝弘 rss (サイエンス 宇宙)

    ライター一覧
    廣井 孝弘

    昭和35年(1960年)生まれ、岐阜県出身。東京大学大学院理学系研究科鉱物学専攻博士課程修了(理学博士取得)。現在米ブラウン大学惑星地質・上級研究員。隕石と小惑星の鉱物分光学の研究の第一人者。2000年、隕石学への貢献によって小惑星(4887)タキヒロイが命名される。日本の惑星探査ミッション「はやぶさ」「かぐや」「はやぶさ2」に共同研究者として参加している。

    はやぶさ2のリュウグウと、OSIRIS-RExのベンヌ

     10月から、小惑星探査機はやぶさ2の科学成果がアメリカで世界的に発表され始めた。アメリカ天文学会の惑星科学部門(DPS)では科学チームの代表者たちが日本から参加し、学会の場としては最初の成果を発表した。特に多色カメラONC-Tの画像から分かったリュウグウのコマ型の形、平たい面を持つ岩、赤道を通る明るい帯状の峰、東西の違い、そして明るさと色の相関など、初めて間近に見る炭素質コンドライト隕石の母天体と思われるこの物体には予想を超えた発見があった。

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    はやぶさミッションの最大の科学成果を誰に伝えるべきか

     小惑星探査機はやぶさ2は、小惑星リュウグウに向けて降下訓練をしながら、タッチダウンによる試料採取の実現に向けて準備している。はやぶさ2は6月27日にリュウグウに到着して以来、数々の科学的発見をなし、その初期論文を準備中である。この状況は、2005年当時、はやぶさ初号機が小惑星イトカワ上空で得たデータを米サイエンス誌に特集号として発表する準備段階に似ている。

     その違いは、はやぶさ2はまだタッチダウンも事故も起こしておらず、はやぶさの帰還が不確定かつ5年もかかったのに対し、はやぶさ2はこのまま調子よくいけば、2年3カ月後には地球に試料を持ち帰ってくれることである。その際に、はやぶさ2科学チームがこれから論文に発表する内容の正誤が裁かれることになろう。

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    はやぶさ2ミッションで得られる本当の宝

     小惑星リュウグウに到着した探査機はやぶさ2が返してくるデータを解析するために、私は宇宙科学研究所(宇宙研)に3週間の予定で出張してきた。リュウグウを最初に見た時に、その完璧なまでにコマの形をしているのに驚いたが、より詳細な画像や分光データが出てくる度に、一層の驚きと疑問と発見がある。

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    はやぶさ2のリュウグウ到着における科学の最大関心事

     はやぶさ2がとうとうその目標小惑星リュウグウに間近に迫ってきた! 望遠カメラであるONC-Tでリュウグウの形が見えてきたが、私の最大関心事はその多色画像にある。ONC-Tは6色のフィルターを持っており、1024ピクセル四方のCCDの前でそれらフィルターを交換することで多色画像をとり、かつ各地点の反射スペクトル(波長と反射率をグラフにした曲線)を得ることができる。

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    スーパーサイエンスハイスクール(SSH)のスーパーの意味は?

     私は現在帰国中だが、有給休暇を取って4つの学校に行って講演などをしてきた。福井県の名門校である武生高校では、素晴らしい設備の会場で1学年全員と理数科の生徒に1時間半の講演をし、鳥取西高校でも当初の会場では収まらない人数の生徒に場所を変えて講演し、米子では国立米子工業高等専門学校でやや大学レベルの高い講義をしてから、米子東高校では少人数ではあるが先生や保護者とTV局が入った授業をしてきた。どの学校においても特色のある先生方と生徒の姿に接することは、教育職に就けなかった私にとって貴重な経験である。

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    月は人工物でなく天贈物である

     最近、同じこのViewPointの記事でウィーンの長谷川氏が、中国メディアが発表した「月は人工衛星説」を紹介されている。https://vpoint.jp/column/confidential/107560.html

     名指しで御指名を受けたので、私なりに解説したい。簡単に言うと、惑星科学から見て、その可能性はほぼゼロである。まずは各々の根拠について解説する。

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    続き

    熟練の科学者しかできないデータ解釈の神秘

     最近、研究者によるデータ捏造の問題がまた話題になったが、生命科学分野と他の分野の違いも含め、マスコミが報道していない内容が多くあると思う。私の分野の惑星分光学というと、実験をしていないと思う人もいるかもしれないが、隕石などの試料の実験室測定は非常に重要な要素であり、惑星環境を実験室で再現した状態で様々な光学測定をするのが私の分野では不可欠である。

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    人使いの荒い日本の官僚政治で冷遇される在外日本人研究者

     私は末端の科学者ではありながら、安倍首相が常々語っていた、財務省などの官僚政治を打開すべきということを実体験したことがある。それは国家プロジェクトに在外日本人研究者として携わってきたことにも大きく起因している。学校での授業や一般講演会で、そのような質問に答えると、みなその意外な実態に驚くようである。

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    東大「中国人学生の博士論文不正事件」と研究者の良心基準

     最近、東大に留学していた中国人学生の博士論文において不正が行われていたことが発覚したとの報道があった。博士論文と言えば、科学者になるための登竜門として最も重要な論文であり、正直に書かれているだけでなく、内容が革新的で後世に長く大きな影響を与えるものであることが重視される。そのような論文において何割も既存の研究の不正盗用があったとすれば、それは深刻な事件である。今回のような文系分野と私の理系分野とは状況の違いも多少あろうが、アジアに名だたる東大の大学院では“あってはならないこと”だ。今回で6人目の不正事件だという。

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    日本の大学院生たちの秘めた力と彼らに今必要なもの

     今回も今週と来週の2週間、日本に出張してきている。大阪大学豊中キャンパスと東京大学駒場キャンパスでの宇宙風化実験および研究会のためである。はやぶさ2が来年初夏には小惑星リュウグウに着くために、その表面の鉱物組成・粒度・宇宙風化度などを軌道上の遠隔探査のみから導くために、リュウグウに似たと考えられている炭素質コンドライトという隕石を宇宙風化させる実験である。

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    居住可能性と生命存在可能性との大きな違い

     最近の惑星科学での傾向として、従来通りの、我々の太陽系内の惑星を研究する惑星科学者たちと、他の恒星系にある惑星(系外惑星)を観測・研究している天文学者たちとが共同して、地球のような居住可能な惑星を探していることである。一般の人々も、そのような惑星があれば生命を宿しているのではないかと期待して、税金などを通して支援したいと思う傾向があり、それを科学者たちが利用している感が否めない。

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    奇跡を知識に変える科学の役割

     惑星科学においては、他の分野の科学と同様に、古来奇跡として考えられてきた現象を解明して、知識または常識として人々を教化してきた歴史がある。最近も話題になった日食は、人類歴史の大半においては奇跡としてしかとらえられず、天文学の発展によってその仕組みが理解され予測もできるようになった例である。惑星科学という言葉は新しいが、ギリシャ時代に既に地球や月の大きさや距離などを計算していたことを考えれば、惑星科学は2000年以上の歴史を持つ古い学問である。

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    日食・月食・恒星食と地球人類存在意義

     今週の月曜日8月21日は、久しぶりに全米各地で日食が見られる珍しい日であった。よく知られているように日食は月が太陽を隠す現象で、頻繁に起こってはいるが、今回のように、皆既日食が見られる地点が米国の西海岸から東海岸まで斜めに横切るように動いていくのは珍しく、おかげで非常に多くのアメリカ人がこの現象を観測できた。私の働くブラウン大学はその中心軌道から外れているものの、太陽の約70%が隠れる部分日食が見られた。以下にNASAによるコンピュータアニメーションによる解説がある。(最後に自国の月ミッションであるLROを宣伝しているところがちょっと余計だが)https://www.nasa.gov/feature/goddard/2017/the-moon-is-front-and-center-during-a-total-solar-eclipse

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    はやぶさ2来年夏のリュウグウ到着における科学者達への大きな挑戦

     2014年10月3日に打ち上げられた小惑星探査機はやぶさ2は、とうとう来年の夏に小惑星リュウグウに到達する。長い惑星探査ミッションにおいて1年を切った現在、チームにとっては秒読み段階ともいえる。衛星運用チームだけでなく、はやぶさ2科学チームにも大きな挑戦が待っている。

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    世界に誇るべき“主人意識”持つ日本の児童生徒たち

     先月6月には韓国への出張の前後に日本に2週間ほど家族で滞在し、各地で特別授業や講演会を行った。日本の小中高校を巡って、改めて日本の良い意味での特殊性を実感した。私のように海外で子供たちを育てた経験がある親ならば誰でも感じることだと思うが、教育研究に関わる者として、私としては非常に重要なことに思えてきた。

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    韓国の惑星探査とソウル大での日本人研究者達

     今月11~19日に韓国に渡り、テジョンにある天文研究院(KASI)で集中講義をし、浦項にあるPOSTECHでセミナーをし、ソウル大の石黒研の研究集会に参加し、天文学科セミナーをし、最後に東大ソウルオフィスの主催する研究者のセミナー・夕食会に参加した。これらの研究機関での活動は、2月に訪韓した際に決まったもので、やはりコネの重要性を感じた。また、観光を含むその9日間は非常に濃密で意義ある体験をした期間であった。

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    地球温暖化防止のために省エネ?

     私が日本に出張して大学のトイレなどに行ってみて驚くのは、「地球温暖化防止のために電気はこまめに消しましょう」などという張り紙があったことだ。電気を消して省エネすることで地球温暖化が防止できると言いたいのだろうかと首をかしげてしまった。このように、しばらく前までは「地球温暖化(Global warming)」と呼んでいたものが、最近では「気候変動(Climate change)」と言い換えられている。それはおそらく、必ずしも温度が上昇していない場所も傾向として見られるからであろう。実際、近い将来極端な氷河期が来ると言っている人々もいる。http://www.buildart.com/ice_free_earth_now.htm

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    「君の名は」と「奇跡の隕石」から見た幸運な地球

     2月に私の大学まで取材に来てくれたNHK BSの「コズミックフロントNext」の放送が最近あった。その「奇跡の隕石」と題するドキュメンタリーの宣伝ページを見ると、大ヒットアニメ映画「君の名は」を引用してあり、そこに出てくる彗星が湖に落ちるシーンと同じように、彗星のかけらかもしれない隕石がタギシュレイクに落ちたという解説であった。最初は突拍子もない例えだと思ったが、よく考えてみれば頷くところも多々ある。

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    予算最低レベルに停滞するNASAから学ぶこと

     先週も恒例の月惑星科学会議が1週間にわたってテキサス州ヒューストン地域で行われたが、月曜日の夜には通称NASA Nightと呼ばれるNASA HQの説明会があり、約500人の科学者たちが参加して、目を凝らし耳を澄ませて注目していた。今後の自分たち自身や技官や学生たちに払う給料や、その他の経費を取ってくるために必死だからだ。研究プログラムは数多くあるが、当選確率はもちろん全体としての予算と申請者の数に依存するから、NASA予算がどうなって、それがどのように分配されるのかは大きな関心事である。

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    惑星科学における“天地統一”が急がれる韓国

     先月2月の始めに1週間だけ韓国に出張をした。ソウル大学(SNU)の天文学科の石黒正晃氏のところで基本的にお世話になったが、大田にある韓国天文研究院(KASI)と、仁川にある韓国極地研究所(KOPRI)にも行くことができた。その名からもわかるが、KASIは日本の国立天文台(NAOJ)と宇宙科学研究所(ISAS)が一体化したようなものであり、KOPRIはまさしく立川にある国立極地研究所(NIPR)に相当する。

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    NASAディスカバリー計画と日本の将来戦略

     NASA(米航空宇宙局)は今回、その最も低予算の惑星探査枠であるディスカバリー計画に2つのミッションを採択した。低予算と言っても、予算の上限が4億5000万㌦だから約500億円以上でロケット代を含まずである。以下に説明があるが、LucyとPsycheの2つのミッションを新規採択し、既存のNEOCamを1年延長する予算を認可した。https://www.NASA.gov/press-release/NASA-selects-two-missions-to-explore-the-early-solar-system

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    境界分野中の境界分野である惑星探査の統一力

     12月20日はカール・セーガン没後20周年であった。ボイジャーミッションなどで有名なセーガン博士は、人類が惑星探査に乗り出すための大きな動機付けとなった。ボイジャーは2号まで打ち上げられ、太陽系の惑星群にフライバイし、それらの近接画像やデータを人類に最初に与えた大きな功績をもつ。現在、はやぶさも2号機が飛んでいる中、試料回収という、フライバイから2段階も3段階も先のミッションに行きつけたのは日本だけでなく人類すべての功績と言える。

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    はやぶさ2にかける世界の大きな期待

     今回、2週間の帰国をして、はやぶさ・はやぶさ2に関する学会・会議と、隕石試料の分光測定などの実験をしている。どれも、はやぶさ2が1年半後に小惑星リュウグウに到着するのが近づくにつれて、その危急さと熱気の向上を感じるものである。

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