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    中村 仁
    元全国紙経済記者
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    高橋 克明
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    核実験の放射性物質、依然未検出

     北朝鮮は先月6日、4回目の核実験を実施して今月25日で50日目を迎えたが、ウィーンに事務局を置く包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)が世界各地に配置している国際監視システム(IMS)は核爆発によって放出される放射性物質希ガスを依然検出していない。

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    「核爆発」(CTBTOのHPから)

     IMSは地震波、放射性核種、水中音波、微気圧振動をキャッチする337施設から構成され、現在約90%が完了済みだ。1回目の核実験では22カ所の地震観測所が北の核実験をキャッチ。2回目は61カ所、3回目は94カ所がそれぞれ観測した。問題は、核爆発が実際行われたかどうかは放射性物質キセノン131、133の検出有無にかかっていることだ。

     北朝鮮中央テレビは6日午後12時半、特別重大報道を通じ、「初の水素爆弾実験に成功した」と発表した。日米韓3国らは「爆発規模が小さすぎる」として水爆説には否定的だが、北東部の咸鏡北道・吉州郡から北側49キロ地点で地震が発生したことから核実験はほぼ間違いないと受け取られている。

     ただし、放射性物質希ガスが検出されない限り、断言はできない。だから、「北の核関連技術水準では核爆発は難しい。大量のTNT火薬を爆発させたのではないか」(欧州の学者)といった偽造核爆発説を主張できる余地がでてくることになる。

     参考までに、北の「水爆説」の場合、実験直後、ヘリウム3が放出されなければならない。米軍は水爆実験を事前にキャッチし、実施日前後、無人機で監視し、ヘリウム3を検出しようとしたが、キャッチできなかった。そこで米政府は北の水爆実験はなかった、ないしは失敗したと判断したのではないか。

     北の核実験の場合、2006年10月9日の1回目の爆発規模は1キロトン以下、マグニチュード4・1(以下、M)、2回目(09年3月25日)の爆発規模は3~4キロトン、M4・52、3回目(13年2月12日)は爆発規模6~7キロトン、M4・9だったと推定されている。放射性物質の検出では、1回目はキセノン133(Xe133)が実験2週間後の10月21日、カナダのイエローナイフ観測所で検出された。2回目は検出されずに終わった。3回目は核実験55日後の4月8、9日、日本の高崎放射性核種観測所でキセノン131、キセノン133が検出されている。そして今回の4回目の核実験では、実験後50日目が経過したがまだ検出されていないのだ。

     CTBTOのトーマス・ミュツェルブルク報道官は、「核実験から時間が経過すればするほど、検出できるチャンスは少なくなる」と述べ、北の2回目の核実験と同様、今回検出されずに終わる可能性があると示唆しているほどだ。

     CTBTOは核爆発を検証する機関だ。その核爆発がウラン核爆発によるものか、プルトニウム核爆発かを断言する権限はない。それは加盟国が独自に検証する問題になる。

     問題は、北の核実験で今回も放射性物質が検出されない場合、CTBTOは「北は核実験を実施した」とはいえないことだ。放射性物質の放出を完全に防ぐことができれば、核実験の有無を検証できなくなる。

     核実験を1000mの地下で完全な密封状況で実施した場合、核爆発規模は確実に抑えられるうえ、核実験後放出される放射性物質は外に流れない。そうなれば、核実験が実施されたか否かは分からない。もちろん、地震観測所は異常な波を観測するだろうが、先述したように、TNT爆弾でも地震を発生させることができるのだ。

     検証可能な唯一の方法は現地査察(オン・サイド・インスペクション)だが、核実験を隠蔽しようとする国がCTBTOの現地査察団を受け入れるとは考えられない。とすれば、核実験の疑いは濃厚だが、断言できない、といった曖昧な状況が続くことになるわけだ。

    (ウィーン在住)

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