■連載一覧
  • 衆院選大勝 安倍政権への提言
  • 2017衆院選 国難と選択
  • 北暴走 揺れる韓国
  • どう見る北の脅威
  • 2017/10/25
  • 2017/10/16
  • 2017/9/21
  • 2017/9/19
  • 2016 世界はどう動く-識者に聞く
  • 戦後70年 識者は語る
  • 2015 世界はどう動く-識者に聞く
  • 2014 世界はどう動く
  • 2016/1/04
  • 2015/8/09
  • 2015/1/07
  • 2014/1/06
  • 香港・中国返還20年 「一国二制度」の前途
  • 台湾に吹いた蔡英文旋風
  • ルポ・政権交代の攻防 台湾総統選
  • 二極化する香港 識者インタビュー
  • 香港誌「前哨」編集長 劉達文氏に聞く
  • 「雨傘革命」下の香港 揺れる一国二制度の行方
  • 揺れる香港 各派リーダーに聞く
  • 香港の普選運動 親中派民間団体代表の見方
  • 2017/7/01
  • 2016/1/18
  • 2015/12/26
  • 2015/7/12
  • 2014/11/21
  • 2014/11/14
  • 2014/11/06
  • 2014/7/08
  • 南シナ海 強まる中国支配 安保専門家に聞く
  • ドゥテルテ大統領就任から3カ月 どこへ向かう比政権
  • 香港「自治」の行方 識者に聞く
  • 中華圏に浸透する同性婚
  • 中台関係の行方
  • 日米同盟と台湾 海洋安全保障の展望
  • 蔡英文時代の台湾 本土派路線のビジョンと課題
  • ASEANの夜明け アジアハイウエー7000キロルポ
  • 緊張 南シナ海
  • 中央アジア胎動 中国「新シルクロード」と日本の戦略
  • “政熱経熱”の中韓
  • 新QDRと米中軍事バランス
  • 新グレートゲーム・幻想だった中国の平和的台頭
  • 新グレートゲーム・中国南進の海
  • 2017/7/26
  • 2016/9/21
  • 2016/8/17
  • 2016/7/26
  • 2016/6/03
  • 2016/5/31
  • 2016/5/19
  • 2016/3/22
  • 2015/11/18
  • 2015/10/14
  • 2015/9/07
  • 2014/3/31
  • 2014/2/14
  • 2013/4/18
  • ムスリム同胞団とアラブ モハメド・F・ファラハト氏に聞く
  • 多難な年明けのトルコ
  • EUと難民 UNHCRウィーン事務所報道官に聞く
  • ロシアのシリア内戦介入 アルアハラム財団事務局長に聞く
  • 2017/9/01
  • 2016/1/30
  • 2015/12/11
  • 2015/11/13
  • 新閣僚に聞く
  • 第3次改造内閣 信頼回復へ始動
  • ’17首都決戦
  • 施行から70年 憲法改正を問う
  • どうなる「民共協力」 27回共産党大会の焦点
  • 蓮舫民進 疑問の船出
  • 新閣僚に聞く
  • 「立憲主義」について
  • 再改造内閣 始動
  • 安倍政権 新たな挑戦
  • 16参院選 注目区を行く
  • 伊勢志摩サミット
  • 憲法改正 ここが焦点
  • 筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談
  • 第3次安倍改造内閣スタート
  • 詳解 集団的自衛権 安保法制案の合憲性
  • 衆院選 自公圧勝 ~課題と展望~
  • ’14衆院選 注目区を行く
  • 第2次安倍改造内閣スタート
  • 日米首脳会談 成果と課題
  • 2017/9/07
  • 2017/8/06
  • 2017/6/27
  • 2017/4/26
  • 2017/1/09
  • 2016/9/17
  • 2016/9/02
  • 2016/8/22
  • 2016/8/04
  • 2016/7/12
  • 2016/6/30
  • 2016/5/23
  • 2016/4/25
  • 2016/4/04
  • 2015/10/08
  • 2015/8/06
  • 2014/12/16
  • 2014/12/07
  • 2014/9/05
  • 2014/4/26
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第2部 自衛隊配備へ動く石垣島
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第1部 与那国島・陸自駐屯地
  • 激震・翁長県政 「オール沖縄」の凋落
  • 普天間基地移設 経緯の検証と提言
  • 「援護法」に隠された沖縄戦の真実
  • 2016/10/31
  • 2016/10/12
  • 2016/1/26
  • 2015/10/01
  • 2013/7/08
  • 北朝鮮 制裁の現実
  • どう対処 北の脅威 米有識者に聞く
  • 9年ぶり左派政権 文在寅大統領の韓国
  • 弾劾の波紋 漂流する韓国政治
  • 検証・金正恩統治5年
  • どこへ行く混迷・韓国 国政介入事件の深層
  • どう見る金正恩体制 日韓専門家対談
  • 迎撃ミサイル配備 韓国の決断
  • 3代世襲“完成” 北朝鮮第7回党大会
  • 検証 元料理人 藤本氏の再訪朝
  • 韓国総選挙ショック
  • 日韓国交正常化50年 識者に聞く
  • どうする拉致解決 日朝ストックホルム合意1年
  • 日韓国交正常化50年 「嫌韓」「反日」を越えて
  • 張成沢氏失脚 北で何が起きたか
  • 2017/6/26
  • 2017/5/17
  • 2017/5/11
  • 2017/3/15
  • 2016/12/27
  • 2016/12/05
  • 2016/8/24
  • 2016/7/20
  • 2016/5/10
  • 2016/4/29
  • 2016/4/15
  • 2015/6/22
  • 2015/5/11
  • 2015/2/05
  • 2013/12/10
  • 待ったなし地球温暖化対策
  • 環境先進国フランスの挑戦
  • 迫る気候変動の脅威 どうする大災害への備え
  • 2016/1/02
  • 2015/10/07
  • 2015/9/21
  • 「情報戦争」時代と米国
  • 米軍再建への課題-元上級将校の提言
  • トランプ政権始動
  • トランプ大統領の衝撃 米国と世界はどこに向かう
  • トランプvsヒラリー 米大統領選まで1カ月
  • オバマのLGBT外交 米国と途上国の「文化戦争」
  • トランプVSヒラリー 米大統領選まで3カ月
  • オバマ外交と次期米大統領の課題
  • 2016年米大統領選まで1年
  • 再考 オバマの世界観
  • オバマの対宗教戦争・第1部
  • オバマの対宗教戦争・第2部
  • 2017/4/03
  • 2017/2/28
  • 2017/1/22
  • 2016/11/11
  • 2016/10/08
  • 2016/9/26
  • 2016/8/06
  • 2016/6/14
  • 2015/11/08
  • 2015/7/06
  • 2013/8/05
  • 2013/9/30
  • JAXA宇宙探査計画
  • 2015/12/24
  • 青木 節子
    青木 節子
    内閣府 宇宙政策委員

    日本から忘れ去られる在米日本人研究者

    廣井孝弘

     最近、私の住むボストンのハーバード大学で、日本学術振興会(学振、JSPS)主催の、「日本の急速に高齢化する社会」というテーマで半日のフォーラムがあった。これはポスターセッションまである学会形式に似ていたが、口頭講演は全て招待された比較的長時間の発表がいくつかあるというものだった。一般にも興味を引く内容で、意外とわかりやすかった。
    http://jspsusa.org/wp/11122016_the-japan-us-science-forum-in-boston-cambridge-ma/

     学振と言えば、私が30年近く前に博士号を取得した後、ポスドクとして雇ってくれた政府団体であり、日本の研究者にとっては、科学研究費(科研費)を配分するものとしてなじみが深い。学振が米国でも活動をしているのを知ったのはごく最近のことで、それは6月にワシントンで、私と同じ「はやぶさ2」チームの人たちが来て発表をする会があったからだ。私がアメリカにいるのに、なぜわざわざ日本から呼ぶんだろうかと純粋に感じたこともある。この辺りが、能力や真実性に基づかず、限られたコネとかでバイアスがかかった人事をしている大学界を思わせる、気持ち悪い点である。

     今回は会場がハーバード大学というアメリカ1の大学であり、日本から留学や仕事で来ている主に若い研究者たちが多く、彼らが集ったフォーラムとなった。冒頭で、学振ワシントンオフィスの野崎所長は、「日本からとかく忘れ去られがちな存在たる在米日本人研究者たちに光を当てたいと思った」と述べていた。それは本当のことで、日本にまだまだ必要な世界トップレベルのノウハウをもたらす人材たちが、無知な日本の政府や大学の人々や制度から疎外されているのである。

    700

    フォーラム会場で配られた手提げ袋とプログラムなど

     世界的なレベルと競争が存在する米国で、逆境に打ち勝って実績を上げた人々だけが帰国するならともかく、彼らはむしろ米国に留まり、短期滞在しただけでさっさと帰る人たちだけが日本の大学の研究者や教官になるのは問題だろう。米国に長居すると、コネが切れてしまって帰国できなくなるという現実、または心理的作用が働いているように思う。そのような悪循環をなくさない限り、日本のどの分野も安定的長期的に米国には追い付き追い越すことはできないだろう。

     もう1つの問題は、私の専門の惑星科学で取得できる科研費の細目が少ないことである。学振の科研費申請のための細目表は以下に掲載してあるが、惑星科学関係は、「数物系科学」の下の「地球惑星科学」に7つの細目があるだけである。またその7つの中でも、「惑星」や「宇宙」という言葉が入っているのは2つだけである。
    https://www-kaken.jsps.go.jp/kaken1/saimokuList.do

     もちろん、この細目の数が科研費申請における採択数や予算配分を直接反映しているとは限らないが、日本の惑星科学の立場の弱さは、米国NASAの研究費プログラムを見たらその対照は明確である。NASAの宇宙地球科学の2016年度の細目は、以下のサイトで列挙されているように、現在公募されているものでも何と97もある。
    https://nspires.nasaprs.com/external/solicitations/solicitations.do?id=NNH16ZDA001N&method=programElementsAll&path=open
     これらのうち、地球科学や天文学でなく、かなり純粋に惑星科学に関するものとしては以下の約17個がある。

    Discovery Data Analysis Program
    Emerging Worlds
    Exobiology
    Laboratory Analysis of Returned Samples
    Lunar Data Analysis Program
    Mars Data Analysis Program
    New Frontiers Data Analysis Program
    Planetary Data Archiving, Restoration, and Tools
    Planetary Instrument Concepts for the Advancement of Solar System Observations
    Planetary Major Equipment
    Planetary Protection Research
    Planetary Science and Technology Through Analog Research
    Planetary Science Deep Space SmallSat Studies
    Rosetta Data Analysis Program
    Small, Innovative Missions for Planetary Exploration
    Solar System Observations
    Solar System Workings

     このように惑星科学のために応募できる研究費細目が非常に多くあるが、特に私のような隕石や小惑星の科学を実験室で試料を基に行う研究者にとって重要なのは、上記で下線を引いたEmerging WorldsとSolar System Workingsである。これらは、近年まで数多くの細目だったものを大きく2つにまとめたもので、太陽系の起源と進化を各々探求するテーマに対して出される研究費である。米国の固体惑星科学者たちはこれら2つの研究費細目のおかげで世界1のレベルを維持している面も大きい。

     また、数が多いだけでなく、NASA研究費の使用目的の中心は研究者の給料であるが、学振の科研費では基本的に給料は払えない。米国の研究者にこれを話すと、「じゃあ何のための研究費なんだ?!」と純粋に驚くものである。なぜなら、科学は科学者の労働や頭脳で行うものであり、科学者に給料を払ってその時間を買うことが費用の主目的である。機械や試料やデータだけあっても、それらを用いて解釈して論文にする人がいなければ、何の科学成果も生まれない。

     はやぶさ・かぐや・はやぶさ2で成功裏を収めてきた日本の固体惑星探査であるが、探査機が無事に飛行した後で出てきたデータや試料に基づいて科学成果をあげてきたのは、現在、日本で地球惑星科学科で教育を受けている人たちだけでなく、私を含む、NASAと対等にやっていけるレベルの科学と論文執筆力を身に着けた研究者達である。それがあったからこそ、同じく探査機をどんどん上げてきたインドや中国よりも格段と高いレベルの世界的科学成果を日本の惑星探査はあげてきたのである。そういう人材を大切にしない国家の将来は危ういとしか言えない。

    (2016年11月13日記)

    2

    コメント

    コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。