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  • 菊田 均
    菊田 均
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    松本 健一
    松本 健一
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    小名木 善行
    小名木 善行
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    大島 直行
    大島 直行
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    時広 真吾
    時広 真吾
    舞台演出家
    渡辺 久義
    渡辺 久義
    京都大学名誉教授

    「イクメン」の意外な危うさ

     「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」とも言うし、「喧嘩をするほど仲が良い」とも言う。うっかり他人の夫婦問題に首を突っ込むのは剣呑だと思っているのに、先日は知り合いの方の話に、つい乗ってしまったのです。

     ある婦人の話を聞いていると、「自分と夫は、感性が全く対照的」と言う。「どんなふうに?」と尋ねると、婦人は花が好きで、毎日きちんと水やりをすると、花が喜んでいるのを感じる。ところが夫ときたら、花が萎れかけていても、まったく無頓着。婦人が2、3日家を留守にしても、花に水をやろうという発想がないみたい。そんなふうに言うのです。

     「花が枯れたらどうするの? ちゃんと水をやってください、と言うと、いい顔をしないんです」

     そういう話を聞きながら、ちょっと不安になった私は、つい口を挟んだのです。
     「この前読んだ論文によると、家事に関わる時間が多い夫ほど、離婚願望が高いそうですよ。気をつけないと、離婚予備軍夫婦になりますよ」
     その夫婦は基本的にオシドリ夫婦という印象なので、万が一にも離婚はないと思いながら、からかい半分で釘を刺すつもりでした。

     私が読んだのは、カルチャー・スタディーズ研究所が発表した「中高年男性調査(2010)」というものです。
     その中でショッキング、というか、意外な内容がある。家事の半分以上を担当している男性の意識調査をしたところ、

    「離婚願望がない」15・9%
    「離婚願望が弱い」19・6%
    「離婚願望が強い」25・2%

    という結果が出たばかりか、「すでに離婚した」男性が30・9%という高率にのぼっている。

     家事の担当比率が半分以上ということは、妻以上に家事に携わっているということです。家事の中には育児も含まれているでしょう。近年「イクメン」と称される男性たちです。

     おかしい。なぜだろう。
     家事に理解があり、協力的でもある、そのような男性たちになぜそれほど「離婚願望」が高く、しかも実際に3人に1人が離婚に至っているのか。

     そこには、こういうカラクリがあるのです。
     例えば、心優しい夫が仕事を終えて帰宅し、疲れているのに洗濯物を取り込んで畳んでくれている。ところがそれを見た妻が、「畳んでくれるのはありがたいけど、あなたが畳むと変な皺がつくのよ」と、鋭い一突きで、ぐさり。

     さらに追い打ちをかけて、
     「でもいいのよ、頼んだ私が悪いんだから」と、とどめを刺す。
     これで夫は息が止まり、すっかり心が死んでしまう。
     「いずれ離婚しかない」という思いが、心の内で育ち始めるのです。

     こういう話をすると、その婦人は手を打って、「それ、本当によく分かります」と激しく同意。
     「ですから私は、最近、夫を褒めるようにしているんです。褒めると、夫はもっとよくやってくれることを発見しました」
     これもまた別の形の上から目線の感じですが、それでも蜂の一刺しよりはずっとましでしょう。

     外では頑張れる男性も、家に帰ると意外に弱いところがある。時々喧嘩くらいあっても仕方ないとして、お互い、鋭い針を納め、優しく、柔らかく接したいものです。

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