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  • 集団的自衛権と日本の安全保障 座談会(下)

    同盟強化へ「自助」力高めよ

    日米韓でアジアの安全を守れ 中 谷
    行使は政府の判断力に委ねよ 吉 原
    抑止・撃退できる体制整備を 黒 木

    500 黒木 本来集団的自衛権とは自然権ですね。これをやるかやらないかは時の政府が政策判断として決断してやればいいわけなんです。これが今、公明党との与党内の協議で限定的容認となり、足かせをはめられたという見方も出ています。その意味で今後、法制化に当たってむしろ身動きが取れないような厳しいものになっていくのではないかという懸念も一部にはありますね。

     中谷 憲法の枠内でということですが、今回、かなりグレーゾーンにおける運用面の幅を広げて、早い段階で自衛隊が活動できるようにという合意もされました。PKOなどにおいても制約を掛けずに、戦闘が起こっている現場ではそれは活動しないけれども、できる限りの支援ができるようにと概念を変えました。

     今、邦人救出でも、危ない所にいる人は救出できないんです。自衛隊が行ってはダメだということになっていましたが、それも状況を見て、相手が国とか国に準ずるようなものでなければ、ある程度、危険の中でも邦人を助けに行けるということで合意しました。このことが実行できるように法律の改正につなげていきたいと思っています。

    600

    吉原恒雄・元拓殖大学教授

     吉原 私が法制化で懸念するのは、おかしな規定を設けて、実質的に集団的自衛権が完全に行使できないようになってしまうことです。その典型的な例が、在外邦人が危機的な状況に陥った場合、自衛隊機を使ってよろしいという規定が自衛隊法に盛り込まれました。ところが、その解釈で「現地の安全が確認された場合に限る」と付け加えました。現地の安全が確認されれば民航機が飛びますし、チャーター便も飛んでくれます。民航機も飛ばない、チャーター便もいくらお金を積んでも飛んでくれない時にこそ、自衛隊機が助けに行く必要があるのです。ちなみに、国際法上許容されている軍事行動でも、国内法で禁止すれば行使できないようになります。

     それと共に考えるべきは、集団的自衛権をどう行使するかを、法律で決めるべきことなのかどうかという点です。国際社会は複雑に動きます。ケースAはこう、ケースBはこうなどといくら詳細に法で規定しても、日本を攻撃しようとする国が想定ケース通りに行動する保証がないだけでなく、その間隙をぬってやろうとするからです。諸外国同様、政府の判断力に委ねるべきではないかと思います。もちろん、国家、国民に不利益をもたらした場合、政府当局者は責任をとることになります。

     黒木 むしろ法制化による“縛り”で自衛隊の運用に支障をきたす恐れもあるということですね。

     吉原 よく安全保障法を作れという議論があります。これは左翼学者が非武装中立、非核3原則、武器輸出3原則等々を盛り込むために作るよう提言したのが始まりです。修正共産主義である構造改革論と同じ「構造改革論」という表現を用いたため、いつの間にか修正共産主義の狙いである日本の国家体制の基盤を揺るがすような政策が自民党政権下で一部採用されました。

     非核3原則は沖縄返還時に、佐藤内閣が核4政策の一部として打ち出したものです。①核抑止力は米国に依存する②非核3原則を守る③核の平和利用は徹底的に行う④国際核軍縮を推進する―の4つです。ところが今、防衛白書を見ても非核3原則しか載ってない。

    600-1

    中谷元・元防衛庁長官

     中谷 米国に依存するということが載っていないわけですね。

     吉原 その通りです。①②の調和をどのように図るのかという問題があります。ところが、実際には米国の核は持ち込ませないと言っておきながら、非核3原則だけを主張する。原子力船「むつ」は寄港先がなくなって廃船に至ってしまう。現在の原発廃止論は、この延長線上にあります。また国際核軍縮会議に参加したら、核を持ってから顔を出せと相手にされません。武器輸出3原則も、当初は“輸出のための原則”でしたが、いつの間にか“禁輸3原則”になってしまっています。ですから下手な施行法を作れば、実質的に集団的自衛権の行使を縛ってしまうことになります。

     黒木 兎(と)にも角にも安倍政権は集団的自衛権行使に向けて一歩踏み出しました。これに対して中国、韓国が相当の関心を示しています。中国も韓国も一致して懸念ないし反発しています。中国と韓国しか反発していないようですが、そうはいっても隣国です。中国、韓国の反応にどう対処したらいいでしょうか。

     中谷 どの国も集団的自衛権を持って行使できるわけですから、ようやく中国のレベルに日本は追いついたという考えは基本にあります。冷戦は終わったものの朝鮮半島の38度線は残されていて、いつ偶発的な紛争が発生するか分からない。その時のために、米軍が行動した際に日本がどうサポートするか。要するに韓国のために集団的自衛権をやるということを分かってもらうようにしなければなりません。日米韓の体制が維持されることがアジアの安全を守っているということを是非、理解してもらいたいと思っています。

     吉原 中国にも韓国に対しても、間違いは間違いと明白に言うとともに正すべきです。これは国際社会では当たり前であり、決して失礼にならない。国際社会では「沈黙は金」ではなく、沈黙は是認になります。相手国の言い分を黙って聞いていると、それを基準として次々に要求を高めてくるということになります。

    600-2

    黒木正博・世界日報論説主幹

     黒木 今回の閣議決定に米国はもちろん支持を表明しました。この背景には中国が東シナ海上空に一方的に設けた防空識別圏や、尖閣諸島周辺での領海侵入、南シナ海での比越両国に対する挑発的な海洋進出があります。北朝鮮のミサイル増強も顕著です。これにどう対応するか。孫子の「用兵の法」でも、武力挑発するような周辺諸国はないとの願望に依存するのではなく、いついかなる武力侵攻に対しても抑止・撃退できる防衛体制を構築、整備しておく必要性を説いています。そこで、その柱となる日米同盟を今後どう深化させていくかという点はいかがでしょうか。

     中谷 いざという時の真の友人でなければならない。現実は制服同士の、つまり自衛隊と米軍の、共同訓練、連携、情報の疎通など相当進化して信頼関係ができています。後は、いざという時に相手を見捨てないというですね、それは法律をしっかり整備して現場に負担を掛けないようにするということもあり、政治がそういった信頼関係を損なわないような仕組みを作っていかなければなりません。さらに、日米の信頼関係をもとに世界に貢献していく上において、安保条約が今のままでいいのかどうかも含めて、今年後半はガイドラインの見直しをするために日米間でしっかりと協議をしていきたい。その意味で、韓国の理解なくして日米協力が進みませんので、日韓関係がよくなってくれることを望みます。

     吉原 今回の集団的自衛権の行使を容認するということでプラス面が大きかったと思います。日米同盟強化というと、防衛面で「米国におんぶに抱っこ」の従来策をさらに強めることばかりを考える人が多いようです。現在では、戦争が起こって助けてもらうよりも、起こる前にそれを抑止することが重要です。その際、同盟国に対して有事に援助する約束を通して攻撃を抑止することは、拡大抑止(エクステンディッド・デタレンス)と呼ばれています。本来の抑止というのはセントラル・デタレンスで、自国の軍事力で自分への攻撃を抑止することです。

     日本の防衛政策は「国防の基本方針」にあるように、「米軍を主、自衛隊は従」で防衛するというのが建前です。今年末に改定するガイドラインの場合も、その方針を前提としています。自衛隊はご存じの通り、攻撃力に欠けています。欠けているどころか、それを整備しようとしてこなかったのです。

     一方、米国が締結する全同盟条約にはヴァンデンバーグ条項があります。要するに、自ら助けるものを米国は助けるのだということです。米国の建国の父たちは、他の国と同盟を結んではならないという固い信念を持っていました。初代のワシントン大統領も退任演説で、永久の同盟を結んではならないと厳命しています。この状況下で、第二次大戦後にNATO同盟を結ぶ際、この条項を入れました。日本はこの条項に基づく防衛力強化要求を無視してきました。冷戦下という特殊な双極体制下では、これでも米国の対日拡大抑止力は働きました。だが、冷戦が終わり、米国の力が相対的に弱まるなど国際環境が大きく変化したということを念頭に置くと、日本の防衛力を強くすることが必要です。

     黒木 集団的自衛権の今回のいろんな議論の中で奇異に思えたことが一つあります。あれだけ憲法改正に反対した人たちが集団的自衛権に対しては、憲法改正が筋ではないのかというふうな論法を持ち出してきました。さらに、あれだけ自衛隊に対して批判的な人たちが今度は自衛隊員が集団的自衛権行使による派兵で血を流すのはかわいそうだといった情緒的な反論も出てきました。

     中谷 まやかしの情報戦に乗ってはいけないと思います。よく自衛隊の家族が心配しているとか、自衛官が行きたくないのに行かされるとか言われますが、これはとんでもない話です。これまでいろんな国にPKOとか支援をしましたけど、派遣される隊員の質も能力も世界随一ですし、行くに際しては、本人の希望をとるんですよ。そうすると、行きたい人の人選に困るくらいたくさんの人がいてその中から選抜されて行きますので、決して嫌々行っているとか死にたくないとか、そういう意思はありません。また、身を預かる幹部指揮官も隊員の安全と内容には十分配慮しながら血の滲(にじ)むような努力を重ねてやっていますので、能力の低い自衛隊ではないし、実際、派遣されるとなるとそれなりの準備もしていきます。そんな心配には及びませんので、相手の宣伝に負けないようにしっかりと主張していきたいなと思っています。

     吉原 だいたい謀略宣伝、プロパガンダというのは自己矛盾的言動を平気でやるというのが特徴です。自衛隊内では国際貢献活動への参加によって訓練に支障があるとの反対論がありました。だが、低レベルといえども実戦に近い訓練になります。国際社会で自衛隊が活動することは、日本防衛作戦の重要な機能の訓練になります。

     中谷 そうですよね。それに加えて、海外に常にアクセスして世界の変化をしっかり把握しておかないと遅れてしまう。リスクのある活動の中で本当の同盟関係や信頼関係ができていますし、そういう関係でないと情報も入ってきませんし、世界的な評価もされないわけです。そういう意味においては海外において自衛隊の活動も必要だし、安全保障の体制をしっかりしておくことが必要だと思います。

     黒木 今日はありがとうございました。

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