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  • 青木 節子
    青木 節子
    内閣府 宇宙政策委員

    人体と地球との相似性からみた人類の使命

    廣井3

     惑星科学は地球を含む惑星を対象とする学問だが、地質学とか地球科学という分野があるように、歴史的にも現在でも地球が人類の主たる研究対象であり、最も魅力的な天体である。その理由の一つには、身近で実用的で生命を宿す惑星であるということ以外に、人体との類似性・相似性があると思う。

     一般に「人体は小宇宙」と言われるように、構造や機能から見た人体と宇宙との相似性は多くの人たちによって昔から語られている。例えば、主に人体と地球との構造面での相似性について、以下のようなビデオがある。英語だが、文章で書いてあるのでわかりやすいと思う。
    https://www.youtube.com/watch?v=jGQaNzoZUAQ

     そこで挙げられているのは、皮膚の表面の細菌の数は地球上の人口より多い、血管の全長は地球を2回りできる長さである、舌の味蕾(みらい)の数は大都市の料理店の数より多い、咳・くしゃみの風速は竜巻のと同じ、男性が作り出す精子の数は、2年間で地球上の人口すべてを新たに産める数、脳の神経細胞の数は、天の川銀河の星の数の半分、という点である。

     さらに、最近の広域宇宙観測の結果に基づき、脳の神経細胞の形状が宇宙の銀河クラスター(集団)に似ているという話もある。これに関しては、原子の構造と太陽系や銀河の構造が似ているという考えも原子物理学の初期にあり、銀河の間の重力であれ、神経細胞の間の化学結合力であれ、三次元空間に二体力で働く力によって安定的に存在するためには、構造がある程度似てくるのかもしれない。また、それらの中間的なスケールである細胞や人体も似た構造があってよいとも思う。

    800

    人工衛星から見た地球の夜景(C. Mayhew & R. Simmon, NASA GSFC)

     さて、地球と人体の話に戻ろう。素朴に自分の腕とかを見つめてみると、内部には地球の核のような骨格があり、その周りにはマントルのような筋肉があり、その表面には地殻のような皮膚があり、その上に植生のような体毛があり、そこには上記のように細菌が生息している。そして、地下水脈のように血管系や消化器系があり、幾多の微生物は体表面だけでなく体内にも存在している。

     一方、構造面でなく機能面で人体と地球の相似性を説いたものとして、ややキリスト教的観点からのビデオがある。これも英語で低解像度だが、文章で書いてある。
    https://www.youtube.com/watch?v=G4y2jxFTDrs

     そこでは、地球は生き物であることを説明しており、機能面から見て、山々は骨格であり、土壌は消化系であり、海洋は循環系であり、植生は呼吸系であり、動物は神経系であり、そして人類は自己について思考できる意識であると述べている。

     これについては、いろいろ深く考えると厳密化が必要かもしれない。たとえば、人体に存在する無数の微生物と地球上の動物が相似的であるとも言えるし、火山やマントル対流は何に相当するのかという問題もある。しかし、細部にこだわらず、簡単に言い換えると、地球自体が人間をモデルとしてできているということであろう。そして、人類の役割・使命というものが、自分たちだけでなく地球全体を考えて行動するということではないだろうか。

     もちろん、以前紹介したID(インテリジェント・デザイン)理論が示唆するような宇宙創生の前に“設計者”が存在したことを否定する人々は、物理の根本理論がそのような相似性を生み出す原因なのだというだろう。しかし、様々な生物と惑星がある中で、地球と人類だけが何故そのように多くの相似性が構造と機能にあるのかが問題である。生命を宿す天体にはそのような条件が必要であるともいえるが、ID理論で述べているように、知的生命体が存在する環境要件として地球とそれが存在する太陽系や銀河系の環境がこうなっていることの意味を考えることが科学の次の段階だと思われる。

     しかし、ここで気づくことは、地球の環境には動物たちも含めて自然と調和とお互いの共存が実現されていると思えるが、人類はそうでないように思える。人体と地球に対する無知と過分な欲望のゆえに、不健康な食事をして病気になり、環境を破壊し、人間同士で争うという、自分で自分の首を絞めるような不合理な行動も見られる。肉食獣でも病気の時には薬になる草を食べ、満腹ならば他の獣を襲わないし、災害の時には助け合うという。

     きっとそれゆえに、この世の真理や生き方を大自然から学べという教訓があるのだろう。ただ、忘れてはならないのは、科学は結果があれば原因が存在すると考えるものなので、上記のように、人間に悪が存在するならば、その原因があると考えるのである。しかしそれは、科学の対象と現在はされておらず、霊界の現実と同様に、宗教が扱う対象とされている。

     そこで問題なのは、科学は超大統一場理論をもって重力まで全てが1つの調和した理論および観測事実として統一されつつあるが、宗教はまだその前段階で闘争しているように見える。きっといつか、科学的手法が、霊界を始めとしてあらゆる分野に適用され、人間の倫理基準にまでメスを入れてくれる時代が来るかもしれない。ID理論がその端緒を開いてくれたと思うが、道はまだ遠いように見える。しかし私は、「夜明け前は最も暗い」という如くに、新たな時代がすぐそこまで来ていると信じ、そのために尽力していきたいと思う。

    (2016年10月15日記)

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