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    中村 仁
    元全国紙経済記者
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    高橋 克明
    「ニューヨーク BIZ」CEO 兼 発行人

    北の金王朝は国民の寿命を奪った

     このニュースを読んだ時、金日成主席、金正日総書記、そして金正恩第1書記の3代世襲の金王朝が自国民族に犯してきた罪の深さを痛感した。金王朝は北国民から12年の寿命を奪ったのだ。これほど大きな罪があるだろうか。

     韓国統計庁の「2015年北朝鮮主要統計指標」によると、今年の韓国の平均寿命は男性が78.2歳、女性が85.0歳、北朝鮮は男性が66.0歳、女性が72.7歳で、南北の差は男性が12.2歳、女性が12.3歳だったという。南北間に驚くべき寿命の格差が存在するのだ(韓国「聯合ニュース」20日)。

     朝鮮半島が南北に分断されなかったならば、北の男性寿命も韓国のそれと大きくは違わなかったはずだ。それが南北分断後、国民寿命に大きな格差が生じたという事実は、乳児の死亡率、国民の食糧事情などの結果だが、その直接の責任は3代にわたり世襲独裁政権を続けた金王朝の責任であることは疑いないだろう。

     金王朝は自国国民の寿命を縮め、彼らの人生を奪ったのだ。それも過去形ではなく、現在も進行している犯罪だ。北朝鮮では今も20万人以上の国民が裁判を受けることなく、政治犯として強制収容所に隔離されている。世界のキリスト信者の迫害状況を発信してきた非政府機関、国際宣教団体「オープン・ドアーズ」が公表するキリスト教弾圧インデックスでは、北は毎年、最悪の「宗教弾圧国」だ。聖書を持っているだけで拘束され、悪くすれば収容所に送られ、強制労働を強いられる。そこでは生きて帰ることが難しい状況だ。それだけではないのだ。金王朝に抵抗できない大多数の北国民から平均12年の寿命を奪い続けているのだ。

     金王朝が政権を堅持して国民を弾圧し続けるという事実は、国際社会の責任でもある。イスラム過激派組織「イスラム国」の撲滅のために国連安保理決議が採択され、国際同盟軍が結成され、空爆が実施されているが、北独裁政権の人権蹂躙に対しては国際社会は驚くほど消極的だ。国連では、北の人権蹂躙を批判する決議が採択されるが、それで終わりだ。国連関係者の一種のアリバイ作りのように感じるほどだ。

     ところで、韓国統計庁によると、北の携帯電話加入者数は2014年、280万人となり、人口100人当たり11人が携帯電話を保持しているという。同国では09年は携帯電話加入者数は7万人だったが、金正恩政権が発足した11年には100万人の大台を突破し、13年には242万人に伸びたという(聯合ニュース)。北国民の携帯電話加入者数の増加は朗報かもしれないが、兄弟国の韓国では2010年に人口より多い携帯電話加入者が登録されている。その南北間の格差は天文学的な開きとなるだろう。しかし、南北間の「寿命の格差」は携帯電話加入者の格差ではない。繰り返すが、国民一人ひとりの命が平均12年間、金王朝に奪われているのだ。

     あと少しで2016年を迎える。国際社会は新年こそ北国民を金王朝から解放しなければならない。もはや静観し、黙認している時は過ぎ去った。北国民のうめき声は天にまで届いている。国際社会は朝鮮半島の南北再統一が平和裏に実施されるために知恵を寄せ合って連帯すべきだ。

    (ウィーン在住)

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