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    2014世界はどう動く
    識者に聞く(20)

     ――中国の脅威をどう分析するのか。

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    ながしま あきひさ 1962年、横浜生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。93年から米ヴァンタービルト大学客員研究員、ジェームズ・アワー氏の指導を受ける。著書に『日米同盟の新しい設計図』『「活米」という流儀』など多数。

     中国の脅威というのは、ソ連型ではない。つまり、イデオロギーを背景にして、領土や勢力圏を拡張していくといった露骨な姿勢はないけれど、一皮二皮むいていくと、中には中華思想というコアが存在する。そういう意味からすると、目覚ましい中国台頭の背景には、中国を中心とした秩序をつくりたいという願望があると考えるべきだろう。習近平氏のいう「中国の夢」もそういうものだ。

     ただ中国は闇雲に領土拡張を図ることはしない。特に戦略レベルでは、鄧小平の戒めである韜光養晦(とうこうようかい)に従い、超大国が撤退するたびに生じる「力の空白」を埋める形で慎重に進められる一方、戦術レベルでは好機を逃さず、果敢に島々への軍事侵攻や実効支配を強めてきた。逆にいうと、そういうものが顕在化するまではじっと忍耐する。そういった緩急は指導部のお手の物だ。

     1973年にベトナム戦争が実質的に終結し米軍が撤収すると、翌年すかさず、南ベトナムへ侵攻すると同時に南シナ海に進出、西沙諸島を占領してしまった。

     フィリピンでは91年から92年にかけ、スービック海軍基地やクラーク空軍基地から米軍が全面撤収するやいなや、同年、中国は「領海法」を公布し、47年に蒋介石率いる中華民国が宣言した「9断線」に基づき、尖閣諸島や台湾はじめ、南シナ海の大半を併呑するような領有宣言を行った。

     「9断線」とは当時、大陸を支配していた中華民国政府が歴史的に中国の支配が及んでいたとされる「領域」を九つの破線で表したものだ。

     ――中国の台頭に対し、わが国はどう対処すべきか。

     2008年以降、中国は尖閣に狙いを定めて、東シナ海に出てきている。したがって、こちら側がきちっと警戒感を持って毅然(きぜん)と対応することが肝要となる。つまり日本自身の国防の意思と抑止力を構成する日米同盟が重要になるのだ。

     とりわけ日米同盟は、アジア太平洋地域の安定のための公共財だから、それが有効に機能しているところを見せる必要がある。まさにそれが抑止力だ。

     彼らはソ連のように無謀な冒険はしてこない。だから冒険を起こしたくなるような誘因をわれわれの側から作り出さないことだ。

     ――中国はベトナムと比に対する外交姿勢が違う。

     南シナ海では、フィリピンに狙いを定めている。それは圧倒的に力の差があるからだ。一方、ベトナムに対しては、何度も戦争しているし、手ごわいと熟知している。だから、大概のところで止めて話し合いに入る。

     中国をして国際社会と良好な関係を保たせるためには、米国がもっと力を示す必要がある。局地的に東アジアで日中の軋轢(あつれき)を避けるためには、日本も力をある程度示して、これ以上やると手痛い失点を喫してしまうので、しばらく時間を稼がないといけないと中国側に思わせる抑止の備えが必要だ。そうしてこそ、初めて安定した関係が構築できる。そこから先は、経済的なウィン・ウィンの関係を模索することもできる。

     それこそが戦略的互恵関係であって、ただ仲良くすることが戦略的互恵関係では断じてない。

    (聞き手=池永達夫)

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