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  • 壮麗な音楽響く「礼賓府」/香港

    日本統治時代の片鱗も/風水論争も改築で決着

     香港トップである行政長官の公邸「礼賓府」は香港を代表する歴史的な“おもてなし”の場所だ。

     香港島中心部の中環(セントラル)にある礼賓府は1855年に建設されて以来、日本統治時代は日本の総督府としても使用され、法定古跡に指定されている。

     春秋の年2回、一般公開され、11月24日の開放日も1万人以上が来場し、場内の花々に彩られた庭園や来賓接待処などを熱心に見学していた。

     コロニアル風の建造物は英植民地時代、1891年に改築され、日本統治時代の1944年には磯谷廉介総督が若干26歳の建築士、藤村清氏に命じて設計した日本瓦による増改築を終え、三階には日本茶室も完備し、いまもその風格と片鱗が残る。

     音響も充実しているボールルームでは、貴賓歓迎式典、各種祭典や表彰式が行われ、香港警察音楽隊のバグパイプを使った名演奏が香港流おもてなしの心を引き立てる。

     家族4人で見学に訪れた張鼎和さんは「礼賓府は改築を重ねて迎賓館としての役割を果たしている。でも、各行政長官の支持率低迷を見ても、風水上の問題点があるのかもしれない」と話す。

     1997年の中国返還以来、途中退任した初代の董建華氏、二代目の曾蔭権氏、そして現在の梁振英行政長官が公邸として使用し、支持率が低下するたびに巨大ビル群の新建設で気の流れが大きく変わったとされる礼賓府の風水論争が巻き起こるのも、いかにも、各リーダーにお抱え風水師がいる香港らしい。

     香港の風水師らの指摘では、従来、ビクトリアピークから礼賓府に注がれていた風水上の龍脈が1989年、礼賓府の下方に建設された香港中国銀行ビルの尖端が礼賓府の庭園に凶気を集中させ、英総督府に悪影響を与えた。だが、香港返還後、逆に行政長官に凶気が注がれるため、曾蔭権行政長官は敷地内に鯉の泳ぐ池を造り、中銀ビルの凶気を消し去る工夫をしたとされる。

     礼賓府の風水ジンクスを気にしていた梁振英行政長官は昨年7月に就任する前、公邸である礼賓府には入居せず、ピーク(山頂)付近にある私邸を公邸として使うことを強く打診したが、香港警察当局がセキュリティ上の問題点があるとしてやむなく入った経緯がある。

     実際、梁長官の支持率は就任当初から低迷。昨年7月に就任した親中派の梁行政長官は、民主派系の無料テレビ放送不許可問題で11月初旬の支持率(香港大学世論調査)は22%と最低ラインを行き来している。

     礼賓府が一般公開されたこの日、梁行政長官は沙田(シャーティン)の公立学校で行われた施政諮問会に出席し、「香港の公務員は愛国愛港(香港を愛する)が任務。一部の香港人は国家意識が薄弱だ」と述べ、「愛国愛港の線引きを法令で明解に説明せよ」と激しい抗議デモを展開する民主派の動きに頭を悩ませている。

     公開日だった礼賓府でも、急進民主派の女性活動家、雷玉蓮氏が梁振英行政長官の辞任を求める抗議活動を行ったが、警官や職員らが冷静に対処し、5分程度で終わった。

     礼賓府には政府総本部ビルに近い場所まで約310メートルにわたってつながる極秘の地下通路があり、2009年に香港テレビの番組で資料と共に紹介。英総督府が極秘完成させた“置き土産”として注目されている。

    (香港・深川耕治)

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