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  • 第3次安倍改造内閣スタート
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  • 衆院選 自公圧勝 ~課題と展望~
  • ’14衆院選 注目区を行く
  • 第2次安倍改造内閣スタート
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  • 2015/12/24
  • 誤解される曽野氏の“棲み分け論”

     朝日新聞電子版を読んでいると、小説家の曽野綾子さんが産経新聞に掲載した2月11日付のコラムが批判されている。

     曽野さんはコラムの中で、「日本でも移民を受け入れたらいい」と提案したうえで、「南アフリカの実情を知って以来、私は居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住むほうがいい、と思うようになった」と書いている。
     朝日新聞は早速、海外メディアを巧みに利用して、「人種隔離政策だ」、「南アのアパルトヘイト政策を想起させる」といった類の批判の声を紹介している。

     そこで、曽野さんのコラムの「白人、アジア人、黒人と居住地を分けたらいい」という個所について、当方の意見を先ず、述べてみたい。

     行政的に人種別に居住地を分けることにはもちろん反対だ。そして、そのような行政を実施する国は21世紀の現代、もはやどこにもないだろう。ただし、結果として、同じ人種、出身国の住民が同じ居住地に自然に集まるという傾向は見られる。

     ウィーン市は東京都と同じで23区に分かれているが、日本人外交官は18区、19区に集中し、当方が住む16区は移住者労働者が多く住み、特にトルコ系住民が多数を占める。1区には行政機関が集中する、といった具合だ。街はその発展に伴い、自然とその独自の顔を形成していくものだ。

     ウィーン市当局が意図的(強制的)に同じ人種、出身国の住民を同じ区に集める行政政策を実施した結果ではなく、自然発生とでもいうべきものだ。同じ人種の住民が多く住めば、そこには自然にその住民を対象とした商店、レストラン、そして幼稚園などが出てくる。住民にとっては便利だ。「トルコ系住民だけを16区に住まわせて」といった批判をこれまで聞いたことがない。もちろん、アパルトヘイトだという批判の声はない。トルコ系・コミュニティでもっとも利益を受けているのはトルコ系住民だからだ。あえて問題点を指摘すれば、母国語で生活ができるので住民は居住地の言語(独語)を学ぶ姿勢が乏しくなることだろう。

     ドイツでは日本人村と呼ばれるデュッセルドルフ市がある。そこでは日本書店からレストラン、百貨店まであるから、同市に住んでいる限り、生活には不便しない。米国でも黒人街が存在するし、チャイナタウンもある。世界の大都会ではさまざまな人種が入り混じっているが、同時に、人種や出身国の同じ住民が同じ地域に集中する傾向はよく見られる現象だ。それはアパルヘイトとは全く関係がないことだ。

     曽野さんが、「老人介護のために移民を受け入れるべきだ」と述べ、「日本に出稼ぎに来たい、という近隣国の若い女性たちに来てもらって、介護の分野の困難を緩和することだ」と書いたことから、「なぜ、近隣国か」、「なぜ、若い女性か」、「女性蔑視の思想だ」といった類の批判を受けているという。

     オーストリアでは久しく病院の看護人には多くのアジア系の若い女性が働いている。オーストリア女性が激務の看護職を避ける傾向もあって、アジア出身の若い女性たちにとって、看護職は格好の就職先となっていた。彼女たちの仕事ぶりは一般的に評判がいい。彼女たちはオーストリアに定着し、オーストリア人と結婚したり、母国から家族を呼ぶなど、逞しく生きている。「近隣国の若い女性を自国の介護に利用するのか」という批判は現場を知らない人たちの声だろう。若くなければ、体力が要求される介護職は務まらないのだ。その上、オーストリア政府もアジア出身の看護師に感謝している(今では 旧東欧諸国やユーゴなどから介護職に就く人が多い)。

     世界はグローバル化し、さまざまな人種、民族が共存して生きている。同時に、先述したように、同じ人種、民族、出身国の同士が一定の地域に集中するという現象はみられる。曽野さんのコラムには「『適度な距離』保ち、受け入れを」という見出しが付けられている。曽野さんはコラムの中で南アフリカの人種隔離政策(集団地域法)がいいとは何も書いていない。曽野氏は「居住だけは別にしたほうがいい」と書いているだけだ。人種差別でもない。

     世界の移住者の現状には疎い日本人には、曽野さんのコラムは誤解されやすい点はある。“共存するが、居住は別に”という曽野さんの考えは、移住者問題の現状をよく知らないと、理解できないだろう。

     ちなみに、朝日新聞は慰安婦問題で韓国女性を旧日本軍が“強制的”に慰安婦にしたと久しく報じてきたが、その根拠となってきた証人の話が虚言だったと判明し、大恥をかいたばかりだ。それだけに、朝日新聞社には自社の誤報を暴露した産経新聞憎しの思いが強いことは理解できるが、朝日新聞社は曽野さんのコラム批判でも、曽野さんが書いていないアパルトヘイト(“強制的な”人種別居住地政策)を持ち出し、批判している。

     朝日新聞社はよほど「強制的」という言葉が好きなのだろう。「強制的」でないと、記事にならないと考えているかのようだ。“強制的”に慰安婦にする、強制的に人種別居住地化、といった具合だ。朝日新聞社は慰安婦問題の誤報で謝罪表明し、社長が退陣に追い込まれたが、この歴史的大誤報から同社が何も教訓を引き出していないことが今回の曽野氏のコラム批判で図らずも明らかになった。

    (ウィーン在住)

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