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    ウィーン発 『コンフィデンシャル』
    尹氏が住むウィーンのアパートメント(2013年12月13日、撮影)

    尹氏が住むウィーンのアパートメント(2013年12月13日、撮影)

     「本来はあの時、感じるべきだった」と今、少々後悔している。当方は10月頃、彼と会うことができなかった、というより、こちらの事情で会うことがなかった。もし、10月中に会っていたら、“異変”を感じることができたかもしれないと思っている。

     「彼」は、今回処刑された張成沢国防副委員長が後継者として期待していたといわれる金正男氏(故金正日総書記の長男)が欧州を訪問した際には世話をしていた。その「彼」が突然、10月頃、消えたのだ。張成沢派の側近たちが粛清されているというから、「彼」の安否が心配だ。

     そこで「彼」の行方を確認するためにウィーンのアパートメントを訪ねた。入口には名札はあったが、ボタンを押しても何の反応もない。自宅には誰もいないようだ。駐オーストリアの北朝鮮大使館(金光燮大使、金正恩第1書記の義理の叔父)にも行ったが、大使館は静かだ。12月の小雨が降り、大使館からは何の音も漏れてこない。外交官の車は中庭に駐車されていた。金大使の車も駐車していたから、大使は大使館内で仕事をしているのかもしれない。

     誰も出てこないので、「彼」の行方を聞くことは出来なかった。たとえ大使と話すことができたとして、「彼」のことは何も教えてくれないだろう。最後は、「彼」が勤めていた国際機関の上司から「彼」の所在について聞いたが、何も新しい情報はなかった。

     「彼」が10月、帰国指令を受けて平壌に戻ったとすれば、張派として粛清対象となった可能性が排除できない。当方はこれまで「彼」は金ファミリー関係者であり、平壌も手が出せないだろう」と考えてきたが、故金総書記の実妹の夫(張成沢)を処刑できる人物(金正恩氏)がトップにいることが判明した。「彼」も安全とはいえなくなった。

     「彼」は金ファミリーの悪口は言わなかったし、政治問題には口を出さなかったが、「彼」が金正男氏の欧州連絡係だったこともあって、平壌からマークされていたことは十分考えられる。中国駐在の張派の外交官やビジネスマンは次々と国に召還されているという。粛清の波は欧州居住の張派に及ぶのは時間の問題だ。

     当方はここ数日、「彼」のことが心配で落ち着かない。「彼」の行方を早急に確認する必要がある。「彼」は尹ソンリム氏(Yun Song Rim )だ(「故金正日第1夫人の娘婿が消えた」2013年11月11日参考)。

    (ウィーン在住)

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