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  • 青木 節子
    青木 節子
    内閣府 宇宙政策委員

    惑星科学者になるなら地球惑星科学科に行ってはならない

     以前、「学校教育で惑星科学はあまり重要視されていない」旨のことを書いたが、大学では、学科名を見る限り、地球惑星科学を学べる学部や大学院の専攻は多くある。例えばこのリストである。「地球」という単語が「惑星」の前についていることにご注意あれ。
    http://www.jpgu.org/index/students/learninggeoscience1.html

     しかし、このリストをよく見ると、100くらいあるうちで「惑星」という単語がその名称に入っているのは9個しかない。そして、それらの全てが「地球」と一緒になって「地球惑星」としてある。英語なら、Earth and Planetaryということである。つまり、純粋な「惑星科学科」は存在しない。これは何故であろうか?

     私の属するブラウン大学の学科は、以前は Geological Sciences(地質学)だったものが、最近、Earth, Environmental and Planetary Sciences(地球・環境・惑星科学)に変わった。もともと、地質学という言葉には地球とか月とか特定の惑星を意味する言葉は入っていない。だが、歴史的に地球のみの地質を研究してきたために、そこには地球という仮定を感じる。だからこそきっと、「地球惑星」として、地球以外の惑星も含まれることを強調しないといけないのだろう。ここで惑星とは実は、月などのような衛星(satellites)や小惑星・彗星(まとめてminor planetsとも呼ぶ)も含まれることは常識的である。

     しかし、地球も惑星の1つなのだから、単に「惑星科学」といえば、地球も含まれるのが論理的である。しかし、実際、日本では地球だけの研究をしている者たちが多いのであろう。惑星科学を教えられる人が少ないのは大学用の教科書の数を見ても明らかである。

     さらに、惑星科学は地質学だけではない。先のリストを見れば分かるように、「地質」や「地球」といった単語だけでなく、「環境」「生命」「海洋」「資源」「工学」といった普通予想される「宇宙」や「天文」よりもっと幅広い分野の学科で学べるとされている。実際に、惑星は太陽系に存在し、その環境によっては生命の存在を可能にし、そこに海や資源が存在し、人間がいれば工学の観点も生まれる。

     しかし、このリストにある機関で学んだ学生や研究者たちの一部が属しているはずの日本惑星科学会の会員数は約600人である。もし上記の100の機関が各々毎年1人でも惑星科学の研究者を輩出していれば、過去20年間に2000人の惑星科学者が出現したはずである。もちろん全員が学会に加盟するわけではないが、主要学会が何千・何万と会員を持つのに比べて非常に小所帯である。

     私が大学院生だった1980年代半ばには、「惑星科学」という日本語すら一般には知られておらず、当然「惑星」を含む学科名はなかった。しかし、90年代になって、惑星科学は知られてくるようになり、学科名にも現れ、宇宙科学研究所も「のぞみ」「はやぶさ」といった惑星探査計画を始めるようになった。

     しかし、当時の惑星科学者たちは、当然、地球惑星科学科出身ではない。物理・地球物理・天文学といった伝統的な学問を収め、その応用として惑星科学を研究し、惑星ミッションを立案・実行してきたのである。私も、東大の基礎科学科という広範な学問をする学科を卒業し、大学院では鉱物学専攻だった。だから、学部では、相対論とか量子力学とか結晶学とかの原子の物理や対称性に関するものを多く学んだ。

     それでは、過去20年ほどの間に、「○○惑星○○学科」の様な学科を卒業した人たちはどうなったのか。私は、そのような統計の存在は知らないが、おそらく、世界的な惑星科学の研究者になった人は少ないのではないかと思う。私が、はやぶさ・かぐや・はやぶさ2ミッションで一緒に働いてきた研究者たちの顔ぶれを見ると、もちろん年数が経っていないこともあろうが、伝統的な分野で専門技能を身に着けてきた人たちが多かった気がする。

     もちろん、惑星探査ミッションは、数学から生物学に至るまで広範な分野の科学と工学の総合共同体制で行われるべきものであるから、他分野の研究者や学生が集うのがよいのであるが、では、何のために名前に「惑星」の付く学科を作ったのだろうか。おそらく、惑星科学者たちが職に就くためではないかとさえ思える。私は漏れてしまったが(笑)

     惑星科学を学べるとのたまっている学科のどこが、どの分野でも必要な物理学や量子力学、そしてコンピュータープログラミングやシミュレーションを教えてくれるのであろうか。どこが惑星探査に役立つ技能を身につけさせてくれるのか。どこに世界的な惑星科学者、日本の惑星探査の最前線で活躍している研究者がいて、その指導を受けられるのか。どの先生が、欧米などの惑星科学の最先端の研究者たちとつなげてくれるのか。そのような内容が高校生にとって重要ではないのか?

     しかし、私は経験と信念からこう言いたい。「世界的な惑星科学者になりたければ、地球や惑星と名のついた学科には行くな」と。むしろ自分の好きな伝統的専門分野、数学・物理学・化学・生物学・天文学・情報科学・工学などの学科に行けばよい。それでも惑星科学に興味を持ち続けたなら、大学院で分野替えをするか、自分の分野に進みながら、惑星探査ミッションや観測に携わっていったらよい。何か1つでも世界的な技能を持っている人たちが必要なのであって、適当にいろんなことができる人は何人いても世界一の業績はあげられない。日本の惑星科学と探査の成功のためには、そういう視点が必要ではないか?

    (2016年8月16日記)

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