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  • 調査捕鯨敗訴、商業捕鯨再開へ長期戦略を

     南極海での日本の調査捕鯨の合法性が争われた裁判で、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)は、現在の形での調査捕鯨活動の中止を言い渡した。オーストラリアが「日本の捕鯨は科学を装った商業捕鯨だ」と訴えた裁判は、反捕鯨国の論理で押し切られた。

     この判決は、当然反捕鯨派を勢いづかせるだろう。国際捕鯨委員会(IWC)で今後、今回の裁判では対象外だった北西太平洋での調査捕鯨の中止を求める声が高まる可能性もある。

    政府「残念だが従う」

     政府は判決に対し「残念だが従う」ことを表明。年内の南極海での調査捕鯨の再開を見送ることを決めた。ICJの判決内容を踏まえて捕獲枠の大幅圧縮など計画を練り直し、2015年末の実施を目指すという。商業捕鯨の再開へ向け、長期的な戦略の立て直しが必要だ。

     訴訟では、日本が05年以降、鯨の捕獲枠を倍増したにもかかわらず、実際の捕獲数は大きく下回ったことが争点となった。判決では「捕獲枠は厳格に科学的な理由には基づいていない」とされた。

     日本が捕獲枠に達しなかったのは、反捕鯨団体「シー・シェパード」の執拗な妨害によるものだった。しかし、この反論も証拠が不十分だとして受け入れられなかった。

     固有文化への尊敬を欠く独善的で無法な活動家に甘い反捕鯨国の身勝手な論理は、到底承服することができない。しかし判決は、国際政治の現実として受け止めなければならない。

     政府の一部には「IWCを脱退して、独自に商業捕鯨を再開すべきだ」との声もあるが、これは得策ではない。欧米を中心に国際社会から猛反発を受ける公算が大きい。

     捕鯨については国際的な関心も高く、動物保護や水産資源問題に終わらない広がりを持っている。まして日本の評価を貶(おとし)めることに腐心する国々もあることを考えれば、悪宣伝工作の材料にされかねない。

     ここは冷静に、調査捕鯨を南極海で再開し、北西太平洋で継続するための対策に集中すべきである。

     そもそも鯨だけを特別な動物とするのはナンセンスだ。鯨の資源価値は大きい。特にその肉は、高タンパク、低脂肪、低カロリーで、しかも血栓を予防するドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの成分が多く含まれている。

     かつて、日本人だけが食べる特殊な料理と見なされていた魚の生肉である刺身やすしが、今やおいしくヘルシーな料理として欧米では大人気だ。将来、人口の増加や温暖化で世界的に食料需給が逼迫(ひっぱく)した時、クジラは重要なタンパク源として再び注目されるだろう。

     鯨食への理解深めたい

     そのためにも、反捕鯨国の無理解や身勝手な論理と戦いながら、調査捕鯨を続けて資源量を科学的に把握しておく必要がある。また捕鯨のノウハウとともに伝統ある食文化として鯨食を守っていかなければならない。反捕鯨の声だけが聞こえがちな中で、まずは日本人自身が捕鯨や鯨食への理解を深めたい。

    (4月5日付社説)

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