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  • 2015/12/24
  • 受動喫煙、対策強化は待ったなしだ

     2020年の東京五輪・パラリンピック開催に向け、政府は受動喫煙防止対策を盛り込んだ健康増進法改正案を3月上旬に国会に提出する方針だ。

     受動喫煙による死者は年1万5000人を超えるとされる。対策強化は待ったなしだ。

     日本は「最低レベル」

     たばこの煙は主流煙(肺の中に入る煙)と副流煙(たばこの先から出ている煙)がある。副流煙は主流煙よりもはるかに多くの有害物質が含まれており、発がん物質のニトロソアミンは主流煙の50倍に上る。

     喫煙の健康への影響について厚生労働省が昨年8月に取りまとめた「たばこ白書」は、受動喫煙で肺がんの死亡リスクが約3割上昇するとの研究結果を示したほか、心臓病や脳卒中なども含めた受動喫煙による死者は年1万5000人を超えるとの推計値を提示した。極めて深刻な状況だ。

     法案は昨年10月に厚労省が示した対策案に沿った内容。学校や病院は最も厳しい「敷地内禁煙」、福祉施設や官公庁は「屋内禁煙」、飲食店などは喫煙室の設置も可能な「原則屋内禁煙」とし、違反した施設の管理者や利用者が勧告や命令に従わなければ過料を科すとしている。

     対策をめぐっては、飲食業界を中心に「分煙を中心に自主的な取り組みを推進すべきだ」といった反対意見が出ている。自民党内からも「喫煙室の設置は小規模店には非現実的」との意見が相次いでいる。

     だが「たばこ規制枠組み条約」の指針は、屋内禁煙が唯一の解決法とし、罰則付きの法規制を求めている。海外では多くの国で飲食店を含む公共の場を屋内禁煙としている。喫煙室は出入りの際に煙が漏れるため、従業員や利用客がリスクにさらされるためだ。

     国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)は「たばこのない五輪」を求めている。04年以降の開催都市はすべて罰則を伴う対策を導入した。WHOは日本の対策を「最低レベル」と判定している。

     その意味では、喫煙室設置を可能とする今回の法案も不十分だと言える。厚労省は法案の具体的な内容を検討した上で、3月上旬の国会提出を目指すが、骨抜きにすべきではない。

     安倍晋三首相は今国会の施政方針演説で、東京五輪に向けて「受動喫煙対策の徹底」を進めるとした。これ以上、受動喫煙による健康被害をもたらしてはならない。法案を着実に成立させるとともに、喫煙室も認めない完全禁煙など一層の規制強化にも踏み切る必要がある。

     受動喫煙対策だけでなく、喫煙率の低下に向けた取り組みを進めることも欠かせない。日本たばこ産業の昨年5月の調査によれば、男性の喫煙率は前年比1・3ポイント減の29・7%、女性は同0・1ポイント増の9・7%、男女全体では同0・6ポイント減の19・3%となっている。男性が初めて3割を切るなど喫煙率は年々低下している。

     喫煙者を極力減らしたい

     日本禁煙学会の作田学理事長は「東京五輪が、たばこの煙のないスモークフリーな環境で行われるよう働き掛けていく」と述べている。五輪までに喫煙者を極力減らしたい。

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