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  • 資源回復へウナギ稚魚保護の取り組み強化を

     水産庁はこのほど、ニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)の保護を要請する長官名の文書を各都道府県知事に送った。

     シラスウナギの漁獲量はピーク時の40分の1に激減した。日本は世界最大のウナギ消費国であり、資源回復に向けた取り組みを強化すべきだ。

     4年連続で深刻な不漁

     文書では、シラスウナギの漁獲量の上限設定や、既に上限を設定している自治体には削減を要請。さらに漁期の短縮を促したほか、密漁を防ぐため、漁獲量と販売先の定期報告を漁業者に義務付けることも求めた。

     日本でウナギを食べるようになったのは大変古く、『万葉集』にはウナギが登場する大伴家持の歌が載っている。「土用の丑の日」にウナギを食べるのは江戸時代からの習慣だ。

     しかし、シラスウナギは4年連続で深刻な不漁に見舞われている。漁獲量は1963年の232㌧から2010年には6㌧まで落ち込み、価格も高騰している。このままでは、日本の伝統的な食文化を守ることができなくなる。

     もっとも、シラスウナギ漁のルール策定は都道府県の管轄で、水産庁の指導に法的な強制力はない。自治体の中には、養殖・流通業者への配慮から、漁獲規制強化に慎重なところもあるという。

     だが、ウナギ漁に関しては国際的な圧力も強まっている。ニホンウナギは今年7月の国際自然保護連合(ICUN)の作業部会で初めて「レッドリスト」と呼ばれる絶滅危惧種の検討対象となった。

     今月改訂の危惧種リストには含まれなかったが、今後指定されないとは限らない。指定されれば、漁業や輸出入が規制される恐れがある。

     このほか、絶滅の恐れがある種を保護し、野生動植物の輸出入を規制するワシントン条約の締約国会議でも将来、ウナギの国際取引規制案が提起される可能性がある。これを避けるには、世界で生産されるウナギ類の約7割を消費する日本が資源管理で成果を上げる必要がある。各自治体は事態の深刻さを認識すべきだ。

     今年のシラスウナギの不漁は、太平洋・マリアナ沖の産卵場に帰る親ウナギが激減したことも一因とみられている。資源回復のためには、親ウナギの漁獲規制も求められる。

     ただ、ウナギの資源量は短期間で回復できるわけではない。日本はこうした点について国際社会の理解を得る必要がある。また、9月に福岡市で開催されたニホンウナギの国際的な資源管理に関する会合で、日本と中国、台湾、フィリピン、韓国が資源回復に向けて協力を強化することで合意した。こうした周辺国との連携も欠かせない。

     量産技術の実用化急げ

     ウナギの安定供給には、養殖の親魚から採取した卵からシラスウナギを育てる「完全養殖」による量産が急務だ。ただ、シラスウナギは水の汚れに弱く、生態も解明途上のため飼育が難しい。現在は年間数百匹を研究室で育てている段階だ。

     資源管理を徹底するとともに、量産技術の実用化を急いでもらいたい。

    (11月22日付社説)

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