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    安東 幹
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    坂東 忠信
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    古川 光輝
    古川 光輝
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    細川 珠生
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    井上 政典
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    伊勢 雅臣
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    河添 恵子
    河添 恵子
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    宮本 惇夫
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    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家
    宇佐美 典也
    宇佐美 典也
    エネルギーコンサルタント

    ダ―ティな選挙戦後のシコリは?

     10月15日後のことが心配だ。オーストリアの国民議会選挙(下院、定数183)が15日に行われるが、どの政党が勝利し、どの政党間に連立政権が成立するとしても「選挙戦のシコリが残るのではないか」と懸念するからだ。

     アルプスの小国オーストリアの国民議会選は戦後、最悪のダ―ティ選挙となった。先ず、大連立政権を組んできた与党の社会民主党と国民党の間が完全に亀裂、それどころか、激しい個人攻撃が吹き荒れてきたからだ。

     その直接の原因は、社民党が自称「選挙戦略の世界的プロ」と名乗るイスラエル人のタール・シルバーシュタイン氏と顧問契約を締結し、ライバル政党の国民党のホープ、セバスチャン・クルツ党首(外相)への個人攻撃を始めたことからだ。国民党のサイトのように見せかけたものと、反クルツサイトを作り、クルツ氏が反ユダヤ主義者という印象操作をし、あらゆるフェイク情報をソーシャルメディアに流したのだ。社民党は同氏を雇うのに50万ユーロを超える契約金を支払っている(「『選挙』は政治家を狂わせるか」2017年10月5日参考)。

     シルバーシュタイン氏が別件でエルサレルで逮捕されたことから国民党へのダ―ティ・キャンペーンの実態が浮かび上がったというわけだ。ダ―ティ・キャンペーンについて追及されたケルン党首(首相)は「自分は知らなかった」と主張する一方、「自分を陥れる国民党の仕業だ」と反論。その後の展開は読者も想像できるように、TV選挙討論会でクルツ氏とケルン氏が顔を合わせると激しい舌戦が展開された。有権者はボクシングの試合を見ているような興奮を感じながら両紳士の激しいやり取りを追う、といった具合だ。最後は、両者は「事の決着を裁判でつける」と相手を威嚇して終わる。

     当方が理解できない点は、社民党が自党の選挙戦の戦略をなぜ外国人の人間に金を払って依頼したかということだ。オーストリア国内にも専門家は多数いる。シルバーシュタイン氏がオーストリアの政情に精通していたとは思えない。社民党はどこかの縁から同氏を紹介されたのだろうが、その人物に50万ユーロを超える大金を支払い、党のイメージを傷つけてしまった。社民党が選挙で敗北すれば、その主因はダーティ・キャンペーンにあったと言わざるを得ないだろう。

     一方、ケルン氏とクルツ氏の抗争を横でにんまりとして見てきたのが第3党、極右政党「自由党」のハインツ・クリスティアン・シュトラーヒェ党首だ。同党首はケルン首相に「個人的に知らなかったとしても党の失態に対して党首は有権者に詫びるべきだ」と諭すなど、余裕が見られる。オーストリア代表紙プレッセは、「自由党が社民党と国民党のダ―ティな選挙戦の漁夫の利を得るだろう」と予想しているほどだ。

     当方は「選挙後」を心配する。激しい個人攻撃を繰り返し、勝っても負けても、その後の人間関係がうまくいかなくなることだ。クルツ外相は、「自分は政治家になって面の皮も厚くなった」と述べ、個人攻撃を受けても動じないと強調している。しかし、厚い皮だとしても、その皮膚の下には神経が張り巡らされている。職業政治家だとしても叩かれれば痛い、という点では普通の人間と変わらないはずだ。

     オーストリアの国民議会選より激しいダ―ティ選挙戦を展開した米大統領選を思い出してほしい。選挙後、10カ月余りが経過するが、トランプ氏とライバルだったヒラリー・クリントン女史の人間関係が修復されたとは聞かない。

     投票日まであと3日。戦後最大のダ―ティ選挙戦となった国民議会選の結果が明らかになる。同国日刊紙エステライヒ(10月10日付)は最後の世論調査結果を掲載している。少しの誤差が生じるかもしれないが、ほぼ間違いがないだろう。読者に紹介する。

    800

    オーストリア日刊紙エステライヒの選挙前最後の世論調査結果

     ①中道右派政党「国民党」
     ②極右政党「自由党」
     ③中道左派政党「社会民主党」
     ④リベラル派政党「ネオス」
     ⑤「緑の党」
     ⑥「リスト・ピルツ」(「緑の党」から派生したグループ)

     オーストリアで31歳の欧州最年少の首相が誕生し、国民党主導の連立政権が生まれるだろう。極右政党自由党が連立政権に参加すれば、欧州のメディアから自由党叩きが飛び出すことは必至だ。

    (ウィーン在住)

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