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  • 2015/12/24
  • 国論二分する集団的自衛権 新しい憲法をつくる国民会議会長 清原 淳平

    独立国らしく可能な解釈を

    安全保障は最大の国民福祉

    植民地的な憲法9条は問題/通用しない一国平和主義

     

    国論二分する集団的自衛権

     安倍総理の「憲法解釈を変更して、集団的自衛権の限定的行使を認める閣議決定」(平成26年7月1日)の前後から、今日にいたるまで、その賛否で、国論が二分している。

     反対論の理由の第一は、憲法第9条(戦争放棄)条項、特にこの条文の骨子となっている、①武力行使の放棄、②陸海空軍の不保持、③交戦権の否認、の3つに反するからであるという。また、憲法の前文中と第9条1項の冒頭に記載する「平和主義」の規定を、それぞれ厳格に解することを、その根拠理由としている。

     しかし、こうした考え方は、もはや時代錯誤の認識だと言いたい。なぜならば、現行憲法は、日本の敗戦と連合国軍の占領下、昭和22年5月3日に施行されて以来、この67年間、一度も改正されていない。それに対し、ドイツはほぼこの間、58回も改正しており、各国とも憲法を多数改正して来ている。

     憲法(一般の法も)は制定された時点で静止している。しかし、世の中(時代)は、日進月歩、いや近年では分進秒歩の時代なので、今日の現実との間には、大きなギャップが生じてきている。

     ここで、強調したいのは、第9条の規定が「主権を有する独立国家の憲法の体裁ではない」という点である。

     占領下の日本を統治したアメリカのマッカーサー元帥は、日米開戦の6年前から、植民地フィリピンの軍政官として、派遣され、フィリピンを統治していた。

    敗戦し降伏した日本を統治した連合国軍総司令官マッカーサー元帥は、日本側に憲法改正を要求。日本側もいろいろ案文を提出したが入れるところとならず、結局、総司令部が案文をまとめ、そのほとんどを翻訳したのが、いまの日本国憲法である。

     特に、その第9条の骨子、①武力行使・戦争の放棄、②陸海空軍の不保持、③交戦権の否認、という内容は、ほぼそのまま、植民地下のフィリピン憲法にも、条文がある。(詳細は、平成3年刊『独立国の体裁をなしていない日本国憲法』平成4年刊『憲法改正入門』(ブレーン出版)参照)

     すなわち、現行日本国憲法は、非独立国・植民地憲法の体裁であり、そうした憲法を、護憲派の人は、有り難がって押し戴いているのである。

    ◆「国際貢献」に理解

     次に、前掲の平和主義であるが、日本国憲法の前文の中に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、」との文言があり、また第9条の冒頭に同じような文言「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」と書いてある。

     しかし、米ソ冷戦が始まり、朝鮮戦争も起こり、それから今日までの世界情勢は、日本国憲法が書いているような「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」とか「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」できるような国際情勢ではなかった。

     しかし、日本国民を支配していた「一国平和主義」の認識は、平成2年のフセイン・イラクによるクウェート侵略に対する、アメリカはじめ多国籍軍の「湾岸戦争」勝利終結後から、大きく変わっていく。

     すなわち、自分の国さえ平和であればよいという「一国平和主義」では世界に通用しない。やはり「国際貢献主義」へと認識を改めるべきことを悟り、以降、報道の世論調査でも、「憲法(第9条)改正すべし」「少なくとも見直した方がよい」との意見が、過半数を占めてきている。

     問題はいまや、日本の目の前、東アジアに危険が迫って来ている。こうした事態で、日本はアメリカの核抑止力に頼らざるをえず、日米の軍事協力は不可欠だ。現に、日本海や東シナ海などで、日米艦船や航空機は共同あるいは連携行動をとっている。その際、隣の米艦が攻撃を受けた場合、日本の艦船や航空機が逃げ帰ったりすれば、世界の笑い者となり、アメリカも、そうした日本国を、アメリカ人の血を流してまで助けることはしないであろう。

    ◆責任示す閣議決定

     大体、日本は、ともかく独立回復後の昭和31年12月28日に加盟を認められた国連加盟国である。その国連憲章の第7章は特に柱とされ、そこには「集団安全保障」、すなわち、「平和に対する脅威・破壊・侵略行為が発生した場合、加盟国は一致協力して、平和を回復する」との趣旨の規定がある。

     また、その第51条には「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が、国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」との規定があり、したがって、この規定から、国連に加盟した加盟国は、個別的自衛権はもちろん、集団的自衛権を有するのは自明の理である。日本も、独立主権国家として加盟した以上、「集団的自衛権」はある、と解すべきである。

     なお、この「集団的自衛権」の具体的内容は、一般に「国際法上、①自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、②自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、③実力をもって阻止することが正当化される権利」とされる。

     それは、すなわち、いま日本が、東アジアで、近隣諸国による脅威に直面している中で、日米安保条約のもと、アメリカ軍と日本の自衛隊が共同訓練・共同行動している際に、アメリカ軍が攻撃されたのに、自衛隊が日本国憲法第9条を理由に、逃げ帰ってよいのか、の問題になる。

     この解決は、結局、日本が、「一国平和主義」に立ち、憲法第9条の文言を金科玉条・厳格に解釈する立場をとるのか、または、日本はすでに、昭和26年のサンフランシスコ講和条約締結を経て、翌27年4月28日に、独立主権国家を回復したことを認識した上で、解釈するかの問題になる。

     日本は、27年に主権独立国家の地位を回復したというのなら、本来、占領下に作られた非独立国・植民地憲法の体裁の「日本国憲法」を改正すべきであった。

     しかし、第96条(憲法改正手続規定)の改正要件が厳格なために、また、当時からずっと保革伯仲時代が続き、今日なお衆議院でも3分の2、参議院でも3分の2以上で発議する、という改正要件を充たすことが出来ない現実から、改憲することができないできた。

     法というものは、本来、文言を厳格に解することが要請されるが、非独立国・植民地憲法の象徴たるこの第9条に関しては、可能なかぎり、独立国にふさわしく、解釈せざるを得ない。現に、歴代の、特に改憲政党たる自由民主党政権では、そのように解釈して、自国のことは自国で守るべく、自衛隊を充実してきた。

     そこで、責任ある政権としての安倍総理は、厳格な憲法改正手続を定めた第96条の改正を提言し、いままた、集団的自衛権についてのそれまでの政府見解(集団的自衛権はあっても行使できない)を改めて、わが日本国は、独立主権国として、集団的自衛権は原則的に保有するとし、ただ、第9条の限定もあるので、その集団的自衛権は限定的とならざるを得ないが、とにかく、基本的に集団的自衛権を有するという、閣議決定をされたわけである。

     私どもは、「侵略から国民を守ることは、最大の国民福祉である」とかねてから唱えてきているので、安倍総理の今回の閣議決定を全面的に支持するものである。

    ◆条約遵守謳う98条

     この閣議決定支持について、もう一つの論拠を、提起してみたい。

     それは、憲法については、学問上も、憲法優位説と条約優位説とに分かれる。憲法優位説は、護憲派の人たちが主張しているが、私は、日本は、「条約優位説」に立つべきであると主張する。

     けだし、前掲のように、日本は、昭和31年12月に、国連加盟国となっており、また、独立主権国であれば、集団的自衛権を有することは、当然と言ってよい。

     また、当団体の創立会長は岸信介総理であるが、岸先生が総理の時、日米安全保障条約を改訂したことも、よく知られている。その「日米安全保障条約」の冒頭には、いわゆる前文があって、その中に、はっきりと、「(日米)両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、」との明文があるからだ。

     国連憲章にせよ日米安保条約にせよ、いずれも、日本の国会で承認され、その批准書を提出・交換している。それにもかかわらず、護憲派のようになお憲法優位だというのであれば、我が国は、国際連合憲章や日米安保条約と日本国憲法との間に、相反する矛盾があるわけである。

     ドイツが戦後58回も基本法の条文を改正しているのは、外国との間で条約を締結したり、欧州連合(EU)に加盟し批准すれば、その条約に合わせるべく、自国の基本法の条文を改正しているからである。世界は、そうした「条約優位説」が当たり前なのである。 それに、現行日本国憲法は、決して日本国憲法が条約よりも優位だなどとは言っていない。むしろ反対である。すなわち、日本国憲法の前文の中に、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」と国際協調主義を謳(うた)っている、と採れる文章がある。また、日本国憲法第98条2項に「日本国が締結した条約及び確立した国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」との明文がある。

     我が国は、これらの法文を根拠に、集団的自衛権は「基本的に有する」との立場に、認識を転換すべきである。

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