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  • 2015/12/24
  • 子宮頸がんワクチン接種被害者への同情は口先だけ

    予防という名の人体実験
    「子宮頸がんワクチン被害」を追う(1)

    早くも積極的な接種再開に照準

     がんを予防する「救世主」として登場したものの、重篤な副反応をもたらすことが明らかとなり、厚生労働省が6月半ば、接種の積極的な呼び掛けを中止した子宮頸(けい)がんワクチン。だが、被害者の治療法もワクチンの予防効果も不明のまま、同省はこの12月に接種の積極的な呼び掛けを再開するとの見方が出ている。多くの女子生徒の将来を犠牲にしてまで、なぜ国を挙げてワクチン接種が進められるのか、その構造に迫っていく。
    (山本 彰)

    横浜市立大医師がお膳立て

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    公開成果報告会で開会の挨拶をする平原史樹・横浜市立大学附属病院院長= 11月30日、東京・田町の女性就業支援センター4階ホール

     子宮頸がんワクチンは今年3月末、予防接種法改正により、それまでの任意接種から定期接種という、地方自治体が接種を積極的に勧めなければいけないワクチンに変わった。

     がんは、直接的原因が分からないため、予防する処方箋も無かった。そこに、子宮頸がんという子宮の入り口にできるがんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)という、いぼの原因にもなるウイルスのうち、ハイリスクなものが原因であることが分かってきた。

     このため、HPVが子宮頸部にとどまるのを防ぐワクチンが開発され、わが国でも2009年末から導入された。それまで豪州や英国などで使われてきた。

     ところが、定期接種化と期を同じくして同ワクチンを接種した女子中高生が相次いで、手足の激痛、関節炎、記憶障害、計算障害、体のあちこちに痛みが飛んだり、痙攣(けいれん)が起きるなどの異変が発生。登校できなくなったり入院するケースが出てきた。

     最初の事例をマスコミが一報したのをきっかけに、情報が急速に全国へ伝わり、その被害者の受け皿となる「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」(事務局長、池田利恵日野市議)が発足。

     被害者の痛ましい症状もテレビ映像を通じて全国に流れ、被害者の数が急速に膨らむ中、6月14日、厚生労働省のワクチン検討部会(桃井真里子座長)は、接種の積極的勧奨の一時中止を決定した。「連絡会」からの具体的な副反応情報が大きく影響したといえる。

     同部会は、12月に再度、会合を開くが、勧奨の一時中止の見直しが行われる可能性がある。接種との利害関係が大きい医師グループは、積極的勧奨再開に向け、情報発信を強めている。

     その中の一つ、横浜市立大学医学部の医師グループが主導した子宮頸がん臨床研究事業の公開成果報告会が11月30日、都内で行われた。

     厚労科学研究費の補助を受け、平成23年度から3年間、地方自治体および地域コミュニティー単位の子宮頸がん予防対策が、若年女性の意識と行動に及ぼす効果の実効性を検証してきたもので、その結果と施策提言が行われた。

     研究代表者の宮城悦子横浜市立大学附属病院准教授は、先進国の日本でなぜ、他の先進国に比べて子宮頸がん検診の受診率が低いのか調査し、その解決策を模索してきた、と研究事業の目的を説明。

     報告の中で「症状が出ている人たちの一日も早い回復を心から望んでいる」としつつ、副反応相談窓口の整備の必要性を述べるとともに、慎重な言い回しながら、国が積極的接種を再開することに期待をにじませていた。

     これに先立ち施策提言した上坊敏子医師(社会保険相模野病院婦人科腫瘍センター長)は、全面的に積極的な接種呼び掛けの再開をアピール。検診主体の発表会だったが、接種に向けてのお膳立てをした形だ。

     会合終了後、宮城氏に、被害者にとりかけがえのない相談窓口である「連絡会」について見解を求めたところ、「よく分からない」との返事。また「医師が副反応が出ることを伝えて接種していたら、被害者の症状ももっと軽くて済んだと思う」と述べた。

     被害者への同情は口先だけで、医師の不十分な対応が副反応被害を拡大したことに対しても、まるで人ごとのようだった。

     同チームは公費の手厚い補助を受けているが、「連絡会」に集う被害者は、ほとんど治療費の補償を受けていない。「ワクチンとの因果関係が不明」とされてしまうためだ。

     こういう状況で、再度、接種の積極的な呼び掛けを訴える姿勢について、ある医師は「がんがウイルスで起きるから、実際にワクチンで予防できることを示したいのだろうが、そのための犠牲を顧みないのは非常識で、ある意味暴走だ」と語っている。

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