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  • JAXA宇宙探査計画
  • 2015/12/24
  • [明日へのノート] rss

    寄り添う医療

     日本で初めて「がん哲学外来」を開設した、順天堂大学の樋野興夫先生の話を伺う機会があった。がん細胞の話をしながら、内村鑑三や新渡戸稲造といった先人の言葉を巧みに引き出しながら聴衆を引き込む。言葉の魔術師と称されている。顕微鏡でがん細胞を見てきた病理学者ががん患者との対話を始めるようになったのは、医療で患者の心は救えないという思いから。

     患者や家族とお茶を飲みながら、1時間くらいかけて雑談風の交流をする。「鳥は飛び方を変えられないが、人間は生き方を変えられる」。この一言で救われ、絶望のどん底にあった患者が人生の意味を考え始める。9年前に始まった「がん哲学外来」は瞬く間に全国各地の病院に広がり、ここで立ち直ったがん患者らが自主的に運営する「メディカル・カフェ」も次々と誕生している。

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    能力に勝る経験の差

     この世の中には、本当に天才的な頭脳を持つ人がいる。筆者が知るその人は大学の同学年で、一時期、同じ寮で生活した。彼はなんと、新約聖書のマタイ伝の冒頭に出てくるイエス・キリストの系図を、夜にじっと眺めているだけで、翌日の昼にはノートに一言一句間違いなくアダムから順に書き記すことができた。彼の勉強は毎日、その日の授業のノート数冊を30分くらいじっと見直すだけ。それですっきり頭に入るのだから、あっと驚くしかない。

     もちろんそんな勉強法を大学まで続けられる人はめったにいない。普通の人は小学校や中学校のある時点で、授業をノートを取りながら真剣に聞いてもだんだん理解できないところが出てきて、それを放置すると授業に付いていけなくなる。筆者も然(しか)りで、数学では、中学校の2年生になると「どうしてあんな補助線を引くのか」「どうしてあんな式のまとめ方をするのか」と疑問ばかり浮かんで、取り組み方が分からなくなった。

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    地下鉄で席の奪い合い

     東日本大震災以来、日本人の公徳心の高さが世界から賞賛されている。他の国から見ればそうなのかもしれないが、昭和30年代生まれの筆者としては、日本人もかなり利己的になっているというのが実感であり、少し持ち上げ過ぎではないか、という気がしている。  東京メトロで、池袋から永田町に向かっている途中だった。つり革につかまっていた筆者の近くの座席が一つ空いた。  すぐさま、中年男性と若い男性がその席に座ろうとした。そのタイミングがほぼ同時だったので、まるで椅子取りゲームでもやるようにお互いお尻をぶっつけ合う形になった。どちらかが譲れば済む話だが、2人は必死の形相で張り合った。  大の大人が無言でそれをやるものだから、はたから見ていると、滑稽この上ない。筆者が笑いをこらえていると、軍配は中年男性に上がって、若者は離れていった。さぞやバツが悪かったに違いない。  永田町で仕事を終え、また東京メトロに乗った。空いている席があったので、歩み寄りそこに座ろうとしたが、小学1年くらいの女の子が走り込んできてその座を確保してしまった。瞬間、大人同士の席の奪い合いの光景が頭をよぎった。子供と席を争うようなみっともないまねはできない。何食わぬ顔をして、別の空いている席に座った。  筆者から席を奪った女の子の様子を見ると、父親らしき連れがいた。そして、その子に盛んに説教をしていた。「先に座ろうとしていた人がいたじゃないか。ちゃんと回りを見て、座りなさい」と。女の子はマナー違反をしたとは思っていないらしく、キョトンとしていた。  教育は日常生活で行うものだ。他人に心を配ることを教えるなんて、まだ若いのになかなかいい父親じゃないか、と感心した。「席を譲ってくれた、優しいおじさんに、ちゃんとお礼を言いなさい」と言ったら、完璧だったが……。(森)

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    晩婚と未婚が広がる時代に

     昨年末、筆者の従弟が“ついに”結婚した。40代半ばでの初婚だ。今は晩婚も珍しくはないが、叔父たちはさすがにホッとしていた。

     義理の弟も結婚は30代後半。20代の頃には「自分は一生結婚しない」と言って義父と義母を心配させていた。それが今は2児の父としてすっかり頼もしくなっている。従弟も義理の弟ももともと真面目な性格だが、昔であれば「結婚して一人前」と言われたように、結婚して家庭を築いてこそ人として大きくなることが確かにあると、2人を見て思う。

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    おまけの人生

     昨年1年間に生まれた赤ちゃんの数が100万人を割った。戦後のベビーブームには260万人も生まれていたわけだから、人口構造の激変ぶりは凄(すさ)まじい。

     一方先進国以外の多くの国は人口増にある。2083年には100億人を突破するという。

     人類生態学によると、環境の“定員”を超えては生きられないと考えられている。100億人を突破した後は減少に転じると言われている。

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    何のための「常在戦場」か

     昨年来、「常在戦場」という言葉をよく聞く。早期衆院解散・総選挙説が囁かれる中で、「政治家たる者、常に選挙に向け物心両面の準備を怠ってはならぬ」と自戒する声だ。安倍晋三総裁など自民党幹部だけでなく、民進党の蓮舫代表も昨年9月末の会見で、1月解散説と関連して「常在戦場、いつでも戦える態勢を整える」と語っている。

     「常在戦場」は越後長岡藩(新潟県長岡市)の藩主、牧野氏の家訓「参州牛久保之壁書」の冒頭にある言葉で、長岡藩の藩訓・藩風であり、長岡出身の山本五十六連合艦隊司令長官が座右の銘としたことでも有名だ。牧野一門の、そして牧野氏が治める長岡藩士の精神の拠り所であり、指導者(武士)たるものかくあるべしという理想、そのための教育理念でもあった。

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    声かけ禁止の時代

     スーパーに立ち寄った時のこと。レジで支払い中、次のような店内放送が流れた。

     「3歳くらいの女の子を探しています。姿を見かけた方は、店員にお知らせください」

     レジそばのサービスカウンターを見ると、お母さんらしい女性が心配そうに立っていた。周囲を見渡したが、女の子の姿はない。変質者が連れ去ったわけではないだろうから、すぐに見つかると思い、支払いを済ませて店を出た。

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    自尊感情には二つある

     「日本の子供たちの自己肯定感(あるいは自尊感情)が低い」と言われて久しい。政府の教育再生実行会議は、子供たちの自己肯定感が低い現状を改善するためにどうすべきか、議論を開始した。

     自己肯定感や自尊感情というと、ほめたり認めてあげたり成功体験を重ねることで高めようと考えることが多い。 ただ、自尊感情を研究している近藤卓氏(日本いのちの教育学会会長、山陽学園大学教授)は、それだけでは不十分だと述べている(『乳幼児期から育む自尊感情』エイデル研究所)。

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    読書による“未知との遭遇”

     まだ秋たけなわだった今月初め、久しぶりに神保町の古書店街を歩いて、かねて欲しかった本や思いがけず目についた本を仕入れてきた。ちょうど今年で57回を迎える神田古本まつりの期間中で、靖国通り沿いの歩道に作られた「本の回廊」は老若男女の人波で埋まっていた。  この時に買った後者の本、つまり、予め著者や本の存在すら知らなかったのに、どういうわけか書名や本の体裁、立ち読みした箇所に興味を覚えて衝動買いしたのが『政党興亡五十年―わが歩みし足跡―』(国会通信社)だった。著者の肥田琢司氏は大正時代から終戦後まで政財界で陰に陽に活躍した大変な人物だが、恥ずかしながら、それも同書の購入後に知った。

     肥田氏が師と仰ぐ原敬をはじめ、山本権兵衛、山県有朋、西園寺公望、大隈重信、寺内正毅、加藤友三郎、田中義一など、歴史的人物と同世代に生きて直に交流があった肥田氏が語る敗戦までの政党興亡の歴史は臨場感があり、教科書や歴史書の剥製のような記述に血が通い、生きて動き出すような感覚を受ける。

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    学校トイレの進化

     ロサンゼルスに出張した時のこと。日本に帰国する前日、現地で取材をアレンジしてくれた米国人の女性と日本人男性が筆者をねぎらいたいと、すし屋に招待してくれた。今年春に開店したばかりで、インターネットで調べて見つけたという。

     経営者も職人も日本人というだけあって、シャリもネタも米国の店とは思えないレベルでちょっと驚いた。食事が終わりかけたころ、女性が席を立った。

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    教育専門誌にLGBT記事

     大手メディアではLGBT(性的少数者)に関する記事が多く出ているが、教育専門の雑誌や新聞でもそうした記事を見かけるようになった。

     例えば、教育新聞(9月22日付)には「園長、校長にLGBT理解で研修」という記事。教育委員会が幼稚園長、小中学校長を対象に開いた研修会で、講師を務めた医師は「性の多様性を知識として理解するだけでは不十分だ。自分と異なる価値観に共感し、納得していく必要がある」と訴えたという。

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    学校の部活「強制」に疑問

     文部科学省は今夏、運動部の過度な練習による「障害防止」のために報告書を出した。その中で「中学校は週に2日以上の休養日を」「高校は週に1日以上の休養日を」「長期休業中はまとまった休養日を」「平日は2~3時間まで、土日は3~4時間まで」としている。監督・顧問の教員や部活に参加する生徒の負担を少なくするためだという。

     昭和30年代生まれ世代の運動部の部活は炎天下でも、「水を飲むな、体が冷えるからプールにも入るな」と厳しく、かなり、理不尽な指導もされたものだ。先輩・後輩との人間関係に悩んだり、先輩からの理不尽な「しごき」に耐えられなくなり、辞めていく仲間も多くいた。

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    電通の女性過労死に想う

     10月7日、昨年クリスマスに自殺した電通の女性社員の過労死認定がされた。亡くなった高橋まつりさん(24歳)は母子家庭で育ち、母親を楽にしてあげたいと東大入学を果たし、卒業後電通に入社、わずか1年足らずで命を絶った。ツイッターには2時間睡眠や土日出勤が続き、「本気で死んでしまいたい」という書き込みがあり、上司によるパワハラの実態も伺えた。

     今月、公表された「過労死等防止対策白書」によると、1年間で「過労死」の労災認定の目安となる「80時間以上」を超えた月がある企業は2割超。ITなど情報通信業は4割強に達している。一部上場の某IT企業で働く知人は、繁忙期は夜10時から会議が当たり前、深夜1時過ぎまでほぼ全員が居残るのが常態化しているという。

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    異常気象と秋の空

     「秋を描いてこい」。小学校5、6年生のころ、担任の先生から図工の時間にこんな課題を与えられ、校舎の外、校庭や運動場、そして裏山などを歩き回ったことを覚えている。田舎の小学校だから、秋を特徴づける景色はそこかしこに待ち構えていた。

     山吹色のイチョウの木や紅葉した楓、学校の周りではなかったが自宅の川向こうには黄金色の稲穂がつまった田んぼも…。そんなこんなを考えた揚げ句、色付き始めた柿の実を中心に据えて描き始めたが、毎回、図工の時間は限られているので、仕上がる頃には実は熟し、周りの葉っぱが少なくなっていた。

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    過剰な薬依存

     厚生労働省が今月末、2014年度の国民医療費が8年連続で過去最高を更新し、40兆円を突破したと発表した。近年、とくに増えているのが「調剤」だ。このニュースを聞いて、子供の頃のことを思い出した。

     小学生の夏休みに、友人と川に魚取りに行った時のこと。水中めがねを付けた友人が魚を刺すヤスを手に、さっそうと川に飛び込んだ。しかし、すぐに河原に引き返してきた。

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    地方創生と私立大学の生き残り

     一般社団法人「レジリエンスジャパン推進協議会」のワーキンググループが今春出した家族人口政策の政策の提言「持続可能な家族・世代・地域を取り戻す」の中で、「私立大学の一部を、地方創生のプロデューサーの役割を果たす地域研究および人材育成機関として積極的に公立化する」という施策を提案している。

     地方創生の人材育成に力を入れている大学は既に在るが、ここでは「公立化する」がポイント。学生には奨学金を貸与し、地域おこし協力隊などを含めて地元に就職すれば返済を免除するという。

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    曖昧な待機児童の定義

     9月早々、厚生労働省が潜在的待機児童6万7354人と言う集計結果を公表した。これは育児休暇中や認可など特定の保育所を希望する場合など、自治体の判断で待機児童にカウントしてこなかった数で、潜在的な保育需要を示している。

     この一週間後、東京都の小池知事は2歳児以下の小規模保育所施設の年齢制限を撤廃し、3歳児以上も可とする設置基準の緩和を国に要請、待機児童解消策を打ち出した。政府も都の要請を受け入れる方向だ。

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    依然低い教育への公的支出

     筆者が大学に入学した昭和51(1976)年、国立大の授業料は年間9万6000円だった。今から40年も前のことではあるが、現行の53万5800円と比べると文字通り、隔世の感がする。とはいえ、その前年まで4年間は3万6000円、その前の9年間はなんと1万2000円だったので、当時の在校生より少なくとも3倍近く授業料を払わされたことになる。

     私立大との格差是正を求める声が高まる中、国庫負担の軽減のため学生の負担を増やす方向に政府が動いたためだ。70年代以降の急激な値上げは徐々に鈍化し、2004年の国立大の法人化以降は、国が示す標準額はほぼ53万円台で推移している。

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    「詰め込み」と「ゆとり」の狭間で

     次期学習指導要領の「審議まとめ(案)」が、8月1日に開かれた文科省教育課程企画特別部会で示された。「社会に開かれた教育課程」の実現を掲げ、「アクティブ・ラーニング」(AL)の視点から学習過程の改善方策が示された。

     現場での対応は「脱ゆとり教育」、学校で教える内容、総量はこれまで通りで、という。明治政府は先進国に「追いつけ、追い越せ」と「詰め込み教育」を行う傍ら、人間のあり方「教育勅語」も教育の根幹に据えていた。

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    「健康家族」を取り戻すための3つの条件

     心療内科医の星野仁彦氏(福島学院大学教授)が、著書『子どものうつと発達障害』(青春出版社)の中で、「健康家族の三つの条件」という興味深い見解を紹介している。

     星野氏は、多くの子供たちを診療してきた経験から、子供たちの心の病の背景には家族が機能していない「機能不全家族」があるという。そうした機能不全に陥った家族が家族機能を取り戻して「健康家族」になるためには次の三つの条件が大切だというわけである。

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    相続で家族を壊さない為に

     今年から相続税の基礎控除額が縮小され、相続税を負担する層が広がった。他人ごとではない。遺産分割で家を手放さざるを得なくなったり、相続で兄弟間の関係に亀裂が入り、絶縁状態に発展する、という話はあちこちで聞く。

     先日、ある研究会で日本の相続税法の成り立ちについて聞く機会があった。「戦後のシャウプ勧告で作り直された相続税法は個人を基本に作り上げられ、家族主義の日本の伝統文化とは相いれないところがあり、今日相続を巡って家族がバラバラになる、残念な事態を招いている」と示唆深い内容だった。相続税制の在り方が家族形成に想像以上の影響を及ぼしていることに、非常に驚かされた。

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    都知事選と政治の現実

     先の都知事選は政治の現状を知る上で、実に示唆するところの多い選挙だった。

     「知事と議会は両輪です。一輪車にならないように」。新知事を迎えた都議会議長は開口一番こうクギを指し、その直後に両者の記念撮影を求める報道陣に対し「あなたの要望に応える必要はないから」と述べ撮影を拒否した。自分から「知事とは両輪にならないよ」と態度で示したのだから、先の言葉は威嚇以外の何物でもない。同じ日、60人を抱える都議会自民党もナンバー3の総務会長ら2人だけで新知事を迎えた。しかも総務会長は「たまたまここにいた」とのたまう。

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    お盆の心象風景

     自宅から駅に向かう途中に地域のコミュニティーセンターがある。朝6時半、その広場で、子供たちがラジオ体操を始めていた。昔も今も変わらぬ夏休みの光景に、心が和み、自分の子供時代に思いを馳(は)せた。

     夏休みと言えば、多くの人は、開放感を思い浮かべるはず。登校せず、自由に遊べるのだから当然である。しかし、私の場合、ちょっと違っていた。もちろん開放感はあったが、それは表面的なもので、心の奥底には、はかなさや切なさにも似たセンチな情感がいつも潜んでいたのを思い出すのである。

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