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    荒川 英紀
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    松原 広幸
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    三石 江里子
    三石 江里子
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    宮崎 林司
    宮崎 林司
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    内藤 俊輔
    内藤 俊輔
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    高橋 富代
    高橋 富代
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    吉本 秀一
    吉本 秀一
    日本けん玉協会理事

    国際協力体験を通して見えてきたもの(1)

    子供たちは人類の共通の宝
    「われわれは皆一つの人類という家族の一員である」

     5月27日、オバマ米大統領は広島の平和記念公園で17分に及ぶ歴史的な演説を行った。その中で「広島を訪れた理由」として、次のように述べた。

     「私自身の国の物語も、簡単な言葉から始まった。『全ての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている』(米独立宣言)。この理想の実現は決して容易ではなかった。わが国内や国民の間でさえそうだった。しかし、この話に忠実であろうと努力する価値はある。それは、真剣な努力に値する理想であり、大陸そして海を越えて広がる理想だ。全ての人間の絶対的な価値を示し、全て生命は大切であるという揺るぎない主張だ。われわれは皆一つの人類という家族の一員であるとの根源的で必然的な考え方だ。これこそ、われわれ皆が伝えなければならない物語だ」(「時事ドットコムニュース」より)

     オバマ大統領のメッセージは確かに「理想」を謳ったものである。しかし、同時にそれは普遍的な真理を突いているがゆえに、歴史的な感情をさえ超えさせ、人類の一員としての良心を揺さぶるものであった。

    ◇国際協力活動は地球村時代の社会教育
     筆者は2001年から始めて、かれこれ15年、国際協力活動に携わってきた。振り返れば、この15年を通して多くの学びと気付きの機会を与えられた。国際協力活動は、他者への支援行為であると同時に、地球村時代の社会教育を自らが受けている時間でもあった。

    ミンダナオ島アグサン川沿いの集落

     日本にとって国を超えることとは海を渡ることであり、海の外に行くことを意味している。異国の人々もまた、長い歴史の期間、海を越えて日本にやって来ていたのである。辞書によれば、国際とは、「国際法の漢訳『万国公法』の中で使用された『各国交際』という語をもとに造語された和製漢語」だという。「本来、diplomatic intercourse(=国家間の交際)の訳語であったが、明治30年代からinternationalの訳語として用いられるようになった」のだそうだ。明治の日本人は、国際を国と国との交際と解した。今や国際は一国対一国というよりも、地球村の一員としての国々が一堂に会して交際を行う時代になった。国際協力の本質もまた、地球村の住人たちが助け合うことに他ならない。オバマ大統領が語った「われわれは皆一つの人類という家族の一員である」という認識はグローバルな時代だからこそ、「根源的で必然的な考え方」として受けとめなければならないものなのだ。

    ◇「ミレニアム」の風を受けて

    フィリピンのマノボ族の人々

     1990年代終盤、筆者の記憶の印象では、世界の人々は世紀末の人類の滅亡への不安よりも、ニューミレニアムの到来に心躍らせ、新たな希望に満ちていたように思う。戦争の世紀と呼ばれた20世紀と決別し、21世紀が平和の世紀であることが約束されたかのようなムードさえあった。2000年9月に開催された国連ミレニアム・サミットはその象徴であったし、同サミットで採択された国連ミレニアム宣言を基にまとめられたミレニアム開発目標(MDGs)によって、国際社会が一丸となって人類が抱える課題を解決していくためのアクションプランが示された格好となった。
     2000年の世界は、「世界は一つである」という理想のもとで新しいミレニアムを出発しようという空気が漂っていた。筆者もまた、40歳を間近に控えた年齢に達していたが、「世界のために何か行動を起こさねば……」という思いに駆られたのも、そのような時代の風に当たったからなのかもしれない。

    ◇2001年9月、海外教育支援プロジェクト始動
     筆者が携わるようになった国際協力は海外の子供たちへの教育支援活動であった。8項目のMDGsに照らせば、第2項の「初等教育の完全普及の達成」に寄与しようとする活動である。日本円にすればわずかなお金でも、使い方によっては貧困に置かれた途上国の子供たちが学校に通うことができるようになるのだ。
     2001年9月、プロジェクトを立ち上げた数人の仲間とともに中国山西省の農村を訪ねた。北京から車で7時間。延々と続く大陸の田園風景を車窓から眺めながら、海を越え、ひたすら地球村を西へと進んでいく時間の流れに身を任せながら、「これから何かが始まるのだ」と一行は静かな興奮を覚えていた。

    マニラ・トンド地区スモーキーマウンテンの子供たち

     教育支援にもいろいろある。学校を建てる活動もあれば、教師派遣や教育設備の支援を行う活動もある。筆者たちが行ったのは貧困児童・生徒への奨学金支援であった。学校までの道のりが十数キロもある農村に住む子供たちは寄宿舎生活をしなければ学校で学ぶことができない。貧困の事情を超えて寄宿舎生活を送るための費用、それが中国における最初の奨学金支援の用途であった。中国での活動はその後およそ10年続いたが、中国の経済発展とともに支援先地域の貧困事情も解消され、延べ200人余りの子供たちへの支援をもってわれわれのミッションは完了することになる。2004年には、フィリピンの子供たちを対象とする奨学金支援の取り組みを開始し、現在も活動を継続している。フィリピンの受益者は今年で延べ300人を超えた。

    ◇子供たちが未来を創る
     子供たちは未来を代表している。若者たちは現在と未来をつなぐ重要な存在だ。明るい未来を開こうとすれば、子供たちが喜びを感じて心から笑い、若者たちが夢を抱いて無限の希望にあふれている社会をつくらなければならない。その責任は私たち大人にある。子供たちは人類の共通の宝である。だからこそ、子供たちへの教育支援が必要なのだ。
     人類が一つの家族だというなら、世界の子供たちが私の弟であり、私の妹ではないか。息子、娘でもいいし、孫だと思っても構わない。要は、人類は皆、家族、親戚のように親しく付き合い、助け合い、支え合える関係なのだ。私たちが家族愛の心で世界の子供たちを育てることができれば、世界は地球村となり、地球家族となる。
     21世紀に始めたささやかな国際協力の体験を通して見えてきたもの、地球村の人々の真の姿を読者の皆さんとシェアしながら、世界の中の日本としてのミッションと、これからの人類社会の在り方について共に考えてみたい。
    (つづく)

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