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  • アサド政権退陣の道筋付けよ

     シリア内戦の収拾を目指し、米国、ロシア、サウジアラビアなど欧米や中東計17カ国の外相らによる会合がウィーンで開かれた。

     イランが初参加し、全ての主要関係国代表が初めてそろって交渉に臨んだが、シリアのアサド政権の退陣を求める欧米などと、支援するロシア、イランとの溝は埋まらなかった。

     ロシアやイランは支持

     ロシアはアサド政権支援のため、9月末から過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討を名目にシリアで空爆を開始した。米国はロシアによる軍事介入について、ISではなく穏健な反体制派が主な攻撃対象となっていることを問題視している。

     親露のアサド政権が退陣すればロシアは中東の拠点を失う。軍事介入には、IS打倒後のシリア内戦の危機打開をめぐって影響力を行使し、ウクライナ危機による孤立から脱却する狙いもあるようだ。

     アサド大統領は先月、モスクワでプーチン大統領と会談して「ロシアの軍事作戦がなければ、テロリズムはシリアのさらに大きな範囲に広がるだろう」と謝意を示した。

     またイランは、米国が「(アサド氏を排除した)移行政府の樹立受け入れ」を条件に設定したことを不服とし、昨年1月のシリア和平国際会議を欠席。だが、今年7月の核交渉で欧米など6カ国と合意するなど、米国との緊張関係が緩和される中、今回の会合への参加が実現した。ただ、イスラム教シーア派国家のイランが、シーア派に近いアラウィ派のアサド政権を支持することに変わりはない。

     しかし2011年から続くシリア内戦で、アサド政権は多くの自国民を虐殺した。正当性がないことは明らかであり、アサド政権を存続させることは、国際社会の理解を得られまい。17カ国は2週間以内に再協議する予定だが、内戦終結のためにもアサド政権退陣の道筋を付けなければならない。

     一方、米政府はIS掃討のため、シリア北部に50人未満の米特殊部隊を初めて常駐させると発表した。トルコの空軍基地の航空戦力も増強する。シリアの穏健な反体制派やイラク政府軍に地上戦を任せる基本線は変わらないとしているが、軍事的関与がさらに拡大するとの見方もある。

     オバマ米大統領は13年、化学兵器を使用したアサド政権への軍事行動を決断したものの、内外の支持が得られず、シリアの化学兵器管理・廃棄をめぐるロシアの提案に乗る形で実施を断念した経緯がある。こうした消極姿勢がISの攻勢やロシアの介入を招く一因となったと言えよう。

     シリア内戦ではすでに24万人以上が死亡している。また、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、中東やアフリカから地中海を渡って欧州に入った難民らの数が今年これまでに70万人を超えた。この半数以上がシリア出身者だ。

     米国は一層強い関与を

     自国の影響力拡大が狙いであるロシアの介入は、シリア情勢をさらに悪化させかねない。米国がもっと強く関与しなければ、泥沼化するばかりだ。

    (11月1日付社説)

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