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    石平
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    高橋 克明
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    今よみがえる黒鋼の魂 VR戦艦大和 竣工記念式典レポート

     2016年10月29日(土) ~ 11月13日(日)、横須賀市にある記念艦「三笠」にて「VR戦艦大和 竣工記念式典」が開催されている。これは株式会社神田技研(東京都千代田区)がVR(バーチャル・リアリティー)向けプロジェクトとして製作したもので、過去2回のクラウドファンディングを行い完成させたモデルを実際に試してもらうという企画だ。

     この日は曇りがちではあったが、時折日が差すなか、記念艦「三笠」が出迎えてくれた。三笠は日露戦争で連合艦隊旗艦を務めており、東郷平八郎が司令長官として座乗し、バルチック艦隊との戦闘で大きな戦果をあげている。

     三笠はほとんどの区画を見学する事ができ、中には浴室や洗面所など、なかなかお目に掛かる機会のない物も再現されていた。今回「VR戦艦大和 竣工記念式典」が開催された区画は内覧できる区域のうち最も深い所に存在する。そこでは株式会社神田技研の代表・西野氏はじめ数人が内覧の案内やVR用ゴーグルのセッティングを行っていた。

     筆者もゴーグルを装着し、一体型のイヤホンを耳にかけてもらって視聴開始。今回のイベントではお年寄りに対しても体感してもらいやすいようにコントローラーで制御する形ではなく、自動でシーンが切り替わる設定となっている。もちろん360度を見渡すことができ、足元から上空まで、まるでその場にいるような雰囲気を味わうことが出来た。

     体験イベントでは乗り組み口付近、司令塔操舵室、艦橋、そして甲板主砲前の4カ所で説明を受ける流れとなっている。実際に艦を動かしている際の号令がかかる中で、常に自分の側に説明員が控えており、今何をやっているところなのかを分かりやすく伝えてくれるのはユーザーフレンドリーである。

     イベントの中ではやはり甲板主砲前のシーンが最も人気なのではないかと思われる。その前の2つのシーンは室内の説明であったが、うって変わって日の当たる屋外に移動したと思いきや「砲撃訓練開始」との声。目の前の46センチ砲に目を向けると、わずかにきしむ音がする。そして、ゆっくりとうなりながら徐々に砲塔が旋回し持ち上がっていく。見上げてようやく砲身の先端が見えるという状態にまで持ち上がった時、艦長の「撃ち方はじめ」の号令が飛ぶ。次の瞬間、鼓膜をつんざくような轟音とともに砲撃が行われた。

     視聴終了後、神田技研の西野氏に直接、話を聞くことが出来た。大和を建造する事にあたり、「やはり一度自分が乗ってみたい船であり、またVRで製品を作るにあたって大きな物を作ってみたかった。戦艦大和が登場する映像作品やゲーム作品は多いが、その外側だけで完結してしまっている作品が多く、同業他社の作品と差別化するために内側まで徹底的にこだわり抜いて作り上げた」という。また「『VR戦艦大和』は社会科見学のようなものであり、分からない事や知らない事を実際に触れて知ってもらいたい。今後も色々な作品を作っていくアイディアはある」とのことで、実際にいくつか面白そうなアイディアも紹介してくれた。

     「VR戦艦大和 竣工記念式典」については来客の4分の1が高齢者であり、非常に評判が良いという。戦艦大和の元搭乗員の方が当プログラムの正式版をプレイし、雄弁に感想を語った動画などもイベントページに掲載されている。西野氏からは「VR戦艦大和」以外に現在「VR戦艦武蔵」の建造にも着手しているとの事で、今後は体験できる対空戦闘プログラムや未だ再現されていない大和や武蔵の区画を作る予定だ。

    = 【⚓】 =

     大戦果をあげた戦艦三笠の中で仮想の戦艦大和を体験できるという不思議な魔法の様な光景。戦艦大和も戦艦三笠も日本を支えた船である事に変わりはない。VRという夢を形にできる技術によって、戦艦大和の実像を知る事が出来る。この機会に、新しいものに今一度目を向けてみてはいかがだろうか。

     透き通る海の音と、目の前に立ち塞がる鋼鉄の塊。気が付いて目を開けてみれば、ラッパの音が聞こえる。現実に戻ってまだ足元のおぼつかないなか、前を見ると艦長らしき人物が出迎えてくれた。照りつける日差しの中で筆者は今、戦艦大和に乗っているのだ。大和の上に、立っているのだ。

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