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    堕胎は明らかに殺人であり憲法違反である

     皆さんは、年間、何人の日本人が「合法的」に殺されているか、ご存知だろうか?
     その数、20万人にも及ぶ。
     『母体保護法』に基づく人工妊娠中絶という形で、統計に上がっているだけでも、年間20万人以上の赤ちゃんが殺されているのである。

     こういうと、「日本の法律では胎児には人格権を与えていない。なのに、それを『殺人』というのは、おかしいではないのか?」という反論が出てくる。だが、それは、誤りだ。

     確かに、我が国の法律では胎児に人格権は認められていない(「民法」第3条)。
     だが、そもそも胎児に命があるかないかといった問題は、「法律」で決めることでは、ない。医学的に見ても、胎児が一種の生命活動を行っていることは明白である。どの時点をもって人命の誕生とするかは学界でも統一見解は存在しないが、お腹の中の赤ちゃんも生命活動を行っているということ自体を否定するのは少数派であり、着床前の胚(受精卵)にも命があるとする考え方もあるそうである。この点、私は高校時代に母校の卒業生である京都大学iPS細胞研究所の長船健二教授(当時は准教授)にお会いした際、確認を行った。
     こうした考えからすると、堕胎は明らかに殺人である。
     無論、胎児というのはその生命活動の大部分を母体に依存しているのであるから、止むを得ず母体保護のために堕胎を行うことが必要な場合もあるであろうし、強姦妊娠の際に堕胎を行うことまで禁止せよ、とは言わない。しかし、「女性には産まない自由がある」というのは明らかに行き過ぎであろう。自由とは人のいのちを奪ってまで得るものではないはずだ。

     さて、現在『母体保護法』では、①経済的理由による堕胎と、②倫理的理由による堕胎(強姦妊娠の場合による堕胎)が、配偶者の同意を得たうえで認められている。そもそも「強姦妊娠」という特殊ケースと、「経済的自由」によるケースとで、全く同じ条件で堕胎ができることからしておかしい。(一部の極左フェミニストは「女性の人権」を守る観点から、強姦妊娠の際の堕胎については配偶者の同意を不要とすべきだと主張しているが、一理はある主張であろう)。
     だが、そもそも、こうした年間20万件近くに及ぶ経済的理由による堕胎を政府が放置していること、それ自体が「憲法違反」と言うと、皆様はどう反応されるであろうか?

     『日本国憲法』には、次の規定がある。

     第二十五条  すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
     ②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

     第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

     まず、憲法第25条を見ていただきたい。
     まさか、堕胎を「健康で文化的」という方はおられないであろう。「胎児を殺すのは女性の自由である」等と主張する一部の極左フェミニストを除くと、多くの方は堕胎を「必要悪」と思うことこそあれ、まさか「健康で文化的」等とは考えていないはずだ。
     そうすると、政府には本当に「経済的理由」でわが子であるお腹の中の赤ちゃんを殺さねばならぬほど困窮している家庭があれば、その家庭が堕胎という選択肢を選ぶ前に、無事赤ちゃんを産んで「健康で文化的」な生活を送れるよう支援する義務がある。
     さらに、憲法97条の問題がある。
     ここで、「現在及び将来の国民に対し」て人権が保障されているということに注目していただきたい。
     日本国民の子である胎児は確かに『民法』上は「現在の国民」ではないであろう。しかし、紛れもない「将来の国民」である。胎児が将来の国民としての権利を有することは、『民法』でも胎児に遺産相続において一定の人格権を認めていることでも明らかだ。(『民法』886条)
     ということは、お腹の中の赤ちゃんが殺されるのを放置している現在の政府は「将来の国民」の生存権を否定していることになる。これは、『日本国憲法』に明確に違反する行為である。

     そもそも、現在、堕胎により殺された妊娠12週未満の大部分の胎児は、医療廃棄物(感染性廃棄物)として廃棄されているという現実がある。胎児は妊娠6週からすでに臓器もできているのに、全く「将来の国民」としての待遇を受けていない。どうして、このような扱いが「合憲」と言えるだろうか?
     堕胎禁止を行うと極左フェミニズム団体による批判が激しくなる、経済的理由による堕胎防止のためには多大な財源が必要である――などと、様々な言い訳をしてみても、説得力は皆無だ。これは「人間の生命」を守るか否かの問題である。「胎児に命はない」などという一部フェミニストの暴論に賛同されるのならともかく、政府は多少他の予算を削ってでも、堕胎の原則禁止と育児支援を行う義務がある。
     また、いわゆる護憲団体は、今まさに殺されつつある胎児のいのちを守るための「憲政擁護運動」を展開すべきだ。フェミニズム勢力と結託して、公然と行われている憲法無視の共犯者となってはならない。

     私たちは、憲法論議が盛んとなった今こそ、20万人を超える赤ちゃんのいのちを守るために、声をあげなければならないのだ。

    (新政未来の党代表代行兼学生幹事長)

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