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    中村 仁
    元全国紙経済記者
    高橋 克明
    高橋 克明
    「ニューヨーク BIZ」CEO 兼 発行人

    消去法で“極右”大統領を回避したオーストリア

     オーストリアで22日、大統領選挙の決選投票(有権者数約638万人)が実施され、野党第2党の「緑の党」前党首のアレキサンダー・バン・デ・ベレン氏(72)が23日の郵送投票分の集計後、極右政党「自由党」が擁立したノルベルト・ホーファー氏(45)を逆転し、得票率50・35%を獲得し、当選した。新大統領の就任式は7月8日、任期は6年間。

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    オーストリア決選投票は国民を完全に2分した(2016年5月23日、国営放送から撮影)

     ハインツ・フィッシャー現大統領(社会民主党出身)が2期12年間を満了し、7月退任するのを受けて実施された大統領選の第1回投票(4月24日)では、「社会民主党」や「国民党」の2大連立与党が擁立した候補者が惨敗。決選投票は得票率約35%を獲得してトップとなったホーファー氏と、21%で2位となったバン・デ・ベレン氏の野党出身の2人の政治家の戦いとなった。

     決選投票の集計は22日中に勝者が判明せず(50% 50%)、有権者の14%に相当する郵送分約88万票の行方で決せられることになった。最終投票率は約72・7%だった。

     決選投票の選挙戦では、ホーファー氏の当選を阻むために、社民党、「緑の党」、「ネオス」など他の政党が早々とバン・デ・ベレン氏支持を表明し、辞任したフィアマン首相の後任、ケルン新首相(社民党出身)も就任直後、バン・デ・ベレン氏支持を明らかにするなど、反ホーファー氏陣営が構築されていった。

     有権者の1人は、「彼なら当選しても何もしないだろうから、彼に投票したよ」と少々皮肉に聞こえるコメントをしていた。彼とはバン・デ・ベレン氏(72)のことだ。一方、「ホーファー氏が当選すれば、何をするか予想できない不安がある」というのだ。

     この有権者は大統領職そのものに余り期待していないことが推測できる。実際、オーストリアの大統領職はあくまで名誉職であり、政治的実権は少ない。政権や閣僚の任命が最大の仕事であり、あとは外国を訪問し、ゲストを迎え、オーストリアのイメージを高めることぐらいだ。

     民主主義の要は国民に選挙権が付与されていることだ。国民は自分が信じる人に投票できる。複数の政党、候補者から可能な限り、最善の候補者を選び出し、自身の票を投じる。しかし、オーストリア大統領選では少々違っていた。換言すれば、ベストを選ぶのではなく、最悪を回避する消却法で投票する有権者が多かったことだ。すなわち、ホーファー氏を大統領に当選させないため対抗候補者のバン・デ・ベレン氏に票を入れた有権者が多かったわけだ。

     ホーファー氏は極右政党のナンバー2であり、自由党は外国人排斥政治を標榜し、欧州連合(EU)にも非常に懐疑的な政党である。フランスの ジャン= マリー・ル・ペン党首が率いる「国民戦線」、オランダのヘルト・ウィルダース党首の「自由党」などと同じだというわけだ。ホーファー氏の大統領就任はオーストリアを欧州社会から孤立化させる、といった反ホーファー陣営のアピールが成功した。

     ちなみに、国営放送(ORF)が依頼して実施された投票動機に関する調査で、バン・デ・ベレン氏に投票した有権者の約48%は、「ホーファー氏の大統領勝利を阻止したいから」と答えている。

     バン・デ・べレン氏しか選択肢がなかったことはオーストリア有権者にとって不幸だった。「緑の党」前党首が大統領職に相応しいと考えた有権者は少なかった。政治信条も過去、共産党、社会党、そして「緑の党」と何度も転身してきたバン・デ・ベレン氏を理想的大統領と考えた人は少なく、白紙のまま投票する有権者も少なくなかった。

     一方、ホーファー氏は勝利できなかったが、自由党の大統領候補者が約50%の得票率を獲得したという事実は無視できない。極右政党の躍進は、難民対策、失業者の増加など社会情勢が背景にあることは確かだが、最大の主因は欧州の政界を主導してきた2大政党、キリスト教民主系政党(独、キリスト教民主同盟、オーストリア国民党など)と社会民主党系政党の政治に対する国民の批判票だ。

     キリスト教価値観をなし崩しに捨て、リベラルなトレンドに迎合する国民党、労働者の代表といいながら、社民党幹部たちが独裁国家の大統領顧問に就任し、巨額の顧問料を得ている実態、それらの現状への批判が極右政党の台頭を許してきた。これこそ大統領選で有権者の選択肢をホーファー氏かバン・デ・ベレン氏かに縮小させ、有権者に消却法的な選択を強いた最大の原因だ。

    (ウィーン在住)

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