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    伊勢志摩サミットまで2ヵ月、難民・移民政策構築の好機

    山田寛

     5月26、27日の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)まで、2カ月余りとなった。会議の一大テーマは、欧州を覆う難民・移民危機だろう。

     欧州が分裂し、「歴史家は、2015~16年に、欧州崩壊が始まったと記すだろう」(仏ルモンド紙)とすら言われている。

     サミットで、メルケル独首相から「わが国は、昨年難民110万人を受け入れた。おたくは?」と問われて、安倍首相は「一昨年より16人も多い27人ですよ」と、平然と答えられるだろうか。「昨年の国連総会演説で約束した8・1億㌦(約960億円)の支援を、さらに増やしますよ」と急いで付け足せば、納得させられるだろうか。

     かつてのインドシナ難民受け入れを思い出す。日本は、1979年の東京サミット直前、初めて500人の受け入れ枠を決め、その後もサミットのたびに、欧米の顔を見ながら、段階的に1万人まで枠を広げた。

     在日の元ベトナム難民は、今も苦笑する。「サミットのおかげで定住できた。サミットさまさまデス」。

     今回、シリアは遠い。だが、問題は一層難しい。3月上旬現在、国連登録分だけで、シリア難民は481万人。トルコなど隣国に留まっている者が多いが、かなりの難民が欧州を目指す。テロリスト混入の危険も指摘され、オーストリアなどこれまで最も寛容だった国も、門戸を狭めつつある。

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    ギリシャ北部イドメニの対マケドニア国境で立ち往生する難民=2日(dpa=時事)

     先週、トルコが欧州連合(EU)と、不法移民流出阻止で大筋合意したが、テロや戦闘が続く限り、トルコにいくら金を払っても、必死の難民の流れは絶えまい。

     日本も、支援金増額だけではダメだろう。91年の湾岸戦争で、130億㌦も多国籍軍に支援したのに、「顔の見える参加」でなく、全く評価されなかったのを思い出す。

     以前のこの欄でも言及したが、たとえ少数でも、「第3国定住」(近隣諸国に脱出している難民を引き取る)を考えるべきだと思われる。

     今、日本での難民申請は、理由を無理やりひねり出した様な「難民もどき」申請が多い。難民認定はアマゾンの大河で砂金をすくい上げる感じで、認定の大幅増は難しい。もちろん、砂金すくいも絶対必要だが、それプラス「第3国定住」だ。

     象徴的にすぎなくても、シリア難民受け入れ参入の名乗りを上げることに意味がある。テロリスト混入が心配なら、まずは他国が拒む障害者や病人、孤児、IS(「イスラム国」)の「性奴隷」にされるヤジディ教徒(イラク)の女性、日本語を学んでいる学生などに絞る。それは「本当に顔の見える援助」になる。

     実は、安倍首相も、サミット前の4~5月の欧州歴訪時にも、何かしらの受け入れ案を伝えたいと考えているという。昨年の国連演説でもそれに言及したかったが、政府部内からの抵抗があったとも聞く。

     ただ今回、サミットのすぐ後、参院(あるいは衆参)選挙がある。

     日本の世論も、以前と比べ難民・移民受け入れに冷たくなっている。90年代の世論調査では、難民・移民の受け入れ賛成は、反対の3倍だった。最近は反対の方が倍返しだ。

     もし、何らかの形の「シリア難民受け入れ」を表明したとして、サミットでは歓迎されても、選挙の票にはなり難い。その間のスラロームを、安倍首相はこなすか、こなさないか。

     それでも、伊勢志摩サミットは、日本が難民・移民政策を構築するための好機ともなり得る。爆買い観光客歓迎だけでない、外国人受け入れの長期基本戦略を立てるきっかけにもなってほしいと思う。

    (元嘉悦大学教授)

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