■連載一覧
  • 第3次改造内閣 信頼回復へ始動
  • 南シナ海 強まる中国支配 安保専門家に聞く
  • 香港・中国返還20年 「一国二制度」の前途
  • ’17首都決戦
  • 北朝鮮 制裁の現実
  • 2017/8/06
  • 2017/7/26
  • 2017/7/01
  • 2017/6/27
  • 2017/6/26
  • 2016 世界はどう動く-識者に聞く
  • 戦後70年 識者は語る
  • 2015 世界はどう動く-識者に聞く
  • 2014 世界はどう動く
  • 2016/1/04
  • 2015/8/09
  • 2015/1/07
  • 2014/1/06
  • 台湾に吹いた蔡英文旋風
  • ルポ・政権交代の攻防 台湾総統選
  • 二極化する香港 識者インタビュー
  • 香港誌「前哨」編集長 劉達文氏に聞く
  • 「雨傘革命」下の香港 揺れる一国二制度の行方
  • 揺れる香港 各派リーダーに聞く
  • 香港の普選運動 親中派民間団体代表の見方
  • 2016/1/18
  • 2015/12/26
  • 2015/7/12
  • 2014/11/21
  • 2014/11/14
  • 2014/11/06
  • 2014/7/08
  • ドゥテルテ大統領就任から3カ月 どこへ向かう比政権
  • 香港「自治」の行方 識者に聞く
  • 中華圏に浸透する同性婚
  • 中台関係の行方
  • 日米同盟と台湾 海洋安全保障の展望
  • 蔡英文時代の台湾 本土派路線のビジョンと課題
  • ASEANの夜明け アジアハイウエー7000キロルポ
  • 緊張 南シナ海
  • 中央アジア胎動 中国「新シルクロード」と日本の戦略
  • “政熱経熱”の中韓
  • 新QDRと米中軍事バランス
  • 新グレートゲーム・幻想だった中国の平和的台頭
  • 新グレートゲーム・中国南進の海
  • 2016/9/21
  • 2016/8/17
  • 2016/7/26
  • 2016/6/03
  • 2016/5/31
  • 2016/5/19
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  • 2015/10/14
  • 2015/9/07
  • 2014/3/31
  • 2014/2/14
  • 2013/4/18
  • 多難な年明けのトルコ
  • EUと難民 UNHCRウィーン事務所報道官に聞く
  • ロシアのシリア内戦介入 アルアハラム財団事務局長に聞く
  • 2016/1/30
  • 2015/12/11
  • 2015/11/13
  • 施行から70年 憲法改正を問う
  • どうなる「民共協力」 27回共産党大会の焦点
  • 蓮舫民進 疑問の船出
  • 新閣僚に聞く
  • 「立憲主義」について
  • 再改造内閣 始動
  • 安倍政権 新たな挑戦
  • 16参院選 注目区を行く
  • 伊勢志摩サミット
  • 憲法改正 ここが焦点
  • 筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談
  • 第3次安倍改造内閣スタート
  • 詳解 集団的自衛権 安保法制案の合憲性
  • 衆院選 自公圧勝 ~課題と展望~
  • ’14衆院選 注目区を行く
  • 第2次安倍改造内閣スタート
  • 日米首脳会談 成果と課題
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  • 国防最前線・南西諸島はいま 第2部 自衛隊配備へ動く石垣島
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第1部 与那国島・陸自駐屯地
  • 激震・翁長県政 「オール沖縄」の凋落
  • 普天間基地移設 経緯の検証と提言
  • 「援護法」に隠された沖縄戦の真実
  • 2016/10/31
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  • 2015/10/01
  • 2013/7/08
  • どう対処 北の脅威 米有識者に聞く
  • 9年ぶり左派政権 文在寅大統領の韓国
  • 弾劾の波紋 漂流する韓国政治
  • 検証・金正恩統治5年
  • どこへ行く混迷・韓国 国政介入事件の深層
  • どう見る金正恩体制 日韓専門家対談
  • 迎撃ミサイル配備 韓国の決断
  • 3代世襲“完成” 北朝鮮第7回党大会
  • 検証 元料理人 藤本氏の再訪朝
  • 韓国総選挙ショック
  • 日韓国交正常化50年 識者に聞く
  • どうする拉致解決 日朝ストックホルム合意1年
  • 日韓国交正常化50年 「嫌韓」「反日」を越えて
  • 張成沢氏失脚 北で何が起きたか
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  • 待ったなし地球温暖化対策
  • 環境先進国フランスの挑戦
  • 迫る気候変動の脅威 どうする大災害への備え
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  • 「情報戦争」時代と米国
  • 米軍再建への課題-元上級将校の提言
  • トランプ政権始動
  • トランプ大統領の衝撃 米国と世界はどこに向かう
  • トランプvsヒラリー 米大統領選まで1カ月
  • オバマのLGBT外交 米国と途上国の「文化戦争」
  • トランプVSヒラリー 米大統領選まで3カ月
  • オバマ外交と次期米大統領の課題
  • 2016年米大統領選まで1年
  • 再考 オバマの世界観
  • オバマの対宗教戦争・第1部
  • オバマの対宗教戦争・第2部
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  • JAXA宇宙探査計画
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  • 安東 幹
    安東 幹
    共産党問題
    坂東 忠信
    坂東 忠信
    元警視庁北京語通訳捜査官
    古川 光輝
    古川 光輝
    保守国際派
    細川 珠生
    細川 珠生
    政治評論家
    井上 政典
    井上 政典
    歴史ナビゲーター
    伊勢 雅臣
    伊勢 雅臣
    「国際派日本人養成講座」編集長
    河添 恵子
    河添 恵子
    ノンフィクション作家
    宮本 惇夫
    宮本 惇夫
    企業・経営
    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家
    高橋 克明
    高橋 克明
    「ニューヨーク BIZ」CEO 兼 発行人

    金正恩氏を苦しめるPTSD

     辛い経験をするとその後、その後遺症に悩まされるものだ。イラク戦争に参加して帰国した米軍兵士たちにみられる心的外傷ストレス障害(PTSD)はその典型的な例だろう。戦場で多くの死体を見てきた人間は日常生活に容易に再統合できないのだ。

    宇宙監視中央センター

    北の「宇宙監視中央センター」(2013年1月14日、駐オーストリア北大使館の写真展示ケースから)

     同じようなことが北朝鮮の金正恩労働党委員長にも言えるかもしれない。父親・金正日総書記から政権を継承した直後、叔父・張成沢(当時・国防委員会副委員長)が金正恩氏を追放する計画を中国当局と画策していたことが発覚。金正恩氏は2013年12月13日、叔父を射殺すると共に、親中国派の幹部たちを次々と粛清していったことはまだ記憶に新しい。粛清はまだ終了していない、今なお、張派と思われる幹部たちは恐れ戦きながら生活している。

     国際社会の対北制裁が成果を発揮できない最大の理由は中国の制裁が甘いからだと言われてきた。トランプ大統領は北の第2回目の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射直後、「中国は口だけで何もしていない」と不満を吐露し、中国の対北制裁が十分でないことを強調したばかりだ。

     問題は、中国だけの責任ではないことだ。金正恩氏が中国を嫌悪し、憎しみをもっているからだ。中国の言いなりになる気持ちなどないのだ。だから、中国の警告や中途半端な制裁では北の核・ミサイル開発を中止できないのだ。

     金正恩氏をそこまで中国嫌いにした主因は、張氏と連携して正恩氏を追放し、できれば親中国派の金正男氏を担ぎ出そうとした中国指導部のクーデター計画だ。金正恩氏はそれを知り、キレたのだ。もはや中国を当てにできないという教訓を得たわけだ。

     独裁者の悪夢は軍のクーデターだ。国軍の最高指揮官であるが、軍の一部が自分を暗殺し、その権力から追放するのでないかという懸念だ。トルコのエルドアン大統領はその懸念を実体験したばかりだ。未遂に終わったクーデター計画(2016年7月15日)直後のエルドアン大統領の反応を振り返れば、金正恩氏の立場をもう少しリアルに理解できるかもしれない。

     エルドアン大統領は、「クーデターの主体勢力は米国亡命中のイスラム指導者ギュレン師だ」と名指しで批判し、米政府に同師の引き渡しを要求する一方、クーデター事件に関与した軍人らを拘束し、公務員を停職処分、教育関係者や報道関係者を粛清していった。トルコでは過去1年間で約15万人の裁判官、警察官、軍関係者、大学教授、各官庁職員など公務員が解雇され、5万人が刑務所に送られている。トルコの刑務所は反エルドアン派の国民で溢れている一方、大量の公務員が解雇されたため、国の通常の運営が停滞しているのだ。外部の人間から見れば、エルドアン大統領のクーデター未遂事件後の反応は少々、狂気じみているが、クーデター計画を肌で体験した独裁者の反応を理解する上で参考になる。

     金正恩氏はエルドアン大統領の状況と酷似している。自分を暗殺し、粛清しようとしていた計画が進行していたのだ。対応が遅れれば、自分は抹殺されていたかもしれない、といった悪夢を払しょくできない。エルドアン大統領の場合、ギュレン師であり、金正恩氏の場合、張成沢が悪夢の原因となったわけだ。

     北の核・ミサイル問題の最大ネックは米国の敵対政策ではなく、金正恩氏を苦しめているクーデタ事件の後遺症だ。その点を理解しない限り、如何なる対北制裁も効果を発揮できないばかりか、独裁者を一層、狂気に走らせる恐れが出てくる。後遺症の症状とは、恐怖心であり、怒りだ。人間の原始的な感情だ。それゆえに、それらの感情を抑制することが難しいのだ。

     国際社会の対北制裁は金正恩氏の後遺症を更に悪化させるだろう。フェイク・ニュース1本で朝鮮半島を戦火に陥れる危険性が出てきたのだ。

    (ウィーン在住)

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