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  • 筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談
  • 第3次安倍改造内閣スタート
  • 詳解 集団的自衛権 安保法制案の合憲性
  • 衆院選 自公圧勝 ~課題と展望~
  • ’14衆院選 注目区を行く
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  • 2016/1/02
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  • トランプVSヒラリー 米大統領選まで3カ月
  • オバマ外交と次期米大統領の課題
  • 2016年米大統領選まで1年
  • 再考 オバマの世界観
  • オバマの対宗教戦争・第1部
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  • JAXA宇宙探査計画
  • 2015/12/24
  • 改宗した難民へ“信仰テスト”を実施

     イスラム過激派勢力が席巻する中東・北アフリカ諸国から欧州に多くの難民が殺到し、受け入れる側の欧州もその対応に苦慮している。全ての難民を受け入れることは難しいうえ、難民の中には経済的理由から欧州入りを図る経済難民や、イスラム過激派勢力の密使として欧州入りを狙う難民もいるのが現状だ。難民として公認された人間が国内でイスラム過激思想を拡大していた、と発覚したことが過去ある。

     そのため、受け入れ側の難民審査(行政裁判所)が長期化する傾向がある。難民の中には難民申請後、3、4年間も決定を待って難民収容所生活を送るケースがもはや稀ではない。待機中は基本的には就労できないから、申請が受理される日を夢見ながら過ごすことになる。

     オーストリアでは冷戦時代、旧ソ連・東欧諸国の共産党政権から逃げてくる多くの難民が殺到した(約200万人の難民が小国オーストリアに避難)。そのオーストリアに冷戦終了後、再び、中東・北アフリカ、アジア諸国から難民が殺到してきたのだ。下オーストリア州のトライスキルへェ収容所では、収容能力の倍以上の難民が生活している。地元住民と難民の間で不協和音が生じている地域もある。

     ところで、オーストリア日刊紙プレッセ12日付は、イスラム教信仰を捨て、キリスト教に改宗した難民の現状を紹介している。改宗した難民申請者は、「審査が却下されたなら、イスラム教国の母国で死刑になる」と説明し、難民申請の受理を歎願するわけだ。

     改宗を理由に難民受理を迫るケースに対し、難民申請審査側(行政裁判所)は「この人物が本当にキリスト教に改宗したのか、難民申請の受理のための偽装改宗か」の判断で頭を痛める。そこで、考え出した方法は、改宗した難民に、キリスト教の“信仰テスト”を行い、試験をクリアできなかった難民は偽装改宗者と断定し、難民申請を却下するというのだ。

     そこで、改宗を理由に難民申請した2人の難民への当局側の“信仰テスト”の内容を簡単に紹介する。ここではアフガニスタン出身の難民をA君、イラン出身の難民をB君とする。以下はプレッセ紙からの引用だ。

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     A君はアフガニスタンからオーストリア入りし、難民申請を行った。A君はそこでイスラム教からキリスト教に改宗し、洗礼証明書も提出し、「母国に帰国すれば処刑される」と説明、難民申請の受理を歎願した。

     当局「君は2009年からキリスト教に改宗したが、その理由は」

     A君「キリスト教とイスラム教の信仰には大きな相違があるのを知った。キリスト教ではイエスへの信仰で救済される」

     当局「礼拝には定期的に参加しているか」

     A君「仕事の関係で礼拝には定期的には参加できない。日曜日も仕事があるので、普段は家で祈っている」

     当局「君はプロテスタントだが、恋人はローマ・カトリック信者だ。両教会の相違は何か」

     A君「カトリック信者はローマ法王のために祈り、法王は信者たちの為に祈る。法王は神と信者の間の調停者だ。一方、プロテスタントの場合、神に直接祈る」

     当局「君は聖母マリアについて何を学んだか」

     A君「聖母マリアはイエスの母親であり、無原罪で生誕された。ヨゼフはイエスの父親だと教えられた」

     行政裁判所「Aの答えには疑問があるうえ、改宗したキリスト教の教えを心から信じているといった印象を受けない」として、難民申請を却下した。

     それに対し、憲法裁判所(VfGH)は、「Aのキリスト教に関する知識はキリスト教の基本を押さえたもので、決して表面的ではない。キリスト教信仰がAには重要であるということが分かる」として行政裁判所に再審を要請した。

     B君はオーストリア入りした直後、「既婚の女性と関係を持ったので、帰国すれば石打刑に処される危険がある」として難民申請。それが虚言であったことが判明すると次はプロテスタント教会で洗礼を受け、イスラム教からキリスト教に改宗した。

     当局「最近では君はいつ聖書を読んだのかね」

     B君「昨夜です」

     当局「聖書のどの部分を読んだのかね」

     B君「ピりピ人への手紙です」

     当局「読んだ箇所の内容を説明してほしい」

     B君説明する。

     当局「ピりピ人への手紙の何章かね」

     B君「第4章6節です」

     行政裁判所「Bは最初の申請で却下された後、なぜキリスト教に改宗したのか十分説明していない。Bが答えたキリスト教の知識は少し勉強した人間ならば答えられる範囲だ」として、難民申請を却下した。
     憲法裁判所「Bは聖書の個所を引用した。Bのキリスト教への信仰が本物ではないと判断する根拠は不十分だ」と指摘、A君のケースと同様、再審を要請した。

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     審査側と難民申請者の間の“信仰テスト”は日本の読者には理解できないことかもしれないが、欧州では決して奇妙なことではない、難民申請者の中には、偽装結婚から偽装改宗まで、さまざまなトリックを駆使しても難民というステイタスを獲得しようとするケースが増えてきているからだ。ただし、改宗した難民の内的な信仰世界を限られた質問で判断することは少々無理がある。いずれにしても、イスラム教徒がキリスト教へ改宗するということは、命がけの決断がなければできないことだ。

    (ウィーン在住)

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