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    石平
    石平
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    宇佐美 典也
    宇佐美 典也
    エネルギーコンサルタント

    「戦略的忍耐」後の米の対北政策は

     訪韓中のティラーソン米国務長官は17日、ソウルの尹炳世・韓国外交部長官との共同記者会見の場で、北朝鮮政策についてオバマ前政権の対北政策「戦略的忍耐政策」から決別を表明し、「北は安全と経済的な発展のためには核兵器や弾道ミサイルなど大量破壊兵器の開発を放棄しなければならない」と強調した上で、「米国は外交、安保、経済という全ての面で北朝鮮に対する措置を模索している」と説明した(韓国「聯合ニュース」日本語電子版2017年3月17日)。

     話を進めるために、米国の「戦略的忍耐」政策を少し復習したい。オバマ前政権の対北政策だ。瀬戸際外交を展開し、国際社会から経済的支援だけを手に入れ、非核化を実行しない北朝鮮に対して、「北が核開発計画を具体的に放棄するまで、無視を続ける」というもので、北が米国の関心を引こうとして核実験をしたとしても、米国側は無視し、沈黙するという政策だ。

     オバマ前大統領の「戦略的忍耐」は過去の対北政策の失敗から学んだ対応であり、それだけに一見高尚な戦略のように感じるかもしれないが、簡単にいえば、オバマ政権下の対北政策は北の核開発を静観するだけの“無策の政策”だった。

     ちなみに、韓国では過去、対北政策では「アメとムチ」政策が表明されることが多かったが、時の大統領が南北首脳会談という歴史的イベント開催に執着した結果、韓国側が常に最初にアメを提供してきた。そのため、その効果は全くといっていいほどなかった(例・故金大中大統領時代の「太陽政策」)。朴槿恵前大統領は過去の失策から北側には非核化への実行を先ず要求、それに応じるならば支援を惜しまないという政策を取ってきた。ある意味で、オバマ前大統領の韓国版「戦略的忍耐」政策だった。

     それでは「戦略的忍耐」政策の結果はどうだったか。明らかに、北側の作戦勝ちだ。韓国紙「朝鮮日報」の社説は「オバマ大統領の対北政策は『戦略的忍耐』ではなく『意図的責任回避』だ」と酷評したことがあった。北は過去5回の核実験を実施し、弾道ミサイル開発も米本土まで届く時点まで来ている。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験も行っている、といった具合だ。北は着実に核能力を拡大してきた。

     米国務長官の「戦略的忍耐からの決別」表明は、即軍事行動を意味しない。「威嚇レベルを高めていく。その上で、軍事行動の選択を検討していく」という。その意味で、米国の対北「戦争宣言」ではないが、北の核開発をもはや黙認しない、という強い決意があるわけだ。例えば、米韓特殊部隊の北指導者への暗殺計画が密かに進められている。

     米韓は北側のミサイル攻撃の防衛体制の早急な整備に取り組んできた。米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍配備だ。中国が在韓米軍のサード配置には強く反発しているだけに、対中交渉が急務となる。いずれにしても米韓軍の対北作戦は動き出してきたわけだ。

     米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」によれば、北朝鮮北東部・豊渓里の核実験場の坑道入口で動きがとらえられているとし、6回目核実験に向けた準備の可能性があるという。平壌が核実験を実施し、弾道ミサイルの発射を繰り返すならば、トランプ米政権はその対北政策の真価が問われることになる。

     トランプ米政権は「戦略的忍耐」の時代の終焉を告げたが、その後の“次の一手”で果たしてどのようなカードを提示するか、朝鮮半島の安全問題とも密接にかかわる最重要テーマだ。

    (ウィーン在住)

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