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  • 浅野 和生
    浅野 和生
    平成国際大学教授

    陸海空のシルクロード構想

    金子 民雄歴史家 金子 民雄

    独と日・満州航空の挫折

    21世紀に化けた「一帯一路」

     いまではシルクロードという言葉がすっかり通俗化してしまったが、かつてはロマンティック街道などと呼ばれ、いたってのどかな雰囲気が漂っていたものだ。それが最近になると、どうもなにかぎすぎすしてくるようだ。まして「一帯一路」などと言われても余程説明されないと、さっぱり意味が分からない。中国側にしてみれば陸のシルクロードの「経済ベルト(帯)」と、海のシルクロード、とくに新しい21世紀の海上シルクロード(路)を表現しようとしているらしい。一語でいえば大経済圏構想というものらしい。

     たしかに中国の古都西安から、ずっと西方の新疆省の都カシュガールまで歩いて行くとなると、1930年代頃までざっと6カ月近くかかった。いまから考えると途方もない旅であり、車も列車もない時代だから、これがシルクロードであった。なら、この道はそれほど重要なものだったのかということになるが、交易路として使われるとなるとこれしかなかった。

     では一体なにを運んだのか。これは千数百年以上前から、中国で織られた絹をわざわざローマまで運ぶのに使われた交易路だったわけである。こんなことから19世紀のドイツの地理学者リヒトホーフェンが、この古代ルートをザイデン・シュトラーセン(絹街道)と名付けた。これを英訳するとシルクロードで、交易ロードであった。

     この内陸アジアを通る「陸のシルクロード」の他に、いま一つ海を抜ける「海のシルクロード」も存在した。これも決して新しいものでなく、『アラビアンナイト』の中に登場する船乗りシンドバットにかこつけて、中東からインドをへて中国に通じる、宝石や香料の貿易を主とするルートだった。

     現在の中国が最も注目するのがこの海のシルクロードで、このルート上にあるインド、スリランカ、パキスタンから中東にかけての沿岸国から、港湾の借地権を確保するのに必死であるのは、その重要性を十分認識している証拠であろう。そして、遂には地中海のギリシアの港まで及んだ。これではインド洋上の真珠の首飾りどころではないようだ。地球の半分を真珠でぐるぐる巻きにしたいのだろう。もうとても正気の沙汰と思えないのだが、むしろなにもしない日本のことの方が心配になる。

     しかし、21世紀に入るとこれまでのように地上面でも海上面でもない、空中のことの方が、はるかに重要性を増してきたことは事実であろう。障害物のない空中を飛ぶのであれば、いろいろ煩わしい条件などは地上の発着地さえ確保できれば、これほど手軽で迅速な手段もないであろう。たしかに航空路の運搬の手段はもうとっくの昔に始まっているし、ただ「空のシルクロード」などという用語というか、通用語がまだないだけである。

     航空機というものが、そう簡単に空を飛べるとは思ってもいなかった時代、早くもこの構想に思い至っていた人はいたようだ。それは英米人などではなくドイツ人だった。1926年のことである。スウェーデンの中央アジア探検家のスヴェン・ヘディンが、母の喪に服していたとき、たまたまドイツの航空機製作者であるフーゴー・ユンカースからの依頼で、ぜひ会いたいという申し込みがあった。会ってみるとこのときの用件は、ヨーロッパの主要国の代表者に集ってもらい、「ヨーロッパ連邦」というものを作りたいという、計画案の相談だったという。これには政治的な意味合いは一切ないというものだった。考え方からすれば現在のEUの構想とまったく同じである。

     ただこの申し込みはその気はないとヘディンは断ったのだが、このときふとヘディンの胸にひらめくものがあったという。それは広大無辺なアジア大陸の地理学的調査は、空からできないかという考えだった。そこで早速このことをユンカースに相談すると、すぐに賛成してもらえたのだが、時のドイツのワイマール共和国政府の干渉で実現は不可能になってしまった。好事魔多しの例え通りであったが、予想もしていなかった神頼みで、ドイツ・ルフトハンザ社が助け船を出してくれたのだった。当時、混乱状態の続く中国では、とても空の航空網など実現不能である。一方、ドイツも国内は複雑化し、ナチス・ドイツの勃興で収拾がつかなくなってくる。ここで新しく登場するのが日本であった。

     1936年(昭和11年)、日本がドイツと共同事業として空のシルクロード開発に新しく参入してきた。ただ、ここでいたって微妙な点は、このルートは西欧を通り、アフガニスタンから中国新疆を抜けて中国大陸を横断し、中国東北部の満州に達する航空路線を完成したことだったが、なにしろ満州国はまだ1932(昭和7)年に日本が建国させたものだった。だからこの新事業は日本航空と言わず満州航空と言った。しかし、日本の第二次大戦の敗北とともに満州国は消滅してしまった。

     ならば空からのシルクロード開発も消滅したのだが、戦後中国の内戦、中ソ対立を経て、なんと21世紀に入ってから化け物が突然姿を現したのだ。2016年4月17日、中国軍機が南シナ海の暗礁(ファイアリー・クロス礁)を埋めた飛行場に着陸したのだ。新しい時代の到来に、一体どう対処すべきだろうか。「空」の機能も加わり、海のシルクロードも一変しかねない。

    (かねこ・たみお)

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