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    経済ジャーナリスト
    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    高橋 克明
    高橋 克明
    「ニューヨーク BIZ」CEO 兼 発行人

    東欧の亡命活動家と韓国の「挺対協」

     韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)とは、慰安婦問題で反日活動の先頭を切り、ソウルの日本大使館前に「少女像」を建立するなど、世界各地で慰安婦像の建立計画を進めている市民団体だ。

     その団体が日韓両政府の慰安婦問題の「最終的な不可逆的な解決」に反論し、「慰安婦の声を無視した政治的合意に過ぎない」として強く反対。日本側が両政府合意に基づいて「少女像」の撤去を求めると、「日本は10億円で少女像を買い取った」と朴大統領政府を酷評している有様だ。

     「挺対協」の反応は十分予想されたことで驚きには値しないが、彼らの言動を見ていると、冷戦終焉直後の亡命ポーランド人活動家たちの姿を思い出すのだ。彼らは当初、冷戦が終わったという事実を把握できず、民主政権がワルシャワで発足後も時代の変化についていけずに苦慮していたのだ。 

     当方は当時、東欧諸国の取材を担当していたから、ウィーンに亡命してきた東欧の反政府活動家たちとコンタクトを持っていた。彼らは当方にとって貴重な情報源の一つだった。

     ところが、ワルシャワで独立自主管理労組「連帯」を中心として民主勢力が政権を掌握し、民主化を促進し出すと、ウィーンの亡命ポーランド人活動家たちの中で不協和音が出、民主勢力への批判すら飛び出してきた。ウィーンのチェコスロバキア人亡命者社会でも程度の差こそあれ同じ現象が見られた。

     東欧の共産政権を批判し、西側メディアへ情報を提供してきた彼らが民主化後、冷戦終焉を歓喜するというより、新しい状況に戸惑い、どのように適応すべきか分からないといった状況が見られたのだ。西側で活発に反政府活動をしてきた亡命者であればあるほど、その試練が大きかった。政治に関心がなかった亡命者は新しい時代の到来を素直に歓迎したのとは好対照だった。

     「挺対協」メンバーも自身のライフワークとしてきた慰安婦問題が日韓両政府の「最終的な不可逆的な解決」で幕を閉じようとしていることを目撃し、「ああ、よかった」とは言えないのだ。「合意の背後に何かある」「朴政権は慰安婦と事前に協議せずに一方的に決定した」といった批判の声しか出てこないのだ。

     「挺対協」メンバーは亡命ポーランド人活動家と同じような立場にある。新しい政治情勢に適応ができないのだ。慰安婦問題の解決を目指していながら、「解決された」と言われると反発したくなるのだ。彼らが本当に問題の解決を願っていたならば、両政府の合意が完全でなかったとしても受け入れることはできるはずだ。「挺対協」メンバーの慰安婦問題に取り組む動機が純粋なものではなかった、といった穿った憶測すら生まれてくる。一部のメディアでは、「挺対協」は北朝鮮の工作機関と連携した親北団体と受け取られているほどだ。

     「挺対協」メンバーは時代の推移を理解し、新しい時代の推進者となるべきだ。妨害者となってはならない。新しい時代の障害となれば、これまでの功績は全て台無しになるだけだ。

     「挺対協」は6日にもワシントン、ウィーンなどで日韓両政府の慰安婦問題の合意に反対するデモを予定している。新しい時代への対応が如何に難しいか、「挺対協」メンバーの動向を見ていると、改めて痛感する。

    (ウィーン在住)

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