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    「ニューヨーク BIZ」CEO 兼 発行人

    北の多才な外交官・張雄氏の“苦悩”

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    北朝鮮IOC委員の張雄氏(2003年6月、ウィーンITF本部にて撮影)

     独週刊誌シュピーゲル最新号(10月31日号)は北朝鮮の国際オリンピック委員会(IOC)の張雄委員(77)について5頁に及ぶ記事を掲載している。北の人物をこのように大々的に報じるのはシュピーゲル誌にとっても珍しいことだ。同誌は‘Der vielseitige Mister Chang’(多才なミスター・チャン)というタイトルを付けて報じている。

     張雄氏(Ung Chang)は8月24日、ブルガリアの第2都市プロヴディフ市で開催された国際テコンドー連盟(ITF)総会の次期総裁選で13年間務めてきたITF会長ポストをリ・ヨンソン師範(Ri Yong Son)に譲り、自身は名誉総裁となったばかりだ。これでITF総裁という看板を下ろすことになった。張氏は現在、IOC委員という肩書だけだ。

     張氏は2002年、テコンドーの創設者であり、ITF総裁だった崔泓熙氏の死後、13年間総裁として働いてきた。張氏は今後、名誉総裁としてITFの財政基盤の構築と、韓国主導の世界テコンドー連盟(WTF)との連携に力を注ぐという。

     シュピーゲル誌の記者は張氏とスイスのローザンヌのIOC本部など複数の場所で会見しているが、5頁に及ぶ記事にも関わらず、政治的な発言は一切、引き出していない。同記者の取材能力が問題ではない。張氏は政治的質問に対しては絶対答えないからだ。

     当方も過去、数回、張氏にインタビューしたが、質問前には「政治的質問はしないでほしい。質問はスポーツ関連に限る」と注文を付けるからだ。だから、シュピーゲル誌の記事の中で金正恩第1書記に関する新しい情報を期待する読者は失望するだろう。その代わり、北では唯一、世界を自由に飛び回ることができる人物、張雄氏の近況を知ることができる。

     張氏はIOC委員として夏季・冬季オリンピック大会の開催誘致問題ではその決定を下せる貴重な1票の持ち主だ。訪れる先々で歓迎され、高級ホテルに宿泊し、豪華な夕食会に同席する。2012年には英エリザベス女王を謁見している、といった具合だ。北朝鮮外交官が願ってもできない外交を展開してきた人物だ。シュピーゲル誌が同氏に目を付けたのも不思議ではない。

     張氏は1938年7月、平壌に生まれている。平壌外国語大卒、1996年7月からIOC委員を務めている。98年4月から体育省第一副相、朝鮮オリンピック委員会副委員長。2002年9月からITF総裁に任命された。若い時、北朝鮮の代表的バスケットボール選手として活躍した。

     記事の中で興味をひかれた点は、張氏の77歳の誕生日にトーマス・バッハIOC委員長(ドイツ人)がトロントから祝いの電話をかけてきたこと、張氏の息子(Jong Hyok Chang、38)が2年前からローザンヌのIOC本部で仕事をしていること、張氏の孫を含む2人の北朝鮮サッカー選手が独のサッカー・クラブでトレーニングを受けていること、そして張氏がウィーンの心臓専門医の治療を受けていることだ。

     張氏はドイツとの交流が深い。張氏にウィーンの心臓専門医を紹介したのはバッハ会長だ。ちなみに、バッハ会長のIOC委員メンバーへのケアは驚くほど細かい。国連機関や国際サッカー連盟(FIFA)など国際組織の関係者や職員には一種のファミリー意識が強いが、IOCも例外ではないわけだ(同時に、汚職や腐敗の源泉ともなる)。張氏のウィーンでの医療費はIOC負担だ。

     ITF総裁を降りたことから、張氏は年内にもウィーンの住居を整理して平壌に戻る考えという。奥さんは帰国を願っているという。外国語が出来ず、知り合いが少ない奥さんにとって、夫が外国訪問から戻ってくるのを待つだけのウィーンの生活は辛いという。そのうえ、平壌に住む3人の娘さんたちに会いたいからだという。
     一方、張氏はシュピーゲル誌記者に「母国へ戻ることはもちろん嬉しい」と答えているが、同記者は「その顔は表情を失った」と付け足している。当方が知る限りでは、海外駐在の北外交官で帰国を願う者は皆無だ。彼らは自由を味わえる海外生活を失いたくないと願っている。張氏も例外ではないだろう。北の高官は自らの健康問題を外部に漏らすことは絶対しないが、張氏はシュピーゲル誌記者に「心臓病を患っている」と自ら明らかにしている。なぜだろうか。

     シュピーゲル誌によると、ウィーンの心臓専門医は近日中に張氏に心臓手術をするかどうかを決定するという。張氏が心臓のバイパス手術を受けることになれば、同氏は当分、ウィーンに留まることになるだろう。 

    (ウィーン在住)

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