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    彩島 うた
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    ココ浅井
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    エルドリッヂ研究所
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    江崎 孝
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    我那覇 真子
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    仲里 嘉彦
    仲里 嘉彦
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    西田 健次郎
    西田 健次郎
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    豊田 剛
    豊田 剛
    那覇支局長
    宮城 能彦
    宮城 能彦
    沖縄大学教授

    私たちは「憲法」を知らない

    1.若者にとっての日本国憲法

     昨年、とある用事に向かうため、東京都内を走る電車に乗車しているときのことだった。近くにいた女子高校生と思われるグループが、日本史A(近現代史を中心とする科目)のテスト勉強と思われることをしていた。友人たちと必死になって、人物名などの固有名詞をどう暗記するかを相談していた。

     このとき、日本の教育の姿というものを見てしまったのである。小学校から高校まで、我々は受験勉強的で暗記を中心とする教育を受けてきた。算数や数学も、公式などを重視し、その公式に至るまでの過程を軽視してきた。歴史など文系科目も、事柄を暗記することだけを求められ、経緯というものは軽んじられてきた。戦後の歴史教育が、自虐史観と言われて「太平洋戦争は侵略戦争である」と多くの日本人が認識しているのも、素直に自虐史観の教科書を暗記しているということも、要因のひとつであろうと思う。本来は「大東亜戦争」と呼称すべきだが、教科書では虚構の歴史である「日本の侵略戦争」の象徴として、「大東亜共栄圏」を教え込んでいるためか、「大東亜戦争」と言う者には、「右翼」「軍国主義者」などと言われる現実がある。

     さて、第二次安倍政権が誕生して以降、憲法に関する議論が活発化してきた。安全保障法制の議論がなされてきてからは、テレビも新聞も、もちろんインターネットでも憲法論議が盛んに行われている。既存のマスメディアは「護憲」を前提とした論調でニュースを伝え、討論番組を放送し、新聞もまた同じくであった。SEALDsの登場で、「現代の若者の声は憲法を守ること」などと報道され、護憲の立場をとることが正義とされてきた。

     私は、そのような日本の言論空間に、非常に違和感を覚えずにはいられなかった。というのも、周囲の同世代の友人には、護憲を「正義である」と捉えている者は少なく、むしろ日本国憲法と現実の解離を感じている者が多かったのだ。また、SEALDsに共感する声を同世代の友人からは聞いたことがない。特段、保守派の立場をとっているわけでもないのだ。私は、ここにインターネット世代ということと、ゆとり教育世代というものを検証する必要があると思う。

     このようなデータがある。昨年の公益財団法人新聞通信調査会による世論調査によれば、18歳および19歳から30代まで、憲法改正に関する情報源はインターネットがトップなのである。複数回答にはなっているが、18歳および19歳は57.1%、20代が58.8%、30代が60%なのだ。しかし、40代から50代にかけては民放テレビが6割を超えており、70代以上は新聞がトップとなっている(出典:http://www.chosakai.gr.jp/notification/pdf/report11.pdf)。

     それに連動するように、産経新聞の平成28年6月20日に発表された世論調査の結果では、10代及び20代で48.5%が憲法改正に賛成で、反対の36.6%を超えている。30代も、同じ傾向にある。賛成が53.6%で反対が39.7%だという。高齢者になるほど、反対意見が多数を占めたという。同年7月2日の産経新聞に掲載されたコラム「産経抄」では、インターネットで情報収集する世代であるから、既存のマスコミの論調や報道に左右されなかったのではないか、という分析をしている。前述した公益財団法人新聞通信調査会による世論調査とも合致するため、産経新聞の分析には妥当性があると考える。

     しかし、もう一つ考慮すべき問題がある。それは、ゆとり教育世代における社会科教育だ。私は、両親からも多くの年配の方からもよく聞いたことがあるのは、学校の社会科の授業で、日本国憲法の条文を暗記させられたというエピソードだ。しかし、平成5年生まれの私は、そのような詰め込み教育型の教育を受けておらず、日本国憲法の条文を暗記させられたり、むろん前文も暗記させられたことはない。それを試すテストを受けたこともない。憲法改正論議でもっともホットな議論である日本国憲法第9条に関しても、条文を暗記させられたことはない。大学に進学して、法学部に入った今でも条文は六法全書を開けなければわからない。

     高校教育までに習ってきたことは、日本国憲法が第9条が三大原則の一つである平和主義を構成していること、自衛隊に関しては戦力ではなく日本を防衛するための必要最小限度の実力組織としていることという、大きく分ければこの二点しか習っていない。そして、ゆとり教育下の教科書は分量も少ないため、詳しい説明はあまりない。学校の教師も、左派的イデオロギーを押し付ける教師はともかく、一般の教師はそこまで重要視して教えることもなかった。むしろ、国会の制度や選挙制度など統治機構や人権の項目が多く、日本国憲法第9条や安全保障に関することはほとんど習っていない。私だけでなく、周りの知人や友人に聞いてみたが、そこまでは深く習っていないという。

     確かに、安全保障に関することを社会科教育で扱ってこなかったことは、教育としては非常に懸念すべきことではある。本稿の論点ではないが、私は安全保障という科目を新たに設けてもよいと考える。しかし、日本国憲法の前文や条文を暗記させられず、9条に関する問題を軽く扱ってきたがゆえに、それらをしっかり教え込まれた上の世代とは違い、比較的フラットに日本国憲法について考えるようになっているのではないだろうか。つまり、日本国憲法を“不磨の大典”のごとく神聖視するような思考にはなっていないと私は分析している。

     安全保障法制の議論で、既存のマスメディアは日本国憲法を神聖視するような報道を繰り返し、SEALDsを持ち上げて、護憲派の決まった論理を垂れ流す。それに対して、インターネット世代の私たちはスマートフォンの発達もあってすぐに調べることができるため、改憲派など日本国憲法に異議を唱える側の意見に触れることで、現実問題との解離を認識し、憲法改正に対して上の世代よりも比較的抵抗が少ないのではないだろうか。

    2.憲法と憲法典の違いを知らない

     以上述べてきたように、日本国憲法についてフラットに考えることが出来る世代だと述べてきたが、我が国が日本国憲法というGHQによる日本占領統治のための、いわば「当用憲法」から脱却するには、これまでの憲法教育、とくにゆとり教育世代における憲法教育の弊害も指摘せねばならない。

     私は、保守派の改憲派を中心に、「憲法と憲法典の違いを知っているか」についてアンケート調査を実施した。日本国憲法に日ごろから異議を唱え、その弊害などをよく勉強しているならば、憲法と憲法典の違いという「基礎知識」を知っておかねばならないと考えたからである。

     だが、結果は非常に残念なものであった。憲法と憲法典の違いについて知らない者は、日ごろ改憲を主張している者が多く、53.54%にも及んだのだ。これでは、「当用憲法」からの脱却は、想像を絶するほど先の話になるだろう。では、憲法と憲法典の違いについて説明していきたい。

     明治時代に日本の近代化を目指して制定された大日本帝国憲法と、戦後GHQによって押し付けられた日本国憲法を指して、「日本にとっての憲法は二つだけ」と答える者が多い。しかし、これは間違いである。大日本帝国憲法や日本国憲法は、実は憲法の一部に過ぎないということである。憲法とは、我が国にとっては神武天皇がご即位なされ、我が国が建国されてから今に至るまでの、我が国の伝統的な統治体系や歴史、慣習法などを指す。イギリスが良い例である。「イギリスには憲法がない」と言われるが、それは誤解である。成文化された憲法がないのであって、不文の憲法に基づいて政治が行われている。その都度、必要に応じて憲法付属法を制定しているに過ぎない。よって、我が国も大日本帝国憲法が制定されるまでは、不文の憲法によって国家の統治が行われてきたと言えるのだ。

     だが、近代化するために議会の設置などの必要に迫られた。伊藤博文や井上毅といった明治の元勲によって起草され制定されたのが、大日本帝国憲法である。条文によって構成された憲法を成文憲法、戦後の憲法学の言葉を用いれば形式的意味の憲法というが、これを「憲法典」と呼ぶのである。憲法典とは、国家の統治と時代に求められたことの最低限のことを明記し、確認するものであって、それ以外のことは建国以来の憲法(不文の憲法もしくは実質的意味の憲法)に基づいて法律を制定し、政治を行うのだ。日本国憲法も、GHQに押し付けられ、憲法すなわち日本の伝統的な法慣習とはそぐわないが、憲法典にしか過ぎないのである。

     「憲法と憲法典の違い」という、基礎知識を戦後の憲法教育では教えられていない。大学の法学部に進んでも、この問題については問われない。故に、現在の憲法改正論議というのは、条文を変えるか変えないか、新たに条文を設けるかという「憲法典至上主義」に陥っているのだ。自主憲法制定を掲げて結党した自由民主党の憲法改正草案も、日本国憲法の条文をただいじったにしか過ぎない、いわばGHQ憲法のマイナーチェンジとなっている。残念ながら、保守言論をリードするはずの産経新聞が起草した改憲案も同様である。憲法改正を行って、真の独立国としての日本を目指すはずの保守派が、我が国の伝統的な法慣習に基づかない日本国憲法のマイナーチェンジを目標とするようでは、戦後体制に終止符を打つことはできない。

    3.取り戻すべきは「天皇がしらす国」

     憲法と憲法典の違いについて述べてきた。その中で、「日本の伝統的な統治体系」と述べた。では、それはどのようなものなのだろうか。答えは、我が国の神話であり、日本人のすべての源である古事記を知る必要がある。

     古事記の名場面でもある「出雲の国譲り」に関する記述の中で、大国主命は「汝がうしはける葦原中国はわがみ子の知らさむ国と言よさし給えり」と述べられている。この言葉に、我が国においての国家の統治の概念が二つあることが見える。ひとつは、「うしはく」である。「うしはく」とは、土地や民、財産を統治者がすべて私物化し、支配するというニュアンスである。

     一方「知らす」は、支配者が公私を混同せず、国家と家とを明確に区別し、さらに支配者は自らの利益のために統治をするのではなく、むしろ支配者側から民に寄り添って、民の心をくみ取り民の利益のための統治、政治を行うことを意味する。後者の「知らす」という統治の手法こそ、我が国の伝統的な統治の仕方である。古事記においては、仁徳天皇に関する記述に、その統治の仕方が色濃く表れている。

     武家が政治を行うようになり、政権の座につく時代が平安時代の終わりから江戸時代まで続くが、政治権力をふるっていたのは幕府の方である。しかし、為政者の将軍も将軍の座に就くには天皇から征夷大将軍の任命を受けなければならなかった。故に、天皇は政治権力は直接は行使はしないが、征夷大将軍に任命するという形で天皇という権威を与える存在が後ろにあるため、むやみに民を虐げる政治を行えば、将軍の権威は失墜するのだ。幕府が政争に明け暮れていても、天皇と皇室だけは民のために祈り続けた。このように、天皇と皇室を中心に日本全体が統合することで、我が国が統治されることを「しらす」という。または、「君民共治」ともいう。他国では、王室と民は対立構造にあり、常に民は搾取される存在だったが、我が国はそうではなかった。

     明治時代に入り、大日本帝国憲法を制定することになる。大日本帝国憲法の第一条には、「大日本帝国は万世一系の天皇これを統治す」とある。このため、戦後の教科書では天皇は専制君主のように扱われ、まるで天皇による独裁国家であったと戦前の日本について教えているが、伊藤博文によって執筆された大日本帝国憲法の公式解説書である「憲法義解」によれば、「統治す」の意味は「知らす」の意味であると記述されている。これは、井上毅という明治の天才官僚によって起草されたもので、日本で初めての憲法典に日本の伝統的な統治の仕方を一文に凝縮したのだ。天皇の統治権は認めているものの、内閣による輔弼(ほひつ)を必要とするため、実際の行政権の執行は内閣によって行われた。天皇大権という存在をもって独裁政治とする戦後憲法学であるが、実際は、天皇が大権を直接行使するときは、政府が機能不全になり行政権を行使できない事態に行使するのであって、実際の大日本帝国憲法下の我が国は、内閣が行政権を執行していた。

     しかし、一連の事実を私をはじめ多くの国民は、とりわけ私と同世代の若者は学校で習っていない。私が我が国の憲政について学んだのも、大学の勉強以外で独自で書籍を購入して勉強し、講演会などに参加して勉強したのだ。神話を教えられず、本当の我が国の憲政の歴史を教えられない。確かに、我々の世代は日本国憲法による洗脳は薄いかもしれないが、その反面、憲法を議論するために知っておかなければならないことも身に着けていないため、「日本国憲法の条文さえ変えれば日本が良くなる」と考えてしまっている。その反対も然りだ。

     私は、日本国憲法の条文を変えるだけの憲法改正では、本来の我が国を取り戻すことはできないと考える。取り戻すべきは、「天皇がしらす国」であると誰が読んでも分かる憲法典だ。もちろん、「当用憲法」下の現在も、「天皇がしらす国」という姿は変わっていない。だが、どれほどの国民がそのことを意識できているであろうか。憲法典を改正することを議論する前に、我が国の憲法について政治家も国民もともに学び、議論して、そのうえで我が国にとってふさわしい憲法典とは何かについて議論することが、本質的な憲法論議ではないだろうか。

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