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    宮城 能彦
    宮城 能彦
    沖縄大学教授

    原発の未来、「脱」「推進」二者択一か

     東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故により、わが国の原発世論は「反原発」一色に染められ、言論界では市民に対し「脱原発」か「原発推進」を迫り、政治もそれに迎合するなど、柔軟性を欠いた原発論に私はその愚かさを感じずにはいられない。この愚かな原発論に対し、「第三の道」を提唱しそれを「改原発」と名付けて、わが国が進むべき道と主張している。

    改原発 核融合発電に切り替えよ

     改原発とはどういうものなのか論じていく。端的に述べれば、「既存の原発思想(技術・行政・経営全ての面において)にとらわれず、脱原発という危険な道にもとらわれることなく、新たな原発思想により、安全で、より安定的なエネルギー供給を目指す」というものだ。

     では、具体的に論じていく。既存の原子炉というものは、多くはウランを使用する核分裂炉で、沸騰型と加圧水型の2つに大別される。核分裂炉を使用すれば、福島第一原子力発電所のように過酷事故が発生した際、核分裂が暴走を始め、その崩壊熱により炉心溶融に至ることは、不謹慎かもしれないが至極当然である。

     そこで、「核融合発電」に切り替えるという逆の発想をしてみてはどうだろうか。核融合発電とは、燃料をプルトニウムやウランなどではなく水素を使い、ヘリウムと核融合させエネルギーを作り出すものだ。その原理から、「地上の太陽」と呼ばれている。核融合発電は、既存の核分裂発電と同様に二酸化炭素は発生せず、核分裂を用いないため連鎖反応がなく暴走しない。つまり、暴走事故が原理的に発生しない。燃料の水素(厳密には重水素)は、海中に無尽蔵にあるなど普遍的に存在する資源を利用し、高レベル放射性廃棄物も継続的に発生しないため、その問題から解放される。

     このように、既存の原発を安全性の高い核融合炉に置き換えていくことが、改原発なのだ。現に、研究は進んでおり、業界紙の電気新聞によれば、「日欧共同で進める超電導型核融合実験装置『JT―60SA』の建設が2013年に日本原子力研究開発機構の那珂核融合研究所で始まった。2019年の運転開始予定」と報道されている。

    トリウム溶融塩炉も視野に

     また、改原発には核融合炉だけでなく、トリウム溶融塩炉を採用するというのもある。トリウム溶融塩炉とは、その名の通りウランやプルトニウムなどの代わりに、トリウムを燃料に採用するというものだ。トリウムは、ウランやプルトニウムに比べ、埋蔵量が多く核兵器への転用が困難で核不拡散につながる(輸出を視野に)。また、安全性であるが、核分裂連鎖反応が容易にとめることができるため、安全性は非常に高い。過酷事故が起きても、冷却水によりすぐにガラス固化体になり、自然冷却される。冷却水がなく、炉の外に漏れても黒鉛がない以上再臨界することはなく、空気で冷却されるため心配はない。放射能汚染の心配もない。

    二元論に陥るな

     以上のように、核融合とトリウム溶融塩炉について述べてきた。現在の原発論は、私から言わせれば「愚かな二元論」だ。ホルムズ海峡問題などのエネルギー安全保障も考慮していない。オール・オア・ナッシングを国民に迫る、冷たい議論がなされていると思う。柔軟な視点で原発を顧みて、オール・オア・ナッシングを迫るのではなく、核融合・トリウム溶融塩炉を含む建設的な原発議論が必要なのではないだろうか。

    (平成26年11月11日)

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