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  • 南シナ海 強まる中国支配 安保専門家に聞く
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  • 2015/1/07
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  • 台湾に吹いた蔡英文旋風
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  • 二極化する香港 識者インタビュー
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  • 「雨傘革命」下の香港 揺れる一国二制度の行方
  • 揺れる香港 各派リーダーに聞く
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  • ドゥテルテ大統領就任から3カ月 どこへ向かう比政権
  • 香港「自治」の行方 識者に聞く
  • 中華圏に浸透する同性婚
  • 中台関係の行方
  • 日米同盟と台湾 海洋安全保障の展望
  • 蔡英文時代の台湾 本土派路線のビジョンと課題
  • ASEANの夜明け アジアハイウエー7000キロルポ
  • 緊張 南シナ海
  • 中央アジア胎動 中国「新シルクロード」と日本の戦略
  • “政熱経熱”の中韓
  • 新QDRと米中軍事バランス
  • 新グレートゲーム・幻想だった中国の平和的台頭
  • 新グレートゲーム・中国南進の海
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  • 衆院選 自公圧勝 ~課題と展望~
  • ’14衆院選 注目区を行く
  • 第2次安倍改造内閣スタート
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  • 「援護法」に隠された沖縄戦の真実
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    安東 幹
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    細川 珠生
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    河添 恵子
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    宮本 惇夫
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    石平
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    宇佐美 典也
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    長谷川 良 ...
    コンフィデンシャル

    涸沢カールに抱かれてテント泊

     9月に入って2度目の週末、上高地はくっきりと青く晴れ渡っていた。バスターミナルから数分の河童橋に立てば、穂高の主な峰々が朝日を浴びて険しい稜線を浮かび上がらせているのが見える。よし、絶好の日和だ。テント泊用の装備の重みを感じながらも涸沢(からさわ)への期待がふくらみ、足どりは軽かった。前半は梓川沿い、樹林のほぼ平坦な道をひたすら歩く。

     涸沢までの中間点に当たる横尾までは順調。ここを直進すると槍ヶ岳、左折して横尾谷を登っていった先が涸沢カールだ。

     樹林の合間、左手の対岸を覆うように屏風岩が黒々とそびえ立つ所まできた。

     やがて沢音が近づき、本谷橋を渡って一息。そこから道は岩のごろごろした急傾斜へと一変する。快調なペースで歩いてきた同行者は、さすがに息遣いが荒くなってきた。彼はひと月2キロ減量という目標をここ4~5カ月で果たしたのが功を奏したのか、ずっと先頭に立って好ペースで歩いてきた。

     急登を過ぎてから、やや緩い登りが続く。カールの入り口とも言えるテント場の一部が見える所で休憩。そこで下山してきた人に、「あと一踏ん張りですか?」と聞いた。「ふた踏ん張りくらいだね」との答え。実際登ってみると、残り20分余りの石段は、鉛のような足を引き上げて一歩一歩登った。涸沢ヒュッテのテラスに着き、平らな場所に立ったとき、修行者のように白く無心だった。ああ、これで登らなくていいんだ。

     涸沢ヒュッテの北西、ややへこんだカールの底の部分がテント場で、テント泊の受付と場所取り、設営準備などを行い、午後3時半ごろヒュッテのテラスで祝杯を挙げた。さっきまで重荷に音をあげていたのは嘘のようだ。

     テント場に移って、持ち寄った食材を煮て鍋パーティー。夕方から薄い雲が出て山の上部を隠した。しかし、夜中にはすっかり晴れて星空が広がった。

     翌朝、周囲の岩峰が朝日を浴びて輝き始めた。まだ暗いカールの底とのコントラスト、刻々と色を変えていく岩と草紅葉のオレンジに、息を飲んで見入った。奥穂高岳(3190m)をはじめ4つの3000m峰に囲まれたすり鉢の底のような涸沢カール。そこは電波もネット情報も届かない隔絶された場所である。足を踏み入れた者は同じ苦楽を共有した「住人」となる。

     偶然隣りにテントを張った人と食べ物を分け合ったり、山の体験談で盛り上がることも自然と起こる。何故か。穂高の懐に抱かれて下界の物事を忘れ、自由になれるのかも知れない。

     下り始めは険しい岩の道で注意を要する。そこを1時間ほど堪えて降りると、残り4時間は緩い平坦な道を辿るだけだ。横尾を過ぎて次の山小屋がある徳沢で始めてSNSが繋がり、着信音がそこかしこで鳴りはじめる。徳沢小屋のソフトクリームが人気で、売り場に列をなしていた。あと2時間歩けば日常に戻る。雲上の楽園とは当分お別れだ。

    (写真・武藤良二雄 文・舘盛和宏)

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