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    古川 光輝
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    細川 珠生
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    井上 政典
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    伊勢 雅臣
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    河添 恵子
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    中村 仁
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    石平
    石平
    評論家
    宇佐美 典也
    宇佐美 典也
    エネルギーコンサルタント

    “強いプーチン像”はフェイクだ

     米経済誌フォーブス(電子版)は14日、本年度「世界で最も影響力のある人物」74人のランキングを発表し、ロシアのプーチン大統領を4年連続トップに選出した。ちなみに、2位は米次期大統領トランプ氏、3位は欧州連合(EU)の主役、メルケル独首相だった。

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    首相官邸で安倍晋三首相の出迎えを受けるプーチン大統領(ロシア大統領府公式サイトから)

     ところで、プーチン氏は本当に「世界で最も影響力がある人物」だろうか。当方などは痛い首を横に振らざるを得ないのだ。単なるモスクワ発のフェイク・ニュースの成果に過ぎないのではないか。

     そこでフォーブス誌がプーチン氏の何を評価した結果なのかを検証してみる。プーチン氏のロシアはシリア内戦ではアサド大統領とイランと連携を取りながら、シリア第2の都市アレッポを反体制派勢力から奪い返したばかりだ。欧米の人権擁護グループの報告では、ロシア空軍の攻撃で多数の市民が殺害されたという。ウクライナのクリミア半島ではミンスク停戦合意が締結されたが、ウクライナ東部では依然、ロシア軍のプレゼンスがある。ロシアはクリミア半島をロシアの支配下に置き、日々、その既成事実を拡大している。

     フォーブス誌はプーチン氏の軍事的成果(冒険)を「世界で最も影響力のある人物」に選出した理由としたとすれば、盗人に「お前は世界で最も狡猾な盗人だ」といって称賛したようなものだ。

     プーチン大統領は15、16日、日本を訪問し、安倍晋三首相と首脳会談を行ったばかりだ。北方領土返還問題では訪日前と後ではどうひいき目にみても変わっていない。終戦直後に盗人のように奪った領土の返還などプーチン氏は元々考えてもいない。日本メディア側もそんなことは知っていたが、今年最後の政治イベントとして持ち上げたのに過ぎない。宴会後のむなしさだけが苦々しく残る。

     確かに、プーチン氏は相手の状況、弱点を巧みに利用することに長けた政治家だ。ソ連国家保安委員会(KGB)時代に培ったノウハウが生かされている。EUでは、殺到する難民の収容問題で加盟国内で意見の対立が表面化しているが、プーチン氏はハンガリーに接近し、EUの分断工作に乗り出す狡猾さを持っている。

     プーチン氏の軍事的成果は同氏が最も狡猾だからだけではない。同氏を助けている人間がいるからだ。それは、オバマ米大統領だ。その消極的な外交政策だ。プーチン氏の成果は敵失で得点を挙げているようなものだ。

     シリア内戦問題でもウクライナ問題でも米国は毅然とした姿勢で解決に乗り出さなかった。米国が後退したのであって、ロシアが世界の指導国家に復帰したわけではないのだ。プーチン氏がそれを誤解してロシアの大国復興と勘違いするようなことがあれば危険だ。

     ちなみに、フォーブス誌によれば、「世界で最も影響力のある人物」リストでオバマ大統領は48位に急落している。もちろん、政権交代期という状況が反映したわけだが、43位の北朝鮮の独裁者金正恩労働党委員長よりその影響力は低く評価されている。

     原油生産量の減量でOPECと非OPECの間で合意したことは、原油が天然ガスと共に主要な輸出品のロシアにとって朗報だが、ロシアの国民経済は決して好況ではない。ロシアへの経済制裁は依然、続いている。プーチン氏は愛国主義を強調する一方、国内の不満勢力に対しては強権で抑えている。その政策がいつまで成功するかは不明だ。明確な点は、プーチン氏がスーパーマンではないという事実だ。

     懸念材料は、トランプ次期米大統領がプーチン氏と意気投合する気配を見せていることだ。そのうえ、冷戦時代、ロシアに対して厳しい姿勢で臨んできた与党・米共和党で親ロシア傾向が見られるという報道が流れていることだ。

     オバマ大統領は16日、ロシアがサイバー攻撃を展開し、米大統領選に干渉したと断言し、「プーチン大統領がその責任者だ」と激しく批判したばかりだ。共産主義に対して米共和党と民主党では立場が変わったような展開を見せてきている。

     日本を含む西側主要国家は2017年、プーチン氏の攻撃的な外交に対して黙認し続けるならば、世界の政情は大きく混乱するだろう。プーチン氏を5年連続、「世界で最も影響力のある人物」にしてはならない。強いプーチン像はモスクワ発のフェイク・ニュースだ。

    (ウィーン在住)

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